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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ1部第9節 課題は課題のまま

2016 プレナスなでしこリーグ1部
第9節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●0 - 1○浦和レッドダイヤモンズレディース
2016/05/15(Sun.) 17:00 浦和駒場スタジアム
7位(勝点9)→8位(勝点9)

大変な盛り上がりを見せるフクアリの"裏開催"になってしまいましたが、今年も駒場に行ってきました。昼開催であればフクアリとのハシゴも考えなくはなかったんですけど、駒場はナイター開催が比較的多いですね。急に気温が上がって初夏の陽気になった今日この頃ですが、日陰になるメインスタンドは夕方になれば一気に肌寒く、ちょっとシンドイ観戦になってしまいました。

前節にシーズン2勝目を挙げ、今シーズンは不調が続いている浦和を相手に浮上のきっかけをつかみたいジェフレディースは、前線の構成をやや変更して臨みました。ツートップの一角を寛ちゃんから安齋さんに変え、空いた右サイドにみっつーを起用。若く経験の浅い浦和のバックラインを相手に、積極的なドリブルでひっかきまわせるアタッカーを持ってきたのでした。その他はいつもと変わらず。

試合は、両チームにそれなりの決定機があり、相手ゴールのすぐ近くまで迫るものの、最後のフィニッシュの精度や詰めの甘さでネットを揺らせない、という展開に終始しました。ジェフは中盤でボールがほとんど落ち着かず、浦和のチェックをどうにかくぐってサイドに展開するも、局所的に常に数的不利を受けてチャンスを作れない。浦和は自陣バイタルから中盤付近で効率よくボールを奪っても、ショートカウンターのスピードが上がらずにジェフのプレスバックを許して体制を整えられ、結局外に逃がされてしまう。ジェフの瀬戸口さんとにっしー、浦和は筏井さんと猶本と、みんなポテンシャルの高い選手のはずなんですが、お互いの相手に対してチームとしてどう対処するか、その上で中盤はどういう役割を担うのか、という部分が、全体的に共有されきっていない印象でした。言ってみれば、典型的な下位チーム同士の対戦になってしまったわけです。

どちらのチームもゲームを作れず、ゴール前での詰めもやりきれないとなると、こういう試合はいわゆる「一発待ち」になります。個人のスーパーなプレーで状況が一変する、致命的なミスやファウルを犯す、飛び道具で均衡が破れる、そういうことで試合が動きがちです。この試合でその「一発」をモノにしたのは、残念ながら浦和のほうでした。左コーナーからの早いストレートなボールに、一瞬フリーになった柴田が右足をハードヒット。前半に脚を痛めてピッチに倒れ、相当な痛がりようで「これはプレー続けられないだろ・・・・」と思ったんですが、タフにプレーを続けて最高の結果をもたらしました。

前線と中盤が存在感を発揮できない中で、印象に残ったのは4人のサイドバックでした。両チームともビルドアップがサイドに偏りがちなので、どうしてもハーフとバックの2枚がカギになる。サイドハーフは中央とのリンクに徹したり真ん中でプレスの人数をかけるのに加わったりするので、空いたスペースにサイドバックが飛び出していくことが多くなりました。千野さんと上野ちゃん、それに塩越と北川も、積極性と運動量、キックの鋭さなどで試合全体に強烈なインパクトを残したと思います。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

サイドバックでフル出場。前述のとおり、中盤でのビルドアップが上手くいかない中で、サイドからの組み立てとオーバーラップによる攻撃参加、鋭いドリブルで存在感を示しました。90分を通して運動量も落ちず、精力的に走り続けました。急な気候の変化にもしっかり対応して、コンディションを整えられているようです。

柴田とのマッチアップはもう何度も経験しているし、いつも大きく崩されることはないので、それほど心配せずに見ていました。逆に厄介だったのは塩越で、この人はドリブルしながらでも結構なスピードを持っているんです。スプリントの回数はこなせても元々スピードがそれほどあるわけではない上野ちゃんなので、懸命に食らいついてライン際に追いやって、ボールを外に出してしまうか対面での1対1に持ち込むのが精いっぱいという感じでした。それでもできることをきちんとこなしていたのが立派です。

攻撃でも守備でも、やろうとしていること、取り組んでいることは決して間違ってはいないと思う。今はチーム全体の歯車がちょっと噛み合ってなくて、それぞれが孤軍奮闘のような形になってしまっているので、それで結果がついてこなくなってるのです。昨シーズンとは戦術が変わっているので、三上監督が志向しているやり方の中で自分の役割をしっかりと自覚し、それを持ってお互いにちゃんと要求し意見を言い合うことが大事。相手によってはうまくハマることは分かっているのだから、いつでもそれができるように地道に積み上げていくほかないと思います。がんばろう。

これでリーグ戦は折り返しです。9試合で9ポイントは、まったく不本意な成績というほかない。中断前の残り2試合は、ベレーザと仙台という上位が相手でタフな戦いになるでしょうが、しぶとく走りぬいて、後半戦につながる試合をしてほしいと思います。