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がんばりすぎずにあるこうや。

J1第8節 J2で磨いた魂

2012 Jリーグ Division 1
第8節 柏レイソル△1 - 1△サガン鳥栖

土曜日にふらりと日立台に行ってきました。ふらりとと言っても現地に着いたのはキックオフぎりぎりで、席に着いたらもう選手が出てきちゃうというタイミング。でも新装日立台の立派なスタンドからの眺めを楽しんできましたよ。

両チームのスタメンです。ホーム柏は、GKに柏でのデビュー戦になる稲田が先発。酒井宏樹、増嶋、近藤、橋本の4バック。ボランチ2枚は大谷と栗澤、その前にレアンドロ・ドミンゲスジョルジ・ワグネル。ツートップは北嶋と田中順也です。対する昇格組の鳥栖は、GKに赤星。4バックは丹羽、小林、キム・クナンヨ・ソンヘ。岡本と藤田直之のダブルボランチに、水沼宏太キム・ミヌがワイドに開く形。前線は豊田とトジンのツートップです。

シーズン前の下馬評と現在の立ち居地を考えると、両者の精神的なコンディションは大きく違います。チャンピオンチームながらなかなか勝てずに中位に甘んじている柏と、昇格1年目ながら好調を維持する鳥栖のゲームは、そのメンタルの差が大きく出た試合になりました。前半はほぼ完全に鳥栖のペースで、ボールを持つとポンポンと速いテンポで全然にボールを供給。右の水沼がフリーになるシーンが多く、左の藤田とキムで柏のDFを釣っておいて、フリーの水沼に展開してフィニッシュ、という形がひとつのパターンになっていました。この2列目の3人は非常にパフォーマンスが良くて、いいリズムでプレーをしていましたし、しっかりと自分のスタイルを活かしてサッカーをしているんだなというのがよくわかります。いい調子なんだな。

その水沼が使っているスペースは橋本和が上がった裏なんですが、つまり柏は攻めきらないうちにボールを奪われてしまうんですね。レアンドロのところがいまひとつ噛み合っていなくて、うまく前線につながっていかない。柏の攻撃は、レアンドロによる中央でのリンクがあるからこそ、両サイドバックがぐーっとオーバーラップして攻撃参加するようになる。またサイドバックの攻撃参加を前提にして、ボランチには守備力の高い二人を当てているわけです。つまり、中央での組み立てがうまくできないと、サイドバックがうまく上がれず、サイドバックが上がれないと前線が完全に孤立する。実のところかなり危ういバランスの上に成り立っているシステムであったわけです。

柏は、交代で出場した3人も含めて全員が昨シーズンからの"既存戦力"でした。ベンチには新加入選手も3人いましたが、ネルシーニョ監督が新戦力をピッチに送り出すことはかなり少なくなっています。J2での戦いの時期から熟成させてきたチームのバランスを崩してしまうことを避けているのだと思いますが、しかしそれは昨シーズンからの上積みを拒んでいることと同義。他のチームは新戦力を得てパワーアップし、また柏のシステムを研究しているわけですから、うまくいかないことが続くのも必然といえば必然かもしれません。

昨シーズンの柏の試合で見てきた「強さ」というものを、今回はほとんど感じることができませんでした。昨シーズンは見るたびにうなるようなプレーを数々見せてくれた柏ですが、スタートダッシュに失敗してちょっとリズムが停滞気味です。でも自力のあるチームであることは確かなわけですから、このままということはないでしょう。どういった形で浮上のきっかけを掴んでいくのか、期待しつつ見ていこうと思います。

鳥栖はとにかく、今はチーム全体でJ1の戦いを楽しんでいるなと、そういう雰囲気がひしひしと伝わってきます。今季は厳しい戦いになるというのはサポーターも含めて全員がわかっていて、その上でとにかく自分たちにできるサッカーをきちんと全力でやろうと、たとえ相手が前年のチャンピオンであろうとも、気負わずしっかりと相対しようという姿勢が見えて非常に好印象です。多くの識者が「降格候補」に挙げている鳥栖ですが、選手たちはそんなのどこ吹く風。それでいいんです。ようやくたどり着いた日本のトップディビジョンを、思う存分楽しんで、そして最後にはギャフンと言わせてやればいい。終盤戦にどう変わっているかはわかりませんが、こういうのは楽しんだもん勝ちですからね。

日立台はホント立派になりました。ホームのゴール裏にはしっかりとしたゲートもできたし、2階席は高さも傾斜もあって実に見やすい。今回はほんとに試合を見るだけになってしまったので、また今度いろいろと楽しめるようにいきたいと思います。今度はメインの脇にできた高いところでもいいかもな。

[J'sGOAL]【J1:第8節 柏 vs 鳥栖】レポート