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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ1部第1節/第2節 "伝説"を継ぐ者

2019 プレナスなでしこリーグ1部
第1節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●1 - 3○日テレ・ベレーザ
2019/03/21(Thu.) 14:00 AGFフィールド
第2節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース○1 - 0●ノジマステラ神奈川相模原
2019/03/24(Sun.) 12:00 ゼットエーオリプリスタジアム
-位(勝点0)→6位(勝点3)

2019シーズンのなでしこリーグが開幕しました。ミッドウィークの祝日にアウェイでの開幕戦、そして中2日でホーム開幕。いきなりの過密日程ですが、しかし両日ともよく晴れた青空の下、多くの女子サッカーファンがスタジアムに訪れ、新たなシーズンの開幕を楽しみました。

主力をはじめ、長くチームを支えてきたベテランや中堅の選手が多く退団した今季のジェフレディース。就任2年目を迎えた藤井監督のチームは、昨シーズンからコンセプトを継続して、さらに個のレベルと組織戦術をブラッシュアップするシーズンになります。各ポジションに新たな軸が求められる中、既存戦力と新加入選手がともに力を発揮する開幕2連戦になりました。

システムは4-4-2。バックラインの若林、千野、田中、上野と、瀬戸口・西川のドイスボランチがこのチームの骨格になります。守備時はセンターライン付近から複数人で近接プレスをかけ、相手の選択肢を限りなく少なくしてボールロストを狙う。センターバックサイドバックでチャレンジ&カバーの役割を明確にし、最終ラインの裏を的確にケアする。攻撃時は両サイドのバックとアタッカーが近い距離感でボールを引き出し、前線の大滝を中心としてワイドにペナルティエリアを狙う。
昨年とコンセプトは変わっていませんが、より一人ひとりのスキルが求められるようになったことで、プレーに磨きがかかったように見えます。開幕直後でしっかりコンディションが整っているということもあるでしょう。シーズンオフにいい準備ができたようです。

第2節での先制/決勝ゴールは、中盤からのショートカウンターで西川は鋭角なクロスをボックス内に供給し、これを鴨川がヘディングで決めたもの。流れとしてはパーフェクトでした。2014年以来5年ぶりに代替わりした新"10番"は、本職のセカンドトップの位置で前後左右にスプリントを繰り返し、前線を活性化しました。大滝の衛星として走りまわり、藤代や大澤といった若いサイドハーフからボールを引き出すべく奮闘し、またフォアプレスをしっかりカバーして、ルーキーとベテランのつなぎ役として申し分ない活躍を披露してくれました。
今年22歳とまだ若いですが、トップディヴィジョンでのプレーは中学時代から数えて8シーズン目を迎えるベテランでもあります。ジェフレディースのアカデミー出身選手としてはじめて10番を背負うことになり、緊張感もあると思う。先代に負けないくらいの活躍で、新たな伝説を作ってくれるものと期待しています。

今シーズンの新加入組では、センターバック田中真理子とFWの大滝麻未が2試合フル出場。藤代真帆も第2節に右サイドハーフでフル出場しました。
たなまりさんは上背があるのでこのポジションにはうってつけですが、どちらかというと"巧い"タイプのセンターバックですね。フィジカルや跳躍力で勝負するのではなく、ポジショニングとタイミング・判断力で対峙するのが強みです。スピードはそれほどないのでヨーイドンになると分が悪いですが、水際でとっさに身体を投げ出してのシュートブロックもできますし、最終ラインとしては頼もしいです。
あみさんは、まだいま一つチームにフィットしていないという印象。最前線でターゲットとしての役割は十二分に果たしていますが、周りとの連携、特にワイドからビルドアップして攻撃を仕掛けるときなどに、歯車がかみ合っていないように思います。速いテンポの攻撃でクロスにアタマ一発合わせたり、体幹の強さを活かしたパワフルなシュートには見ごたえがあるので、これからチームとしての練度を上げて、昨シーズン2部得点女王の本領を見せてもらいたいです。
藤代は本職はセンターバックだったと思うんですが、ここ2試合はサイドハーフで出場しています。ドリブルのキレを活かすにはこのポジションがいいのかな。ただ、まだ若干遠慮がちにプレーする場面があったり、フィジカル勝負で派手に吹っ飛ばされたりと、トップリーグの環境に不慣れな面も。ここは経験値が必要な部分ですね。

さて、ごひいきの上野紗稀ちゃんですが。

f:id:bugchan12:20190327213340j:plain開幕2試合はいずれも左サイドバックでフル出場。今季もこのポジションのファーストチョイスとなりました。開幕前にはケガの情報もありましたが、無事にトップコンディションで開幕を迎えることができました。

チームのコンセプトが変わっていないので、やるべきタスクも変わっていません。左サイドの守備では、たなまりさんに代わってスピード面でのエリア全体のカバーリングが重要になります。ここは上野ちゃんの得意分野ですから、特に難なくこなせるところ。攻撃面でいうと、深いところを鴨ちゃんやあみさんが追うようになったので、ミドルサードでのビルドアップと、インサイドに入り込んで逆サイドへのロングレンジフィードが肝要になります。サイドハーフをオーバーラップしてのアーリークロスという武器もありますが、ここ2試合はそういうシーンはなかったかな。クロスよりは、自分でボックス内に侵入してシュートを打っちゃうという意識の方を強く感じました。昨シーズンも度々見せた新たな持ち味を、さらに押し出していこうということのようです。

強い風の吹いた開幕戦では、風上の後半に右コーナーからインスイングで直接ゴールを狙いましたが、枠には飛んだもののコースが甘くなってゴールはならず。セットプレーは今季も基本的には瀬戸口さんが蹴るようですが、こうして場面によってはチャンスが巡ってくるだろうし、また新たな形でポテンシャルを発揮してくれるといいなと思います。

キャプテンとして3年目のシーズン。チームを象徴する選手が多く退団した中で、プロモーションなどで表に出る機会が増えているためもあってか、メインスタンドには2番を着るサポーターがずいぶん増えたように思います。名実ともにジェフレディースの顔となる今シーズン、求められる役割も多くなりますが、持ち前の芯の強さと明るさで、しっかり乗りきってくれると思います。



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