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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ1部第4節 再出発

2019 プレナスなでしこリーグ1部
第4節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース○1 - 0●マイナビベガルタ仙台レディース
2019/04/20(Sat.) 12:30 Jヴィレッジスタジアム
9位(勝点3)→6位(勝点6)

4月半ばでもまだ肌寒い福島に行ってまいりました。福島第一・第二原発の復旧作業拠点としてその機能を失っていたJヴィレッジが、8年の歳月を経てこの日全面再開。それを記念して、9年ぶりになでしこリーグの公式戦が開催されることになりました。試合には施設復旧に尽力された関係者の方々もお招きし、また地元の皆さんも多数訪れて、1,154人という大入りで、Jヴィレッジの再出発を祝いました。

カップ戦の中断週を挟んで公式戦2連敗となっているジェフレディースは、スピードタイプの小沢と鴨川、ターゲットタイプの大滝と山崎をワイドにバランス良く配置する新機軸に挑戦中。両サイドを中心とした多角的な攻撃を模索します。仙台もサイドアタックが基本戦術で、小野や安本がボールを触るシーンが目立ちました。真ん中でビルドアップすることが両チームともあまりなく、なので、ジェフの西川や仙台の浜田遥・白木あたりがあまり目立った印象がなかったのは、そういうことなんだと思います。中盤センターが機能していなかったわけではないと思います。

サイドを攻撃の軸にするということは、サイドバックが高いポジションを取ることになります。チームによってはいわゆる"つるべ"のように左右でバランスを取ることろもありますが、ジェフも仙台も左右が同時に吊り上がる。センターバックも引っ張られてポジションを上げるので、最終ラインがかなり高くセットされ、そのせいで前半はオフサイドがかなり多くなりました。お互いに高いバックラインの裏を狙おうとしていて、でもそれもよく分かっているので、ラインコントロールには非常に慎重になっていました。運動量と集中力が持続していた60分くらいまで「お!」というシーンがあんまり見られなかったのは、単純にゴールに近づけなかったと、双方とも守備陣が良く集中して守れていたということだと思います。

そうなるともう我慢比べになっちゃうわけですけど、先に綻びができたのは仙台の方でした。気温が上がってくるにつれて体力を消耗したのか、ショートパスやポジショニングのミスが目立つようになりました。高くセットされたバックラインにもズレが生じて、オフサイドを取り逃してGKとの1対1になるシーンも一度や二度ではなく、ジェフはそのミスに乗じて数多くのチャンスを作ることになります。

先制/決勝ゴールも仙台のミスからで、ビルドアップ時のミスパス鴨ちゃんがカット。一瞬ゴール方向を見て池尻が前に出ているのを見るや否や、思い切り右脚を振り抜きました。狙いすました30m弱のロングショットは、風に乗って絶妙な放物線を描き、池尻の右手とクロスバーのちょうど間にすっぽり。仙台のメンタルくじくスーパーなゴールでありました。ロング/ミドルのシュートは狙い目だったし、鴨ちゃんああいうの得意ですからね。素晴らしいゴールでしたよ。

仙台は大幅に戦術を変えてくることはしませんでした。ただバックラインのズレはどうしようもなく顕在化していて、あみさんや山崎が裏に抜け出してチャンスを作ることも多くなっていました。
あみさんは、ひとつ完全にフリーで抜け出して1対1になって、シュートも狙いすましてドン!と撃ったんですけど、これがなんとクロスバー直撃という悲劇。悲劇だよ。その前にも良い形のミドルがあって、それは池尻にセーブされてしまいましたが、しかしあれで取れないのではいつ取れるのかという。シーズン初ゴールはお預けとなってしまいました。
ただ、あみさんの強みや活かし方は、だいぶ見えてきた気がしますね。細かい足技は得意ではないけど、フィジカルも強いし高さもあるし、なにより脚でもアタマでも強引に撃っていけるセンスがある。ポストプレーだけでなく、ゴールに近い位置でフィニッシュに直結する仕事の機会が増えていけば、初ゴールは遠くないでしょう。期待しています。

さて、ごひいきの上野紗稀ちゃんですが。

サイドバックでフル出場。最終ラインでリーダーシップを取りながら、自身の強みを活かしてチームに貢献するべく奔走しています。コンディションも良好状態を維持しているようで、90分を通して運動量も落ちませんでした。嬉しいことです。

1列前の左アタッカーがいろいろと変わっていますが、うまく対応してチームの攻撃を活性化しています。山崎円美は高さもあってポストプレーが得意ですが、ボールをキープして落ち着けることもできる選手。ただパスの技術が高いわけではないので、判断を早くできるように周りがうまくサポートする必要があります。上野ちゃんも山崎の衛星としてボールを引き出し、アタッキングサードの深いところを使ってチャンスを演出していました。良いコンビネーションでしたね。

後半に仙台のチェックがルーズになってくると、さらに攻撃のギアを上げてインサイドに切り込んでいくことも増えました。コンビネーションからボックス内に侵入して、なんと右脚でのシュートも披露。惜しくも枠には飛びませんでしたが、左足のスペシャリストである上野ちゃんに「右脚もある」と思わせることは、相手にとっては脅威。練習しつつなかなか大成しない右脚ですけど、新境地を切り開くために、チャレンジを続けてほしいと思います。


【公式】第4節ダイジェスト:ジェフL vs マイナビ 2019プレナスなでしこリーグ1部 2019/4/20 Jヴィレッジスタジアム