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がんばりすぎずにあるこうや。

ライブレポート 楽しい音楽のお祭り

20th Anniversary Yuki Kajiura LIVE vol.#10 "Kaji Fes. 2013" / 東京国際フォーラム ホールA

5月11日の東京には大粒の雨が降り注ぎ、真っ黒な雲が空を覆っていました。それでも気分はこの上なくワクワクしていて、開演の時を今か今かと待ちわびていました。なんといっても今回は「お祭り」。時間もたっぷり、ゲストさんもたっぷり、そして観客の数もたっぷりです。5時間という未知の領域に挑戦するどデカいライブが始まるのですよ。

オープニングアクトKalafina。デビューシングルの「obilivious」と最新アルバムのタイトルトラック「consolation」を並べるという、タイムスリップのような開幕でした。そしてのっけからゲストコーラスで戸丸華江さんのご登場。いつもはHikaruちゃんの透き通った高音で始まる「oblivious」ですが、今回は戸丸さんの深みのある中高音が響きまして、なんとも新鮮な気分です。「花束」では貝田さんがコーラスで参加。Kalafinaはいつも3人だけでライブをやっている(バンドさんは別として)ので、こうしてゲストコーラスが入ったステージは大変貴重です。序盤からこちらの興奮をガンガン煽ってくれますことよ!

Kalafinaのラストは、なんとSee-Sawのカバー!これには驚きました。石川智晶さんのハスキーな歌声とは違った特徴のある歌声で、なかなか新鮮でした。カバーってなかなか難しいし、聴く人のほうにそれぞれ思い入れがあったりして一概に受け入れられるものではないんですが、これは良いカバーでしたね。3人ともけっこう神経使って歌い上げたんじゃないかな。素晴らしかったです。

ギターの是永さんとアコーディオンの佐藤さんのアンサンブルを経て、大変聴き慣れたあのオーヴァーチュアが始まりました。メインステージは、これまでアンコールの導入でやることがほとんどだった「everlasting song」から。いつもの"ゴールデン歌姫ズ"と、ゲストのASUKAさんが登場して、きれいに歌い上げてくれました。この曲は何度聞いてもいい曲だなぁ。ここからFictionJunctionのシングル曲4曲を立て続けにプレー。FJのシングル曲はハイテンションな曲が多いので、大いに盛り上がりました。「stone cold」はいいね。この4人はさすがレギュラーでライブに出演しているだけあって、ホールとの同調が速い。僕らも良く知った曲だし、とても楽しいです。

トークを挟んでふたたびSee-Sawのカバー。今度はなんと「うた」です!See-Sawの最初のアルバム「I have a dream」に収録されている曲で、梶浦さん曰く「自分で書いた最初の4曲くらいには入っている」とのこと。そんなに古い曲だったんですね。僕は梶浦さんの音楽にハマッた頃に発売された「See-Saw early best」に収録されていたのを聴いて大好きになって、何度も何度も繰り返し聞いていました。こんな形で生の演奏を聴けることになるとは思ってなかったので、大興奮でした。歌ったのはASUKAさん。アレンジもアルバムのものとは違って「オリジナルに近い」ものだったので、新鮮でもありました。素敵だった。

インストを2曲挟んで、再びのオーヴァーチュア。これもまたDVDで繰り返し何度も何度も聴いたので、自然と気分も高ぶろうというものです。2009年の「Everlasting Songs Tour」以来4年ぶりのFictionJunction YUUKAのオンステージであります。こうしてじっくり聞くのはずいぶん久しぶりですが、YUUKAちゃんは歌声がなんだか深くなりましたね。重厚感が増して力強くなったように思います。「circus」や「荒野流転」ではそれがよく活きていました。「Silly-Go-Round」では、コーラスに入った貝田さんとHikaruちゃんの安定さに度肝を抜かれました。あれだけのパワーヴォーカルを発揮しながら、まったくブレないし崩れない。すごい。

南里侑香としてのソロ活動が始まって、ソロライブもやって、昨年末にファンクラブ「FictionJunction CLUB」からも独立してしまって、もうFJYのステージは見られないのかなぁなんて思っていたので、まだこうして"YUUKA"のの歌声が聴けることがとても嬉しい。侑香ちゃんのソロ曲も聴いたしライブも行きましたけど、やっぱり僕はYUUKAちゃんの歌が好きなんだな。回数が減っても、ペースが落ちても、長くこの歌を聴いていたいと思うのです。

FJYステージのラストもSee-Sawのカバー。「優しい夜明け」は僕が梶浦サウンドにハマッた「.hack//SIGN」の主題歌なので、思い出補正も入って反則級に感動しました。ヴァイオリンとフルートのアンサンブルが、厚みがあって実に素敵で、そこにYUUKAちゃんの声が重なるんですよ。感動しないわけないですよ。まいった。これはずるいわ。

第一部は、Kalafina、FJ、FJYと、ユニットでのサウンドをぎゅっと詰め込んだ2時間半でした。それぞれでSee-Sawをカバーして、20年間の中でのそれぞれの重みを感じさせてくれるステージでしたね。インストの曲も多くあり、今までのライブにはなかった構成だったので、まっさらな心境でとても楽しかった。ゲストさんも贅沢に登場したし、スペシャルなステージがてんこ盛りで、このライブはとんでもないことになってるなと、そんな印象の第一部でした。

第二部は比較的"いつもの"Yuki Kajiura LIVE。戸丸さん、伊東恵里さん、それから笠原由里さんが次々に登場して、豪華に梶浦さんのサウンドを奏でていくのです。贅沢よね。ゲストさん一人ひとりの出番はそれほど多くありませんでしたが、まぁそれはしょうがないですよ。ゲストさんこんなにいるのに、ライブは5時間"しか"ないんですもんw

初披露になる「Rainbow」を歌ったのは、SoundHorizonでおなじみのREMIさんでした。REMIさんの歌を聴くのは、横浜での「DreamPort2008」以来ちょうど5年ぶりになります。そのときとは衣装も髪型も違ったので、全然イメージは違いましたね。ドリポのときは、まるで槍のような鋭い高音が非常に印象に残っているんですが、今回はそれに加えて中低音の柔らかな音色が素敵でした。一音一音の発声がはっきりしてるので、柔らかい中にも確かな力強さというのが感じられる。続く「Luminous Sword」ではKAORIちゃんとのデュオを披露して、パワーヴォーカルの見事なユニゾンを披露してくれました。REMIさんは顔立ちもどこか日本人離れしてるし、所作もちょっと風変わりだし、ヨーロッパ系の遺伝子が入ってたりするのかしら。

ヒストリアのOP曲は、もう番組で聴けなくなってしまったのでライブでやってくれたのはうれしかったです。「storia」もいいけど、僕はやっぱりこちらのバージョンのほうが好きだなぁ。開幕からの薄く響くコーラスが大好きでね。「Credens Justitium」はもうすっかり定番の一曲ですが、この曲はやっぱり赤木さんのフルートがあって初めて完成するんですよ。あの音だけは、やっぱり何物にも代えがたいのです。赤木さんのフルートを聴いて、僕の中でのフルートのイメージが完全に変わったんですよね。繊細でオシャレなだけではない、全然知らないフルートを聞かせてくれるのです。

「canta per me」は、佐藤芳明さんのアコーディオンと貝田さんのヴォーカルのみというレアなアンサンブル。生のアコーディオンって初めて聴いたんですけど、演奏しているのを見ながら聞くとなんだか不思議な感覚です。指の動きと聞こえる音色が明らかに釣り合ってないんですよ。どうやって音が出てるのか全然わからない。なんとも言えないぐんにょり感を抱えながら聞いてました。面白いものだ。

梶浦さんが「ラスボス」と称する笠原さんの圧倒的なハイトーンヴォイスは、歌姫ズが4人束になって下を支えようとしても、それを簡単に呑み込んでしまうくらいのパワーがあります。モロに浴びると頭痛がしてくるよねw 「salva nos」ではバックの映像とのコントラストがまさしく"ラスボス"のようである種禍々しくて、こちらのライフをガリガリ削られていくようでした。

そして、待ちに待った瞬間がやってきます。ダークなイントロと特徴的な三声のコーラス、そしてヴァイオリンの軽快な調べと共に、彼女はステージにやってきました。「.hack//SIGN」のBGMでその魅力に憑りつかれた僕にとって、間違いなく梶浦サウンドの"Origin of Origins"。Emilly Bindigerその人の登場です。

「the world」「key of the twilight」「fake wings」という3曲は、「.hack//SIGN」のファンとしては垂涎モノのセットリストです。それをオリジナルの歌声で聞けるというのだから、これ以上に感動的なことはない。いつものライブで歌姫ズが歌うバージョンももちろん大好きなんですが、やはり思い出補正というのは大きいものです。あの感情は、ちょっと言葉にするのが難しいですね。大変に素晴らしい時間でした。満足だ。

ライブの最後は、出演したバンドさん、歌姫ズ、ゲストさんも全員登場しての「open your heart」。総勢21人ですって!この曲も何度もライブでやっていますけど、この曲も何度もライブでやっていますけど、大きな規模に合わせてアレンジも新しくなっていました。それぞれにソロパートがあって、いろんな音色が聴けて、とっても楽しかった。

もちろん、聴きたかったけどやっぱり聴けなくて残念だった曲もたくさんあるんですよ。初期のライブでみんなで歌って盛り上がってた「ユメノツバサ」とか、ずっと聴きたいと思い続けていまだに聞けていないFJYの「inside your heart」などなど、あるんですけど、それはまた次以降に期待することにします。vol.#11の発表があったようにライブはまだまだ続くんだし、待ってれば必ず聞ける日が来るよね。ね?

一夜限りのお祭りはこうして幕を閉じました。カーテンコールで、ステージのみんなが代わる代わるハイタッチしたり抱き合ったりしていたのが、とても素敵でした。ホールに流れる「everlasting song」がまた明るい雰囲気を上乗せして、万雷の拍手と手拍子とで閉幕。終わったあとには意外なほどの疲労感でぐったりときていて、全身で音楽を楽しんだんだなーという実感に浸りました。5時間なんてあっという間じゃんな。梶浦さんの音楽には、まだまだ知らない魅力があるのかもしれないと思いました。そういう魅力を発見するための音楽の旅はまだまだ続くのです。


セットリストは以下の通りです。

【第一部】

M1:overture~oblivious
M2:consolation

- Talk -

M3:花束
M4:signal
M5:ひかりふる

- Talk -

M6:あんなに一緒だったのに

M7:ordinary sunset~Romance

M8:everlasting song
M9:Parallel Hearts

- Talk -

M10:Distance
M11:時の向こう 幻の空
M12:stone cold

- Talk -

M13:うた

M14:when the fairy tale ends
M15:homecoming

M16:overture~circus
M17:荒野流転

- Talk -

M18:blessing
M19:nostalgia
M20:六月は君の永遠
M21:暁の車

- Talk -

M22:Silly-Go-Round
M23:nowhere

- Talk -

M24:優しい夜明け

【第二部】

M25:Point Zero
M26:let the stars fall down
M27:lotus

- Talk -

M28:Rainbow~Main Theme~
M29:Luminous Sword
M30:Historia:opening theme
M31:Credens justitiam

- Talk -

M32:voices silently sing
M33:once upon a time there was you and me
M34:a song of storm and fire
M35:crush
M36:alone
M37:bloody rabbit
M38:contractor

- Talk -

M39:We're Gonna Groove
M40:canata per me
M41:salva nos

M42:the world
M43:key of the twilight

- Talk -

M44:fake wings
M45:forest

M46:目覚め
M47:MATERIALISE~Guitar Solo
M48:zodiacal sign

- Talk -

M49:Sweet Song

E1:the image theme of Xenosaga
E2:everytime you kissed me

- Talk -

E3:open your heart


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