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がんばりすぎずにあるこうや。

今こそ、すべての力を結集するとき

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2020シーズンに臨むジェフユナイテッド新体制が発表されました。2017シーズンから3年間続いたエスナイデル-江尻体制を一新し、指導陣も入れ替わります。心機一転、新たなスタートです。

戦力整理は、印象ほど大きな変化はありませんでした。昨シーズン所属していた選手のほとんどが残留。退団は、他チームに期限付移籍していた選手がそのまま完全移籍に移行したり、期限付移籍が延長されたり、ジェフで出番を得られなかったローン移籍選手が帰還したのがほとんど。なので戦力的なマイナス分はほぼないでしょう。過去最低の17位という成績だったのにほぼ現状維持というのもやや違和感がありますが、高橋GMによれば「既存戦力を評価している」ということなので、残そうと思って残したということですね。J1からオファーがあったにもかかわらずジェフでプレーすることを決めてくれた選手もいますから、その評価が当たっていることを願うばかりです。

新加入は7人。すでに公式戦デビューを果たしている大卒ルーキーが2人と、U-18からの昇格、韓国U-23代表歴を持つ若い選手、そして完全移籍で3人です。GKからFWまで、7人全員がセンターラインの選手。つまりある程度一貫した方針をもって獲得に動いていたということで、ジェフの弱点を正確に補強するものになっているのだろうと思います。
個人的には、GKの新井とストライカーの山下への期待が大きい。新井の能力の高さはJ1のトップレベルで証明されていますし、山下は長らくジェフで活躍できていない"点で活躍してゴールを奪う"タイプのFWです。停滞気味の攻撃陣にカミカゼを吹かせてくれると期待してます。

新監督には尹晶煥ユン・ジョンファン)が就任しました。Jリーグのサポーターで彼の名前を知らない人は、おそらくいないでしょうね。選手としては韓国Kリーグと日本のJリーグでプレー。韓国代表としては96年のアトランタ五輪から2002年ワールドカップまでの経験があります。そして、指導者としての実績は言わずもがな。鳥栖を就任1年目でJ1に昇格させて定着させ、蔚山現代を上位へ争うチームに押し上げ、セレッソではやはり1年目でカップ戦二冠とリーグ3位を達成。監督としてタイトル獲得の経験がある人物がジェフの監督になるというのは、ずいぶん久しぶりです。もしかするとイビチャ・オシムさん以来でしょうか。Jリーグの文化と日本人選手の特性を熟知している人です。よくぞ来てくれました。

チームは新体制発表のあった6日に始動。早くも2部練習・3部練習を敢行して、ハードに追い込むトレーニングを重ねています。「テクニックがなければ走力でカバーする」という哲学は、ジェフにはよく浸透した考え方ですね。チームは来週から沖縄・南城市に入って3週間のスプリングキャンプを実施しますが、ここでも相当に厳しいトレーニングが課されることでしょう。恒例となったレイソルとのちばぎんカップで、その成果を見るのが楽しみです。

一方のレディースチームは、4人の退団・移籍が発表されました。上野、若林、西川と、主力として長年ジェフレディースの屋台骨を支えてきた選手がそろって移籍という事態には、驚きと衝撃を禁じえません。美里さんは海外チームへの挑戦を表明しています。上野ちゃんとにっしーは、なでしこ1部上位クラブへのステップアップとなる移籍。円佳はケガがちでなかなか満足に出番を得られませんでしたが、出場機会を求めて今季1部に昇格する愛媛に移ります。いずれのチームでも同じポジションに強力なライバルがいますから、スタメンを勝ち取るのは大変でしょうし、ジェフレディースにとっては戦力的に間違いなく大きな痛手ではありますが、4人ともジェフで培った経験を活かして、新天地でも活躍してほしいと思います。

新加入は7人。U-18からの昇格が3人と、大卒選手が4人です。U-18の大澤と大熊は、昨シーズントップ登録されて既に公式戦を経験済みで、特に大澤はほぼ主力のようなポジションで攻撃を活性化してきました。これまでトップ登録がなかった中尾も、U-19日本代表では中盤の要のポジションを任され、昨年のU-19アジア選手権優勝に貢献した1人です。なにより、ジェフレディースU-18は年明けに大阪で行われた全日本ユース選手権で、2年ぶりに優勝。大きな成果をもってなでしこリーグにやってきます。
大卒選手はいずれも即戦力です。日体大から加入する今井は、日体大FIELDS横浜の選手として公式戦79試合の経験を持つ即戦力。一昨年はインカレを制し、年代別代表の経験もあります。手薄になったバックラインにしっかりフィットしてくれるでしょう。

個人的に最も注目し期待しているのが、流通経済大から加入する広瀬桜です。はじめて見たのは2018年の夏、水戸で行われた国体関東ブロック予選に出場した茨城県選抜チームでした。地元開催となった昨年の国体でも選抜入りし、4ゴールを挙げて準優勝に貢献。所属する流経大でも10番を背負い、関東女子リーグ2部と関東大学女子リーグ2部でともに2位に導きました。テクニックとクイックネス、シュートセンスを併せ持つセカンドトップです。
つくばと茨城の女子サッカーを長く見ている身として、彼女のポテンシャルとパフォーマンスにはずっと注目してきたので、ジェフレディースに来てくれることになって嬉しいです。開幕からスタメンを勝ち取るのは大変かもしれませんが、黄色のユニフォームを着て存在感を発揮してくれることを期待しています。

監督は、2年間務めた藤井奈々さんが退任し、新たに猿澤真治さんが就任します香川県の中学校やJFAナショナルトレセンレノファ山口のアカデミーなど、育成年代を長く見ていた人だそうです。ジェフレディースの監督は長らく内部人事が続いていましたが、2007年シーズンの里内猛さん以来13年ぶりの外部招聘になりました。「優勝争いができるようなチームに」「なでしこジャパンに選ばれて活躍できる選手を」と、大きな目標とビジョンを掲げています。チームに新しい風を吹き込んで、上位を争うチームに成長させてくれることを期待しています。

例年どおりなら、1月下旬~2月にチームが始動。2月中旬には恒例になった「なでしこ交流戦」も実施されることでしょう。3月20日に開幕を迎えるなでしこリーグは、今年は東京オリンピックの影響で変則日程になることが見込まれます。3年ぶりのタイトル獲得を目指して、一丸となって戦い抜いてほしいと思います。