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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこL杯1部第4節 岩清水梓という存在

2016 プレナスなでしこリーグカップ1部 Aグループ
第4節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●0 - 4○日テレ・ベレーザ
2016/06/25(Sat.) 16:00 味の素フィールド西が丘
3位(勝点3)→3位(勝点3)

一昨年の皇后杯以来、ひさしぶりに西が丘に行ってきました。今回はメインスタンドから。さすがに国立のサッカー専用球場だけあって、ベンチからスタンドからビジョンから、設備はとてもきれいでしっかりしています。これで全席に屋根がかかっていたら完璧なんだけどね。この日は明け方に雨が降った上に気温がぐっと上がって、サウナ状態で蒸し暑い。立ってるだけでも汗が吹き出てくる気候で、動き続けてる選手たちはなおさらキツかったろうなと思います。

この日は深澤さんが欠場。左サイドには小沢寛ちゃんがスライドして、ツートップの一角にはユース登録の佐藤瑞夏が抜擢されました。U-17代表として世界一を経験している有望株は、トップチームではこれが初先発。主に右寄りの前線にポジションを取って、スペースに出てくるボールを追いかけて攻撃の糸口を作ったり、相手バックラインへに積極的にチェックに行ったりと、精力的に動き回りました。右サイドの安斎さんもこの日はよく動けていて、この2人でジェフの前線を活性化していましたね。

前半はお互いにセンターラインが不調でした。ベレーザの土光、ジェフは西川と磯金がいまひとつで、後方からうまい具合にボールがまわらずに決定機を作れないという試合展開。前線のパワーとスピードで、ジェフは2本、ベレーザは5本のシュートを放ちましたが、もうひとつ相手を崩しきれず押し切れずという感じで、スコアレスで前半を終えました。この前半のうちに得点を奪えていれば、また気持ちの余裕も違ったんでしょうが、それができなかったのが運の尽き。

ハーフタイムに選手を入れ替えなかった三上監督に対して、前半のチーム状況を見たベレーザの森監督の決断は早かったです。土光を下げてベンチスタートだった岩清水にスイッチし、センターラインの土台を整理。これで試合のリズムがガラッと変わりました。後半からは左サイドに長谷川唯が入っていましたが、それよりも岩清水の存在感が光った印象です。

センターバックに安定感が戻ったことで、ボランチの阪口のポジションがぐっと前に傾き、比例して両サイドバックのポジションが高くなります。呼応して前線がコンパクトになってボールが回りだして、試合があっという間にベレーザのものになります。ジェフの選手は相当に戸惑ったことでしょう。その戸惑いが整理される前に、左サイドをえぐって先制ゴール。さらに中央に籾木を投入して全開モードに。セットプレーでも岩清水を警戒してマークが分散したところで、右コーナーから阪口のヘッドで追加点を獲得。メンタルの折れたジェフの守備陣を蹂躙してさらに2ゴール。圧倒的なレベルの差を見せ付けて、ベレーザが圧勝しました。

どうにか抑えられていたベレーザが、岩清水一人だけでこんなにも違うチームになるのです。とんでもない選手ですよ。

大敗ですが、ただの大敗ではないような気がしています。4失点無得点、シュートはベレーザの11本に対して2本、後半はゼロ。CKは前半の1本だけ。数字上でこれだけの差が出ていてなお、数字に表れないレベルの差を感じました。黄金期を迎えているベレーザと、調子に乗り切れないシーズンを過ごしているジェフ。両者の隔たりは大きいですが、いろいろな面でベレーザに学ぶべきところは多いのだろうなとも思います。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

定位置の左サイドバックと、最終盤にはアタッカーとしても起用され、90分間フル出場しました。チームとしても難しい試合展開になりましたが、この試合は個人としても強みを発揮できないまま終わってしまいました。

前が深澤さんでなかったのが影響したのか、それともチームとしてゲームメイクのイメージを共有できていなかったせいなのか、アタッキングサードまで上がれるシーンはあまりありませんでした。前半こそ角度のあるクロスを入れたり中央とのリンクに走ったりという場面はありましたが、後半は守備に奔走することになって、ハーフウェイを越えることもほとんどできず。それでも、1列前にスイッチした直後に村松に猛烈にプレスを仕掛けてボールを奪おうとするなど、アタッカーとしては何とか1点を奪おうと前がかりにプレーを続けましたが、時間も少なく効果的な仕事はできませんでした。

ここまで「何もできなかった」という試合は、今年に限ってははじめてじゃないかと思います。バックラインの一員として4失点は重い結果で、残りのシーズンを戦う上で守備の再整備は急務です。試合後のクールダウン中も櫻本さんと積極的に話し合うなど、問題意識はしっかりあって何とかしようとしているのはよくわかります。いくら対策を施しても、それを実現しようとするのは本当に難しいのがサッカーというスポーツ。1回の致命的なミスすら許されたないディフェンスラインにあって、いろいろと見つめなおすのにいい機会にはなったかもしれません。

次でカップ戦も折り返しです。高槻も油断ならない相手ですが、ここで勝てば準決勝へまだ望みをつなげられます。この先に向けての分水嶺になりそうな一戦、ホームの力で必ず勝利をつかみましょう。