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がんばりすぎずにあるこうや。

皇后杯1回戦 はじめの一歩

第39回皇后杯 全日本女子サッカー選手権大会
1回戦 つくばFCレディース●2(0 PK 3)2○福岡J・アンクラス
2017/10/28(Sat.) 14:10 四日市中央緑地公園陸上競技

強豪ひしめく関東の予選を勝ち抜いて、つくばFCレディースが初の皇后杯本大会に出場しました。リーグ戦で結果が出せず、予選でも大変な苦戦を強いられながら、それを潜り抜けてたどり着いた晴れの舞台。残念ながら天気まで「晴れ」というわけにはいきませんでしたが、気持ちも新たにクラブの歴史に新たな一歩を刻む一戦です。当日はJFA-TVでライブ配信もされ、緊張しつつ会場に入りました。

では、栄えあるスターターに選ばれたメンバーを振り返ります。
GKは青柳麻理鈴(#1/岡山湯郷Belle)。
最終ラインは4人。右から、三間睦美(#6/スフィーダ世田谷)、衣奈知鶴(#8/武蔵丘短大)、水島久美(#15/岡山湯郷Belle)、藤井志保(#4/神戸親和女子大)。
菊地さやか(#21/東京情報大)と、今回は大木汐(#13/日体大)のダブルボランチ。右ワイドに藤原優未(#24/東京国際大)、左には井上藍(#11/日体大)。
シャドーの位置に牛玖真保(#23/FC.VIDAレディース)が入って、最前線に豊嶋舞子(#18/関東学園大)が構えます。

東予選のあとに内田前監督からチームを引き継いだ奥監督(ヘッドコーチから昇格)は、これまでスタメンに固定されてきた原島未季(#7/関東学園大)をベンチに下げ、また攻撃のタクトを振る亀井祐美(#10/聖和学園高)をメンバー外にするという、大変思い切った策に出ました。負傷明けから間がなくコンディションが上がっていない遠藤れい良(#19/大和シルフィード)もメンバー外。奥監督のコンセプトが如実に表れるメンバー構成でスタートしました。

前週に大雨の田んぼ状態でJFLを開催し、この日も2試合をこなすハードスケジュールが組まれた四日市のピッチは、ところどころ芝がめくれてしまうほど難しい状態。ただ、雨の量は多くはなく、水が浮いてしまうようなことはありませんでした。

試合序盤から福岡がグッと前に圧力をかけてきて、つくばはそれをまともに受けてしまい、全体的にプレーがリアクションベースになってしまいました。特にサイドでの攻防はかなりバタついていて、常に数的不利を強いられるような状況に。守備時の最終ラインと2列目の距離感も中途半端になってしまって、押し込まれる場面が多くなりました。それでも、ゴール前では人数をしっかりかけてボールを跳ね返したし、ピンチをちゃんと潰せていました。

失点は、クロスだか狙ったんだかよく分からないふわっとしたボールが、絶妙の弧を描いてゴールに吸い込まれてしまったもの。こちらも呆気にとられてしまいました。

ハーフタイムに「セットプレーから一発で取りたい」と思っていたところ、後半開始早々にCKからミズのヘッド弾で同点。目論み通りですね(笑)。後半のつくばは、平面でパスをつなぎながらなるべく早いテンポで相手陣地までビルドアップするスタイルを徹底。濡れて早くなったピッチ状態はむしろこのスタイルには好都合で、ボール捌きを得意とする知鶴さんとミズのセンターバックに、本来は左サイドバックが本職の大木ちゃんが巧くハマって、平面サッカーでは中盤を完全に制圧しました。意思疎通の難やパス精度そのものの低さでボールをロストしてしまうことはあったものの、つくばの「やりたいサッカー」がやれていると、勝ち越しもできるぞと期待していたし、実際チャンスも作ったんですが、残念ながらそのまま延長戦になってしまいました。

前半をお互いゴールレスで折り返した延長戦の後半。相手のCKからのカウンターで相手バックラインの裏を取った豊嶋が、スピードに乗って一気にドリブル突破。GKとの1対1を華麗なチップキックでかわして、起死回生の逆転ゴール!舞子はリーグのレギュラーシーズン最終戦以来、実に3か月ぶりのゴールです。つくばFC随一のスピードスター。僕は密かに「舞子プラズマ」と呼んでいるんですが、類稀なスピードで今シーズン何度も相手DFをぶち抜いてきました。GKとの1対1も多くありましたが、正面に当ててしまったり枠外に飛んだりと、決定率は高くなかった。それを、今回は緩やかに上を抜くという新しいやり方で覆しました。

リードを保って終盤に入って、勝利を目指して必死を声を出して。遅々として進まない時計を何度も見て、残り50秒を切ったのを確認して「勝てる!」と思って目を上げた刹那、アンクラスの7番がミドルレンジから放ったハーフボレーが、無情にもゴール右上隅に突き刺さってしまいました。

勝つというのは、これほどにも難しいものかと。ここまで来てこれほどがんばっても、それでも勝利の女神はこちらについてくれないのかと。

なんとか気持ちを上げて、残り時間とPK戦に臨みましたが、想いも虚しく初戦敗退となってしまいました。

悔しい。本当に悔しいです。相手はチャレンジリーグプレーオフで残留を争ったチームで、決して簡単な相手ではありませんでした。でも、つくばFCも関東予選を通じてチームの実力を上げ、第7代表とはいえ激戦の関東を勝ち抜いた力はフロックではないはずです。この試合も後半からペースを握り、チームとしての強みを発揮して逆転ゴールを奪った。このまま勝ち切れるはずだった。それが目前で消えてしまったのは、本当に悔しくて悲しかった。

でも、リーグ戦と比べてチームの状態が飛躍的に向上しているのは確かに実感できました。アンクラスプレーオフで対戦したときは、同じような豪雨の中で0-3と惨敗した。それが、ここまで拮抗した試合をできるようになったのです。自信をもっていい。勝てなかったのは悔しいけど、実力は発揮できていました。

初挑戦の皇后杯は、悔し涙で終わりました。でも、これで「全国で一勝」という新たな目標ができた。来年もまたこの舞台に帰ってきて、次こそは勝てるように。またがんばるだけです。

12月にはチャレンジリーグ残留をかけての入替戦があります。この経験を無駄にせず、今度こそ必ずみんなで笑えるように。1か月間良い準備をして、大一番に臨みましょう!


JFA TVによるフルサイズの録画配信はこちら。

同点ゴール(#15水島、51分)

逆転ゴール(#18豊嶋、109分)