stellacadente.blog

がんばりすぎずにあるこうや。

王国再興の足掛かり

少し時間が経ってしまいましたが、ソチオリンピックが閉幕しました。日本選手団は、金1、銀4、銅3の計8つのメダルを獲得。98年の長野大会に次ぐ記録だそうで、全体としては大健闘ですね。大会前に大きく期待されながらメダルを獲得できなかった選手がいた一方で、話題にならずとも地道に力をつけ、大舞台で素晴らしい結果を得た選手もいて、オリンピックとは面白いものだなぁと思いました。テレビ放送が深夜になったりしてなかなか満足に見られなかったりもしましたが、2週間ちょっとの間たっぷりとスポーツを楽しみました。

フィギュアスケートの女子シングルは、SPもFSも平日前だったのでオンタイムでは見られず、録画したものを後日見る形になりました。見る時点で結果は知っていましたけど、フィギュアは結果を知ってても演技を楽しめていいですね。今回は見たい選手がたくさんいて、ショートもフリーも見るのにずいぶん時間がかかってしまいました。オリンピックは出場選手の演技を全部放送してくれるのでありがたいです。

結果は、アデリナ・ソトニコワが地元開催でロシアに初めての金メダルをもたらしました。連覇を目指したキム・ヨナは僅差で2位。3位はカロリーナ・コストナーで、悲願のオリンピックメダルに到達。ミスゲームになってしまった男子と違い、女子のシングルはとにかくめちゃめちゃレベルが高くて、ひとつのミスが大きく勝敗を分けるような、緊迫した展開になりました。すごいですね。みんなどんどん上手くなっていく。

SPの時点で上位3人はもう突き抜けてしまっていましたが、最終的にはこの3人は別格の演技を見せました。勝ったソトニコワは、3連続の最後が若干ステップアウトしただけであとはパーフェクトの演技。演技中にも自信を深めたのか、後半になるほどにキレが増して見栄えも良くなり、GOEもどんどん加算して、フリーで149点台という脅威的なスコアをたたき出しました。地元開催ですから多少盛ったかな?という感じはなくはないものの、しかしオリンピックチャンピオンに全くふさわしい演技だったと思います。ロシアの女子に、ようやく新たな光が差し込んだという感じですね。ロシアは団体戦でも優勝しましたし、ソトニコワも17歳とまだ若いですから、これは"フィギュア王国"ロシアの復活は近いかもしれません。

キム・ヨナは、ショートはまさに圧巻でした。文句のつけようもない。強い。フリーでは後半にやや動きが重くなってしまって、その分得点が伸び切りませんでした。いや、144点も十分高いスコアなんですが、バンクーバーで150点台を出しましたんで、本人としてはやや不満だったのかな。でも、ヨナのトリプルルッツは本当に目を奪われますね。エントリースピードから回転力から高さからフォロースルーまで、高いレベルでまとまっているのです。この大会を最後に一線を退くということで、可能ならば後進の育成に力を尽くしてほしいと思います。ヨナのおかげで韓国の若手2人が大きな舞台を経験できていますし、少し時間はかかるかもしれませんが、せっかく確立した流れを途切れさせてしまうのはもったいないですから。

ヨナを同じく今回を最後のオリンピックにすると決めていたコストナー。フリーの曲は「ボレロ」で、これは個人的にすごく楽しみにしてました。期待に違わず、実に優雅に滑る様は、やはりヨーロッパの女子を長年引っ張ってきた一流選手のものでしたね。大きな体を活かしたダイナミックな演技が持ち味なんですけど、特に後半からフィナーレに欠けては音楽にもよくマッチして、最後もビシッと決めて見せました。痺れました。3人ともメダリストにふさわしい演技でした。

日本勢は少々残念な結果になってしまいましたが、でもこれが現在の日本女子の立ち位置なんだろうなぁという印象です。メディアで散々期待を煽られてはいましたが、すんなり金メダル争いに加わっていけるほど、まして表彰台を独占できるほど、日本勢のコンディションは整っていないことは自明でした。日本の選手にとっては、まず年末の全日本選手権でオリンピックの出場権を獲得することが最重要。ですから、シーズンのピークをそこに持っていかなきゃいけないわけです。それから2か月の間に、休息をとってまたピークに上げてというのは、相当な無理難題だったと思います。よく「世界で最も熾烈な代表争い」と言われますが(真偽のほどは別として)、それが仇になってしまった感は否めません。

それでも、浅田のフリーの演技はすごかったですね。ショートで出遅れて優勝争いから脱落したことで、余計な力が抜けたのが良かったのかもしれません。3連続ジャンプの最後で少しミスをした以外はパーフェクトでしたね。浅田は常々「パーフェクトな演技をしたい」と言っていたので、この大舞台でそれを達成できて大変満足したんじゃないでしょうか。演技構成の技術レベルはすごく高くて、回転不足やルッツのエラーエッジでやや減点されてしまいましたが、技術点はメダリスト3人よりもずっと高いんですね。それを遺憾なく発揮したフリーでした。

なんかもう、書きたいことがいっぱいで全然まとまらないんですがw

ヨーロッパ選手権で優勝して一躍注目を浴びたユリア・リプニツカヤは、団体戦での圧倒的な演技を見て、これはキム・ヨナと一騎打ちかもしれんと思いました。でも個人戦では思ったようにいかなかったようです。八木沼さんが「彼女にしては珍しい」というミスをいくつも出してしまって、結果は5位。リプニツカヤの演技はこの大会で初めて見たんですが、すごく冷え冷えとした演技をしますね。感情が見えないわけではないですが、えらく冷めてる。ジャンプは低い軌道でくるくるっと回って、フォロースルーはちょっとぎこちない。一番の武器は柔軟性で、「キャンドルスピン」という名がついている脚上げアップライトには度肝を抜かれました。なんじゃありゃ。

15歳。次の平昌では19歳で、ソトニコワや今回出場できなかったラジオノワらとともにロシアの女子を引っ張ることが期待されますけど、しかしこの4年間は身体の成長との戦いになると思います。柔軟性を武器にする選手が、17歳~18歳くらいの身体の成長に伴って思うような演技ができなくなり、国際大会の一線級から遠ざかってしまうのを何度も見ています。長い手足を大きく使ってダイナミックな演技をしたキミー・マイズナー。身体を大きく反らした変形レイバック「パールスピン」を武器に観客を魅了したキャロライン・ジャン。好きな選手たちだったので、急速にスランプに陥ってしまったのが本当に残念でした。リプニツカヤには、どうにか身体と上手く付き合って壁を乗り越えてほしいと思います。

3月には世界選手権ですね。今年は埼玉開催なので見に行こうかなと思ってましたが、悩んでいるうちにチケットが売り切れてしまいましたw まぁテレビ放送もありますし、J Sportsでは全選手をフルで再放送してくれると思うので、それで楽しもうと思います。

本当は他にも素晴らしかった選手がいるし、エキシビションもあったし、あとは他のオリンピック種目についても書きたいんですけど、また別の機会にします。ずっと書いてるとキリがないからねw