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がんばりすぎずにあるこうや。

19歳のチャンピオン

ソチオリンピックが始まっています。フィギュアの男子シングルでは、羽生が日本勢として初めての金メダルを獲得しました。SPは平日前だったので見られませんでしたが、週末にかかるFSは夜更かしして見ていました。ミスはありましたが金は金。日本の男子がオリンピックのチャンピオンになったのです。なんとも誇らしく、嬉しいことです。

ISUのサイトでは各演技のの得点の詳細が公開されています。フリーの得点詳細を見ると、羽生は演技後半に3Aのコンビネーションを含む難易度の高いジャンプを集中的に持ってきて、技術点を稼ぎまくっているのがわかります。最初のクアッドサルコウは転倒しましたが、サルコウの完成度はもともと高くないのでこれは想定内でしょう。もともと演技構成では羽生のレベルは非常に高くて、ミスなく滑るとダントツでポイントを稼げるといわれてはいました。後半の技はほとんどミスなくこなしましたんで、その目論見どおりに技術点を積み上げて、トータル280点という高い結果を出しました。

数シーズン前の羽生はとにかく筋力とスタミナが課題でした。演技後半は目に見えてバテバテで、ジャンプの見栄えもしないしステップもグダグダだし、だから後半に高難度の技を置くなんてもってのほかだったんです。ここ2シーズンくらいで目に見えて体力がつきまして、加えてコンディションをコントロールしてしっかりスタミナを出し切ることを覚えて、こういう構成もできるようになったんですね。

最大のライバルだったパトリック・チャンは、羽生の演技を受けての直後の演技になりましたが、こちらも目に見えるミスを連発して得点が伸びませんでした。チャンがあれほどミスを出すというのはちょっと記憶にないですね。最初の4T+3Tで審査員全員が+3点をつける完璧な技を見せたので、これはサクッとパーフェクト出すかと思いましたが、そうはいきませんでした。

個人的には、結果として全体的にミスゲームになってしまったのがちょっと残念ではありました。プレッシャーのかかりにくい第3グループにいたデニス・テンが銅メダルを獲得したように、最終グループの選手の演技はこのレベルにしては精彩を欠いたといわざるを得ません。羽生も第一声で「悔しいし、満足はしていない」と言ったのは全くそのとおりで、金メダルを獲得したことは大変に嬉しいことだけども、完成度という意味ではもうひとつでした。次の4年間はそれをまた追求していくことになるんでしょう。

中継で解説をしていた本田武史は、バンクーバー高橋大輔が銅メダルを取ったときには思わず泣いてしまってましたが、今回はやや落ち着いて話していました。が、フラワーセレモニーになるとやっぱり涙ぐんでましたね。本田が男子シングルで孤軍奮闘してたのって、ほんの十数年前のことなんですよ。それからあっという間に選手層が厚くなって、世界選手権であっという間にメダルを取って、オリンピックメダリストも現れ、それからわずか4年で頂点に立つまでになりました。なんとも急速な進歩です。この流れが途切れることなく、今度は羽生が引っ張る側になって、後進がどんどん育ってくれるといいなと思います。

年末に実家に帰ったときに家族でもフィギュアの話になりまして、母と弟が羽生を指して「ナルシストなんじゃないかって感じがしてどうも苦手なのよね」と言っていました。僕も羽生の演技はいまひとつ苦手なんですけど、でもそれくらい「自分に自信がある」ようでないと、大きなプレッシャーは受け流せないのかもしれません。羽生は、今度は追われる立場になります。4年後に向けて、まずは4回転サルコウをきちんとマスターすること。その上で、良い意味で「変わらない」でいることができれば、2連覇を果たすだけの実力も伸びしろも十分にあると思います。

来週は女子のシングルですね。ライバルは強いですが日本勢も強い。遠慮せずに力を出し切りこの舞台を楽しんで、いい結果が出るように祈っています。


心配していたちばぎんカップは、予定通り開催されることになりました。ひと安心。伝統の千葉ダービー、久しぶりのジェフのサッカーをたっぷり楽しんでこようと思います。