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がんばりすぎずにあるこうや。

【ネタバレあり】10人の泥棒たち 美しき女泥棒たちの妙技

TOHOシネマズの「企画上映」扱いで、なんと2週間限定公開。こりゃ無理にでも時間作って見に行かねば!ということで、ハードな週末にどうにか時間のやりくりをして行ってきました。字幕版と吹替版とがあるんですが、どちらも1日に1上映しかないという不遇っぷり。韓国では大変なヒットになったということだし、日本語吹替版の製作も大変な気合の入りようで丁寧に作っているらしいのに、こんな小規模で公開されるのはもったいないと思うんですけどね。

最近はドラマでも映画でも「○○が出てるから見る」というパターンが多くなっているんですけど、今回も例によってそのパターンです。お目当てはチョン・ジヒョン。ジヒョンの出演作は日本ではなかなか公開されず、公開されても今回のように本国から大きく遅れることも多い。DVDも手に入りづらいくて、ファンとしては忸怩たる思いではあるんですが、その分公開されて見るチャンスがある時には、思いきり楽しんでやろうという気概も生まれるものです。

以下、作品のネタバレを含みますのでご注意ください。たたみます。

上映時間はたっぷり2時間半。アクションてんこ盛りでガッツリと楽しめました。泥棒の話なので、ターゲットをいかにしてスマートに盗むか、というのがテーマになります。前半はその点に主眼を置いたいわゆるスパイアクションがメインになっていて、さながらアジア版の「オーシャンズ11」といったテイストですね。

プロローグにもなっている骨董品の盗みは、このあと「韓国チーム」と呼ばれることになる4人による軽快なスパイアクションが見もの。僕はこういうアクションは大好きなので、ワクワクしながら見ていました。時間的な制約と物理ギミック、高度なセキュリティをどう潜り抜けるかという綱渡りのアクションは、斬新な発想と緻密な計算、類稀な身体能力のすべてを使わないと突破できない。見ていてとにかくハラハラするし、見てる側の発想をどう爽快に裏切ってくれるのかドキドキする。そういう感覚が大好きなんですよ。「ミッションインポッシブル」(1限定)や007シリーズが好きなのもそういうサイレントアクションが前面に押し出されているからで、上手くいったときの思わず拍手したくなる間隔がたまりません。爽快よね。

このあとに泥棒たちが10人になって、でも実際は「5+4+1」という感じで、チーム内でもどうも腹の探り合いが続くというスリリングな展開。それでもお宝を頂戴するところまではなんだかんだでスカッとまとめてくれるんでしょ、と思って疑わなかったんですが、これがまた豪快に裏切ってくれました。緊張感あふれるスパイアクションが、一瞬にして激しいガンアクションに様変わりしてしまって、こちらのテンションを切り替えるのにちょっと苦労しました。このどんでん返しには心底驚きましたねー。それがそのまま逃走劇にまでつながっていって、結局ここはすっきり終わるというわけにはいかないわけですが、いろいろと要素を詰め込んだシーンで面白かったです。余計なことを考えたりせずに、目の前で起きてることをそのまま受け入れて楽しめました。

前半の宝石泥棒アクションまででもけっこうお腹いっぱいな感じがあったんですが、ここまではあくまで「前半」に過ぎなくて、このあとは半ば復讐劇に近いような形で話が展開していきます。ここでもまた、それぞれがそれぞれの腹の探り合いを続けていて、かついかにして自分の利益を最大化するかということだけを考えている。計画を成功させるために表面上協力し合ってはいるものの、結局は全員が「スタンドアローン」なんですよね。騙し騙されの行ったり来たりを見るのも楽しいし、これは結局誰が一番得をすることになるんだろうかと推理しながら見るのも面白い。「誰が一番得をするのか」という点に関して言えば、これはもう本当に最後の最後までひっくり返されるので気が抜けません。なかなか軽快に揺さぶってくれます。

今回のお目当てだったチョン・ジヒョン(キャスト表記では Gianna Jun)は、ワイヤーアクション担当の実行犯という役どころ。最初のシーンで、部屋から人がいなくなった途端に靴やらスカートやらジャケットやらを豪快に脱ぎだすもんだから、もうどうしようかと思いましたよ。ビックリするわ。いろいろなキャラクタを演じてきているジヒョンですが、今回はクールでセクシーでお茶目でキュートな、ちょっと人を食ったような小悪魔キャラ。これこれ!これこそ僕の好きなジヒョンそのものですよ!もうめっちゃめちゃかわいいです。感情が素直に出てるような、喜怒哀楽を全部見せる役柄がジヒョンの持ち味です。ワイヤーや侵入脱出アクションもクールにこなして、満面の笑みでお宝を頂戴して、そして颯爽と去っていく。カッコいい!

2003年の映画「猟奇的な彼女」(本国公開は2001年)で僕のハートを鷲掴みにしたジヒョン。あれからもう10年経つんですね。以来、ジヒョンの出ている映画やドラマは、過去作品は日本で手に入る限りはDVDを借りて全部見ましたし、劇場公開された映画も必ず見ています。今作は久しぶりの国内映画復帰作。生き生きと演技するジヒョンが見られただけで、僕はもう大満足です。よかった!

ジヒョンの他にも、この作品には美しい女泥棒たちが登場します。キム・ヘスは、登場してすぐは気高くクールでとっつきにくいキャラクタかと思いましたが、チームに溶け込んでいくと良い意味で「普通」の女性らしさが垣間見えてきます。鍵開けの達人なんですけど、そのスキルを周りにいいように使われてしまってる感じが、なんとも切なくてね。主演のキム・ユンソクと並んで人間的な部分がクローズアップされる役ですが、キム・ユンソクが感情を表に出さず表向き淡々と振る舞う反面、キム・ヘスは周りに振り回されることも多く、心の弱さを吐露する場面もあって、その分見てるほうも感情移入しやすいんですね。報われない感じがビシビシ伝わってきて、でもそれを見せまいとクールに装ってる風にも見えて、なんか泣けてきちゃうのよね。

それから中国チームの紅一点、アンジェリカ・リー。初めて見た女優さんなんですが、凛とした顔つきとクールな演技でもう釘付けになってしまいました。韓国チームには3人の女性がいますが、中国チームには彼女だけ、それも他のメンバーとのロマンスもなかったので、登場時のカッチリとしたイメージそのままに最後まで駆け抜けたのは好印象でした。目立ったアクションシーンはなかったけど、キム・ヘスと意識し合ってる感じや、でも互いの実力を認めていてリスペクトしているところが、台詞としてあるわけではないけどきちんと見ているほうに伝わってくるのが、なんとも素敵でした。それだけに、最終盤のキム・ヘスとのやりとりは、短いセリフでしたがちょっとゾクッとしましたね。アンジェリカ・リー自身は中国系というわけではなく、マレーシア生まれの台湾育ちだそう。しかし37歳ですってよ。全然見えない・・・・!

もちろん男性陣も個性的なキャラクターが揃っているので印象的なんですが、特に気になったのはキム・スヒョンかな。韓国チームのマンネですが、彼はこれから出演作品が増えれば日本でも人気出ると思います。典型的な「韓流のイケメン」って感じ。俳優というよりアイドルに近い風貌ですね。それがまたマンネっていう役柄によくマッチしていて、あれは世の女性たちを虜にしそうだ。個人的にはジヒョンの唇を無理やり奪ったりしてるので、まさしく「許すまじ!(ゴゴゴゴゴ」ではあるんですが(笑)、一皮むけたらいい俳優さんになると思います。

短期間で小規模の上映だったのが大変悔やまれるところですが、作品のクオリティは間違いなく一級です。比較的長時間の作品なので通してみるのも大変ですが、DVDなどでリリースされたらぜひ見ていただきたいと思います。ハリウッドさながらのガンアクションもたっぷりだし、アジア独特のワイヤーアクションも大いに楽しめます。そういう部分の爽快さを存分に味わえる作品です。おススメですよ!


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