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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ交流戦を見てきました

シーズン前になでしこリーグのチームが千葉に集まって、合同で集中トレーニングゲームを組む「なでしこ交流戦」が行われました。今年は4回目の開催で、1部と2部の6チームが参加。遠方の強豪チームと練習試合を組める機会はシーズン中ですらあまりないので、戦力を見極めたいシーズン前には貴重な機会です。4日間の日程で開催されましたが、最終日の土曜日にジェフレディースの試合を見に行ってきました。

土曜日は2試合が行われて、午前は習志野レナウン茜浜グラウンドで仙台と、午後はユナイテッドパークで浦和と対戦しました。登録されている27人のうち21人が出場。ポジションや組合せをいろいろ試したり、新人選手との連携を確かめたり、見るべきところもやるべきこともたくさんあって面白かったです。チームとしては相手のスカウティングも兼ねてるでしょう。スタッフの少ないジェフレディースに、スカウティングするまでの余裕があったかはわかりませんけれども。

僕は練習試合を現場でじっくり見たのは今回が初めてで、公式戦とは違ったリズムや流れがあってなかなか興味深かった。1日に2試合をこなすという日程面の考慮もあったと思いますが、前半と後半でメンバーやポジションをごっそり入れ替えるなんてこともやるんですね。タイトルや成績に関わらないトレーニングマッチならではで、面白かったです。

ジェフレディースのチームとしての仕上がりは、まだまだもうひとつというところじゃないかな。この日は仙台に1-1、浦和には3-0で勝ちまして、交流戦全体としても7試合で5勝2分負けなしですから、結果としては大変上々です。ただ、ビッグチャンスを決めきれなかったり、バックラインの裏を取られたりギャップを突かれて大ピンチを招いたり、ビルドアップもなかなか上手くいかずに中盤省略のような攻め方になってしまったり、内容を見ると決して手放しで喜べるわけではないのですよね。まぁ、シーズン前ですから課題は多く出てきたほうがむしろいいわけで、開幕までの1ヶ月でしっかりチームとしてのサッカーを仕上げていければ良いと思ってます。

ご贔屓の上野紗稀ちゃんは、1試合目の前半と2試合目の前半、さらに2試合目は後半25分から再出場で、合計110分間プレーしました。いずれも左のサイドバック。相手陣内までポジションを上げて、攻撃に参加していこうという意志は強く感じましたし、実際深いところまでドリブルで持ち上がって、中央の菅澤さんに惜しいラストパスを送ることもできました。相手を背負いながらのドリブルに迫力が戻ってきたのは好印象でした。前のサイドハーフが誰になるかで、攻撃面での積極性はずいぶん変わってくるかもしれませんね。チームのスタイルに合わせつつ、自分の強みを活かせるシーズンになるといいな。初ゴールが待ち遠しい。

試合後に元気に「開幕戦、待ってます!」と笑顔で言われてしまったので、今年もガッツリ通うしかないですね。今季のなでしこリーグは、J2とのハシゴがしづらいし、長い中断が2回もあるし、平日開催も組まれてるしで昨年以上に大変なシーズンになりそうですが、気合を入れて追いかけて行こうと思いますよ。 


では、ユナパの浦和戦でお披露目された今シーズンの新ユニフォームとともに、交流戦に出場したジェフレディースの面々を軽く振り返ろうと思います。

現時点ではやはりセカンドチョイスの根本望央。ケガ明けという新加入の木付が本格的に復帰すれば、ベンチ入りの枠を争うことになるでしょう。セーブやキックは山根と比べても遜色ないものの、やはり気になるのはコーチングの少なさですね。

 

レフトバックで110分出場の上野紗稀。今季は熾烈なレギュラー争いに勝つことが最初の試練です。マルチロールでない分、このポジションのスペシャリストとして他を圧倒することが必要。弱点をなくすか強みをさらに伸ばすか、果たしてどちらか近道か。

キャプテンの櫻本尚子。この日は午前に45分のみの出場でした。試合後にかなりへばってたので、コンディションが良くなかったかな。とはいえ、ジェフのバックラインにはやはり必要不可欠です。いるといないとでは安定感が全然違いますね。

 

今季はスタメン争いに名乗りを挙げたい鶴見綾香。ポテンシャルを示した昨シーズンから、今年は定位置を掴むシーズンへ。貴重な左利きのストッパーとして、しっかりアピールを続けられればポジションを勝ち取れるだけの実力はあるはずです。

ピッチの内外で表情が一変する若林美里。「美里」と書いて「みのり」と読みます。昨シーズンは不動の右サイドバックで、今年もレギュラーにいちばん近いところにいるのは間違いありません。今季は真ん中にもチャレンジするのかな。

 

常盤木学園からの新加入になる西川彩華。上背もあって足元も巧い、インサイドハーフとしてはもってこいの人材。練習合流から日が浅いためか、まだチームのサッカーに不慣れな部分も。でも、個人的に今季の新加入選手では一番期待しています。

ストライカーとしての地位を確立した筏井りさ。この日は新境地のボランチでプレー。持ち前の運動量で中盤を仕切り、攻撃陣を巧みにコントロールしてました。プレースキックの精度も健在。でもやっぱり、この人はゴールに近い位置でプレーしたほうが活きる気もします。

 

満を持してトップ昇格となった「ジェフレディースの秘蔵っ子」安齋結花。ドリブルの鋭さに磨きがかかり、ダイナモとしてのポテンシャルを顕在化しつつあります。課題はインテリジェンスの成長。判断力と視野が向上すれば、さらにステップアップできるはずです。

絶対エースの菅沢優衣香。代表にも定着して、もはや代えの利かない選手です。現時点ではまだトップコンディションではないように思いますが、それは本人も自覚している様子。代表合宿を挟んで、開幕までに隊長と精度を磨いてくれれば、それでいいと思います。

 

ジェフレディースの「魂」といって過言ではない深澤里沙。持ち前のガッツと恐れを知らないハイプレスは健在で、周りと巧みに連携を取りながら攻撃の形を作っていました。筏井とは違った魅力を持っているストライカーなので、並立させるか競わせるかは興味深いところです。

ボランチの瀬戸口梢(#13)。技術も展開力も高く、また中盤の選手ながら得点力もあって、機を見てゴール前に顔を出して狙っていく積極性も売りのひとつです。90分動き続けられるだけの運動量を備えるのが課題ですが、それも克服しつつあるように思います。

 

中盤ならどこでもこなす島田綾子。ちょっと器用貧乏みたいな面もあるのがもったいないですが、交流戦ではゴールも決めてアピールには成功したと思います。中盤は力のある選手が多いのですぐにベンチ入りとはならないでしょうが、辛抱強くがんばってほしい。

スヌーピー大好き女子の小池快。下の名前は「こころ」と読みます。センターバックとしては4・5番手くらいの序列。巧いんだけど、その巧さを活かしきれてないところがもったいないです。出番さえ増えれば人気出ると思うんだけどなぁ。

 

守護神の山根恵里奈。以前は「ただデカいだけ」という印象もありましたけど、ここ1~2年でかなり成長しました。今年はまず失点を減らすことが一番の課題。その要として、さらなるレベルアップを期待します。やっぱり最後は山根さんにかかっているのだよ。

小さな巨人」保坂のどか。ようやく大ケガ前のパフォーマンスを取り戻しつつあります。この人はとにかくよく走る。小さい体でちょこまかと動き回ります。ボランチの人材が増えたので、今季は本格的にサイド転向になるかも。

 

現役女子高生の鴨川実歩。次代のエース候補として、経験と修練を積んでいる段階。切り返しやドリブルの鋭さは目を見張るものがあります。なんといってもU-17で世界一を経験した逸材。期待値は高い。

この日は右サイドバックで90分間プレーした安田早希。ジェフレディースには「さき」が3人もいるので、「やす」とか「やさき」と呼ばれます。なかなかベンチ入りもできていませんが、この日は安定したプレーを見せました。やはり辛抱強くアピールを続けることが大事ですね。

 

ユースとの二重登録になる松本直美。左右のサイドバックに加え一列前もこなすマルチロールで、線の細さからは想像もできない迫力満点のディフェンスが魅力です。アカデミーで長く見てきた三上監督としても、何としても一人前に育て上げたいところでしょう。

常盤木学園から新加入の三橋明香。ストライカータイプのセカンドトップで、ボックス近辺でボールを持つとまずゴール方向を確認する意識の高さが印象的でした。まずはチームのサッカーに慣れてもらって、その能力を遺憾なく発揮してほしいです。

 

3年目になる松浦渚。鳴り物入りで入団しましたが、いまひとつ出場機会に恵まれていません。ただ、交流戦ではゴールも量産してアピールし、いよいよ本格化を目指したいところ。ライバルが常盤木の後輩というのが何とも皮肉なところかな。

現役復帰した柳井里奈。サッカーに飢えて戻ってきた形なので、貪欲さは誰にも負けないはずです。中盤でのバランサー・コーディネイターとして、チーム全体をコントロールすることには長けた選手。チームの支柱としての役割も期待したいです。

北川紗希、川村真理、磯金みどり、千野晶子、大矢円佳、木付優衣の各選手は欠場でした。 北川さんはひたすらジョギング、千野さんはシャトルランの繰り返し、木付さんは試合前やハーフタイムには軽い練習メニューをこなしていました。磯金さんはユナパにはいましたが、身体を動かすことはせず。真理さんと大矢さんは姿を見せませんでした。