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がんばりすぎずにあるこうや。

ライブレポート 原点、生業、本領

Yuki Kajiura LIVE vol.#12 "7days Special" 東京公演 / 東京国際フォーラムホールC

時に無茶苦茶ななコンセプトを持ち込んでコンサートを刊行する梶浦由記さんですが、今回は3種類の公演形態を、東京と大阪で計三回しするという強烈なもの。3種類でセットリストが全く違ううえ、同じ形態の公演でも登場するゲストによって曲がいくつか変わるという、まさしく「出演者泣かせ」なライブツアーになりました。僕が見に行った3公演で演奏された曲は、合計でしめて70曲。この「70」という数字のインパクトよ。

Yuki Kajiura LIVEのいわゆる"通常営業"に最も近かったのは、いわずもがな「日本語封印Special」でした。梶浦さんによれば、劇伴や楽曲提供などを含めてこれまで作曲してきた曲のうち、日本語を含むものは全体の5%に満たないそうです。それだけ非日本語曲が多ければライブでプレイされる曲も非日本語曲が中心になるのは必然なので、こういう曲のラインナップはいわば「定番」なんですね。

定番曲もあれば初披露の曲もあり、腰を落ち着けて比較的ゆったりと楽しめました。「heigen」は僕は大好きな曲で、ヴォーカルの明るいハーモニーが特徴的なさわやかな曲です。タイトルの「平原」というイメージそのままに、壮大な音の広がりと重なりを感じることができます。北欧伝統の歌唱法「ヨイク」を取り入れていて、歌ったJohan Sara Jr.さんを招いての完全版をいつか聴きたいなと思っています。叶うといいな。

この日のみのゲストヴォーカルでREMIさんも登場でした。REMIさんの高音は本当に綺麗で、混じりっ気のない澄んだ水のような響き。トークでしゃべるのは初めて聞いたんですけど、鈴が鳴るようなコロコロとした声で、きれいだけどなんか現実味がないですねw 衣装はかわいらしくまとめて、今までとはまた違った印象でした。

初めてこのライブを見る人や、歌詞を中心に曲を聴くという人からすれば、意味を追いづらい曲ばかりが並ぶこの形態はさながら「異常」の部類だと思いますけど、僕はどちらかというとヴォーカルも含めて「音」を楽しむタイプ。なので、意味がなくても耳触りのいい音が並ぶ音楽は聴いてて心地いいです。なによりこの「日本語封印」は、2008年に行われた Yuki Kajiura LIVE Vol.#1 のコンセプトでもあって、いわば梶浦さんのライブの「原点」。梶浦さんの作る音楽を楽しむには、この形態が一番なのです。

音を楽しむタイプとしては、インストゥルメンタル楽曲がほとんどという構成の「SoundTrack Special」は、個人的にもとっても楽しみにしていました。席は2階席の最後方という位置取りでしたが、しかしほぼ中央で音の響きには偏りのない位置取り。じっくりと音楽を聴くにはちょうど良かったです。この日はゲストミュージシャンが多く、フルート、アコーディオン、パーカッション、イーリアン・パイプと、様々な楽器が登場しました。

イーリアン・パイプという楽器を生で聞いたのはこれが初めて。バグパイプは何度か聞いたことがあって、それと似たものかと思ったんですが、構造とか音色は全然違いますね。振り返ってみれば、これまでの梶浦さんの曲には随所にイーリアン・パイプが使われていて、梶浦さんの音楽には欠かせない音色ではあったのです。僕はケルト音楽のようなヨーロッパの民俗音楽もわりと好きなので、生のイーリアン・パイプの音は耳に心地よくて素敵でした。

トークコーナーでは、メンバーさんがそれぞれ演奏している楽器の「豆知識」を披露してくださって、これは大変に面白かったです。初めて聞く楽器や聴く機会の少ない楽器はもとより、なじみ深いと思っていたギターやドラムに関しても、思わず「へぇー!」と唸ってしまうようなトリビアがたくさん。このコーナーの寄せ集めだけでイベント1回くらいできてしまいそうです。素人にはわからないいろんなこだわりがあったりもするようで、聞いててとても楽しかったですね。

SoundTrack Specialとの連続公演で開催された「日本語オンリーSpecial」は、FictionJunctionの本領発揮。全体の5%に満たない日本語曲でも、ホールが一番盛り上がるのはやっぱりここなのです。なんだかんだで、ノりやすいんだよね。定番のポップス調だから、メリハリもあって歌姫ズもガンガン煽ってくるし、馴染みの曲ばかりだからファンもみんな歌えるし。楽しいですよ、やっぱり。

See-Sawの曲をセルフカバーするが最近のマイブームだという梶浦さんですが、今回はすべてが「.hack//」の曲。.hack//といえば僕が初めて梶浦楽曲に触れた作品なので、いわゆる思い出補正バリバリなのですよ。だから、懐かしさもあってちょっと感動しちゃってね。すごく嬉しかった。

とりわけ、アンコールでの「edge」。これがものすごかった。疾走感と鋭さを兼ね備えたまさしく「エッヂの効いた」曲ですが、迫力、音圧、ハーモニー、バックサウンド、どれをとっても一級品。何よりも再現度がピカイチでした。石川智晶さんのヴォーカルに全然負けてませんでした。いやー感動した。あの曲だけプレイバックしてもう一度聞きたいです。

「dream scape」や「水の証」を久しぶりに聴けたのもうれしかったし、最後に「ユメノツバサ」をみんなで歌えたのも楽しかったです。ユメノツバサも、ライブ初期からやってるから思い入れが強くてね。あの曲を歌って、拍手して、カーテンコールでEverlasting Songが流れるっていう、このとても明るい空気感が素敵でした。とっても楽しかった!

いろいろ無茶をやる梶浦さんですが、でも僕はその無茶に全力でくらいついていくと決めたのです。だからこれくらいなんてことはない。7月の追加公演も楽しみですし、これからまたどんなめちゃくちゃなライブをやってくれるのかも楽しみです。まだまだ音楽の旅は続くのです。


セットリストは以下のとおりです。

Day2 日本語封印Special

M01. swordland
M02. luminous sword

- Talk -

M03. voyager
M04. jublee
M05. 空の境界未来福音~ M7
M06. in the garden of sinners ~ paradigm

- Talk -

M07. I miss you
M08. lotus
M09. absolute configuration

- Talk -

M10. I swear
M11. everytime you kissed me
M12. my long forgotten cloistered sleep

- Talk -

M11. Rainbow ~Main theme~
M12. Sword Art Online M15
M13. cynical world
M14. 目覚め
M15. she has to overcome her fear
M16. zodiacal sign

- Talk -
M17. heigen
M18. maybe tomorrow

E01. Crush
E02. Alone
E03. Bloody rabbit
E04. contractor

- Talk -

E05. paradise regained 

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Day4 昼公演 SoundTrack Special

M01. トラブルメーカー (連続テレビ小説花子とアン」より)
M02. そこに生きる人たち (連続テレビ小説花子とアン」より)
M03. My Story連続テレビ小説花子とアン」より)

- Talk -

M04. Mather land nostalgia (連続テレビ小説花子とアン」より)
M05. 曲がり角の先 (連続テレビ小説花子とアン」より)
M06. にぎやかな日々 (連続テレビ小説花子とアン」より)
M07. 今を生きる (連続テレビ小説花子とアン」より)

- Talk -

M08. EAT-MAN THEME (TVアニメ「EAT MAN」より)
M09. aerial fight (TVアニメ「ソードアート・オンライン」より)
M10. Tonky (TVアニメ「ソードアート・オンライン」より)
M11. daily life, you and me (TVアニメ「ソードアート・オンライン」より)
M12. another state of emergency (TVアニメ「ソードアート・オンライン」より)

- Talk -

M13. Decretum (TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より)
M14. Desideriu (TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より)
M15. Salve, terrae magicae (TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より)
M16. Venari strigas (TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より)
M17. Symposium magarum (TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より)
M18. Numquam vincar (TVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より)

- Talk -

M19. first love (映画「東京兄妹」より)
M20. Sweet MemoriesOVA.hack//Liminality」より)
M21. we're gonna groove (TVアニメ「MADLAX」より)
M22. carnaval in blue (TVアニメ「エル・カザド」より)

- Talk -

M23. hit it and run! (TVアニメ「エル・カザド」より)

E01. moonflower (TVアニメ「コゼットの肖像」より)

- Talk -

E02. Red Rose (アルバム「Fiction」より)

- Talk -

E03. a farewell song (TVアニメ「noir」より)

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Day4 夜公演 日本語オンリーSpecial

M01. eternal blue
M02. storytelling

- Talk -

M03. ひとりごと
M04. 星屑
M05. storm
M06. 秘密
M07. elemental

- Talk -

M08. distance
M09. here we stand in the morning dew
M10. dream scape

- Talk -

M11. 黄昏の海
M12. 記憶
M13. 君がいた物語

- Talk -

M14. 水の証
M15. 光の行方
M16. 銀の橋
M17. 時の向こう 幻の空
M18. stone cold

E01. edge
E02. Parallel Hearts

- Talk -

E03. ユメノツバサ