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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこL杯1部第3節 小さな差の積み重ね

2016 プレナスなでしこリーグカップ1部 Aグループ
第3節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●0 - 1○INAC神戸レオネッサ
2016/06/19(Sun.) 13:00 フクダ電子アリーナ
3位(勝点3)→3位(勝点3)

寒暖の差が激しいこのごろ、この週末はまた一気に気温が上がり、ジリジリと陽射しが肌を焼くほどでした。日曜日の千葉は湿気が多くて蒸し暑く、気候的にはタフなコンディション。それでもこの日は1800人を超える観客がフクアリに集まりました。

リーグカップでは実験的なシステムを試し始めている三上監督。この日もツートップの一角に松浦渚ちゃんが先発しました。ボランチ鴨ちゃん。大胆にメンバーを入れ替えることはないものの、少しずつ実戦経験を積み増すことで全体の戦力を底上げしていこうという意図がうかがえます。オリンピックへの出場がなくなって各チームがフルメンバーを組んできてますから、カップ戦で高いレベルを経験できることをうまく利用していこうということですね。

試合を通じて、リズムは一進一退という感じでした。両チームとも、中盤に十分な決め手がなく、しかし前線へのスピードは速くて迫力があり、それを迎え撃つ守備陣はよく統率されていてミスが少ない。INACの選手個々の能力が非常に高いのは周知の事実ですが、チームとして相対すればジェフレディースも決して負けていませんでした。むしろ体を張って積極的な守備を仕掛けるという点においては、ジェフのほうが一枚上手だったかもしれない。よく引き締まった好ゲームでした。

なので、勝敗を分けたのはちょっとした差の積み重ねでしかなかったのだと思います。ちょっとしたスピードの差、ちょっとした判断の差、ちょっとしたポジショニングの差、それが重なっての近賀の決勝ゴールでした。ショートカウンター気味に崩されたのはこの一度だけ。もちろん決定的なピンチは以降もたくさんありましたけど、相手のミスや粘り強い守備で乗り切っていただけに、一度のエアポケットがもったいなかったなとは思います。

ジェフもチャンスは多くありました。なぎちゃんも深澤さんも、後半から出場した菅澤さんも、決定的なシュートを幾度となく放ちましたが、最後まで押し切れず。悔しいシャットアウト負けになりました。なかなか思うようにはいきませんね。。。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

サイドバックでフル出場。前節の伊賀戦は前半だけ1列前で出場したようですが、この試合はいつも通りバックラインで90分を戦いました。

個人としては、守備と攻撃の両立には成功しているように思います。1対1の対人守備ではしっかり相手とボールが見えていて的確なプレスをできているし、スプリント勝負でも負けなかった。中盤や前の深澤さんとの連携も熟成しつつあって、特に後半は深澤さんを追い越しての攻撃参加も数多く見せて存在感を示しました。もちろんこれだけ積極的に前に出て行けるのは、空けた後ろのスペースを磯金さんや深澤さんがちゃんとケアしてくれているからなんですけど、本来の持ち味がどんどん表現できるようになっているのは、見ていてもワクワクしてうれしいです。

ビハインドの試合終盤には、前線にどんどん顔を出してオーバーラップを繰り返し、果敢にゴールを狙いました。バイタルエリアの狭いスペースを見つけてボールを呼び込み、ドリブル突破を仕掛けて敵陣を強襲し、とにかくゴールを目指して一心不乱という様相。鬼気迫るものすら感じられるくらい。

最終盤、ボックス内でのフィニッシュチャンスは、実に惜しかった。サイドのスペースにボールを出してそのままボックス内に進入、グラウンダーのパスにあと一歩でというところで、ほんのわずかの差で杉田にクリアされてしまったのです。リターンがちょっとだけ右脚側に入ってしまって届かなかったんですね。このときには、ピッチを叩きつけて悔しがっていました。あんなのはじめて見た。試合後の挨拶のときも、口を真一文字に引き結んで、見るからに悔しそうでした。

もう少し、あともう一歩です。その一歩が届かない。もどかしいね。でも、まだチャンスはあります。焦れずに続けていくことだ。

AグループはINACをはじめ、ベレーザ、伊賀、高槻と、地力のあるチームばかり。タイトル獲得への道は大変険しいですが、一つひとつの試合をしっかり戦って、ノックアウトステージへ、そしてリーグ後半戦に向けて、上昇気流に乗れるようにがんばりましょう。