皇后杯3回戦 侮ってはならぬ

第36回皇后杯 全日本女子サッカー選手権
3回戦 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース○4 - 0●藤枝順心高校

リーグ戦が終わっておよそ半月。年内最後のタイトルを目指す皇后杯がはじまりました。今年は男子の天皇杯が前倒しになったので、日程に余裕がある中での元日決勝です。ジェフレディースは今年も3回戦からの登場。というわけで、意を決して藤枝まで"ぷらっと"行ってきました。とにかくめちゃめちゃ寒かった！完全防寒態勢でどうにかという感じでした。売店のお姉さんによれば「今日は確かに寒いけど、でも藤枝は毎年こんなものよ」だそうで。恐るべし藤枝・・・・

順当であればスフィーダと当たるかなと予想していたんですが、アップセットがあって初戦は地元・藤枝順心高校との対戦になりました。高校チームとはいえ、高校選手権全国大会で優勝1回、準優勝1回の経験がある常連チームです。春のU-17女子ワールドカップで大活躍した杉田妃和や児野楓香といったタレントも所属する強豪チーム。加えて地元の大声援があります。ナメてかかると痛い目を見るぞと、気を引き締めて臨みました。

メンバーに多少の入替はありましたが、試合間隔が開いたこともあって主力組をしっかり出場させた三上監督。技術的な部分ではアドバンテージがありますから、試合のほとんどはジェフの攻め方で進むことになりました。加えて開始2分で相手のオウンゴールがあって先制できたことで、完全に試合のイニシアチヴを握ることができた。シュート16本、4得点で無失点という数字の通り、しっかりと快勝したという試合でした。

とはいえ、圧勝でもないし完勝とも言い切れない印象はあります。早々に先制したことで、試合をある程度落ち着けて余裕を持って攻撃のリズムを作ろうとしたジェフに対し、順心は労を惜しまない速いチェックと巧みなカバーリングでポゼッションを獲ろうとしました。順心が30分過ぎからジェフのペースに慣れてきた一方で、ジェフの選手は順心の恐れを知らないコンタクトと変幻自在のラインコントロールに最後まで苦労しました。変に受けて立ってしまって、なんでもないショートパスをミスしたり、ボールを持ってルックアップしてる間に間合いを詰められて簡単にロストしてしまったり。一つひとつのプレーを丁寧にやればなんてことはないんですけど、どうも気持ちを引いてしまったように見えました。同じカテゴリーの相手とやる試合とはずいぶん違いましたね。リズムも、気の持ちようも。

リーグ戦であまり出場機会を得られなかった選手が長い時間プレーできたのは、大きな収穫だと思います。2年目の松浦渚ちゃんは、セカンドトップの位置で効果的にボールを引き出して、フィニッシュへのつなぎをしっかりと組み立てました。見た目の印象と違って意外と上背もあって、ラフに蹴ってもボールがよく収まる。テクニックもしっかりしてるし、常盤木ブランドは伊達じゃないですよ。
それから、大ケガから復帰して初めての公式戦出場になった山本菜桜美さん。最前線で相手のバックラインと駆け引きをして、裏に抜け出す動きを何度も繰り返しました。それが実って、GKとの1対1を制しての復活ゴール！決めたときにはチーム全員が駆け寄って祝福しました。試合後もたくさんの「おめでとう！」をもらって、嬉しそうでしたね。

ところで、ご贔屓の上野紗稀ちゃんなんですが。

なんと、今回はメンバー外！現地についたころにウォームアップが始まりまして、ぴょんぴょん跳ねるポニーテールが見当たらないのでおかしいなぁと思ったのです。はるばる藤枝まで出張して、まさか一番見たかった選手を見られないなんてことになるとは思いもしませんでした。想定外も想定外よ。この貸しは西が丘での初ゴールで返してもらわねばなるまいｗ

左のサイドバックには、本来はストライカーの鴨川実歩ちゃんが入りました。鶴見さんがベンチ入りしていたので、つるちゃんを真ん中に入れて千野さんを右に出して、みのりさんを左に置くという選択肢もあったと思うんですが、三上さんはそうしませんでした。大幅な組み換えをして練習する暇がなかったということなのか、そうするとまさしく直近で何かトラブルがあったということかもしれません。情報がまるで見つからないので、欠場の理由はさっぱりです。大ごとでないといいのですけど・・・・。

皇后杯の3回戦はアップセットがほとんどなくて、なでしこリーグ勢が順当に勝ち上がりました。スコアを見ていると、なでしこリーグとチャレンジリーグの間にはものすごい実力差があるのだなと実感します。ジェフレディースの次の相手はINAC神戸。今季のリーグ戦では4戦して2勝2分と負けなしできています。でも向こうはこの最後の対戦を必勝態勢でくるでしょうし、気合も入ってると思う。こちらもしっかり気持ちを引き締めて、勝って東京に戻ってきてほしいと思います。