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がんばりすぎずにあるこうや。

皇后杯準々決勝 チームの歯車

第37回皇后杯 全日本女子サッカー選手権
準々決勝 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●0 - 2○アルビレックス新潟レディース

負けたら終わりのトーナメント、しかもそれはそのまま今シーズンを終了を意味するわけで、大阪行きのお金も浮いたことだし行ってしまえ!と意を決して、12月の極寒の仙台まで行ってきました。ユアスタはこれまで行ったことがなくて、一度行ってみたかったですしね。コンコースは広くないけど、トイレもきれいだしスタンドは傾斜があって見やすいし、スクエア型なのでどの席でもピッチに近い。噂に違わぬ素晴らしいスタジアムです。

3回戦から約1か月という長いインターバルを経て迎えた試合。その間には、各世代別代表の活動があったりイベントがあったりで、なかなか地チームとしての調整も難しい期間でした。ジェフレディースとしては珍しく千葉でミニキャンプを張って、ユナパも使わせてもらってみっちりトレーニング。初タイトルを獲得するために、やれることはすべてやるという意気で、気合を入れて仙台に乗り込みました。

新潟は今季リーグ戦3試合で1勝1分1敗。実力は拮抗していて、良い部分が出ればバッチリはまって圧倒できるし、それが出せなければジリジリと押し切られてしまうという関係です。今回も、良くも悪くもジェフと新潟の試合"らしい"前半になって、お互いにチャンスは作るけど攻めきれず、決定機は精度不足や相手の攻守があって得点できずじまい。個人個人は良く奮闘しているし良いプレーもあるんですけど、チームとしていまひとつ歯車がかみ合ってないのです。どうにかこうにか我慢して、山根さんのスーパーセーブもあって、なんとか無失点で折り返しました。

チームとしてうまく試合を作れないとなると、いわゆる"一発待ち"になります。セットプレーとかスーパーカウンターとか、個人のスーペルなプレーで試合が動くことになる。それを演出したのは、残念ながらジェフの選手ではなく、新潟の"女王"上尾野辺でした。左からのCKと、ゴールライン際の芸術的なヒールトラップで、2ゴールをアシスト。反対側だったのでオンタイムではよくわからなかったけど、リプレイ見たらまぁ見事なプレーですよ。一つの個人技で流れを変えられるってのは、もう才能だよね。周りもそれにきちんと呼応してるし、そういうチーム力の差が、ここにきて出てしまったのかもしれません。

最前線の菅澤さんは、新潟の北原に密着マークを受けてほとんど仕事をさせてもらえませんでした。ポストプレーも精彩を欠き、良いときのジェフレディースが持つテンポのいいオフェンスが全く機能しませんでした。それならばと、中盤から前の選手は左右にぐるぐる動き回って、なんとか新潟のDFをこじあけようと必死に走りました。両サイドバックも積極的にオーバーラップしてクロスも上げました。しかし、結局は完封負け。悔しさの残る試合展開で、ジェフレディースの2015年は終わりました。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

左のサイドバックでフル出場。脚のケガもすっかり癒えて、左サイドで攻守に奮闘して走り回りました。シーズン序盤は出番が少なくなって、そこにケガが重なったりもして心配したけど、最終的には元気にピッチを走り回れるようになって、本当によかった。

個人として守備面で相手に崩されることはなかったし、むしろ持ち前のフィジカルと冷静な判断でピンチの芽を何度も摘み取ったほどです。今シーズンは守備を意識をより一層高く持ち、対人で負けないことはもちろん、ぶち抜かれてもその後に傷口を広げないようにしっかりプレーしきることを考えて、一段レベルアップできたと思います。

攻撃でも、チームがキャッチフレーズにしている「ゴリゴリドリブル」が復活してきています。柔らかいタッチで2人くらい抜き去るのなんか、もうわけないね。惜しいクロスも上げてアシストもつきそうだったし、贔屓目あるけど本当によくがんばってました。だから、それが報われなかったのが余計に悔しいです。

今年最後になっちゃったので、出待ちして少し話もさせてもらいました。開口一番「あーあ、おわっちゃったぁ」って、見るからにしょんぼりでした。昨年の西が丘のときもこんなだったな。シーズンの最後を笑って終われないのはさびしいです。笑って終われるチームはひとつしかないんだけど、でもみんなそこを目指してたからね。来年こそ、笑って終わりたい。

上野ちゃんもしょんぼりでしたけど、試合後はみんな悔しそうでした。深澤さんは泣き腫らしていたし、磯金さんはゴール脇でうずくまったまましばらく動けなかった。美里さんは目に涙をためながら、それでもゴール裏に来て1年間のお礼を言ってくれました。山根さんは出待ちの僕らを見つけて、一度乗り込んだバスからわざわざ降りて出てきてくれて、とにかく反省しきりで「すみませんでした」を言ってばかりでした。負けたというより、これで今シーズンが終わってしまうっていう悔しさのほうが大きかったと思います。このチームメンバーでできるのって、たった1シーズンしかないんだもん、少しでも長くサッカーやりたかったよね。

ジェフレディースもこれで今季の活動を終了しました。しばらくのオフを挟んで、来季はまた恒例の千葉合宿から始動の見込み。オリンピックに関連した代表活動もあって、リーグ戦はイレギュラーな日程になるかもしれませんが、来年こそはタイトルを獲得できるよう、僕もがんばって追いかけようと思います。しばらくはゆっく休んで疲れを癒して、英気を養ってまた来年がんばろう。1年間お疲れさまでした。