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がんばりすぎずにあるこうや。

J2第1節 走り切る、そのために

2010 Jリーグ Division 2
第1節 ジェフユナイテッド市原・千葉△1 - 1△ロアッソ熊本
-位(勝点0)→8位(勝点1)

上を目指して、決意を新たに迎える新シーズン。500人を超えるサポーターが、最西の地・熊本に乗り込みました。新生・江尻ジェフと、共に闘う開幕戦。オフにいろいろと試行錯誤を繰り返したので、どういったメンバーが組まれるのか、大きな関心の一つでした。

そのスタメンを振り返ります。GKは岡本。センターバックは茶野と益山の歳の差コンビ。右サイドバックは坂本。ちばぎんでは左サイドハーフを務めたアレックスが、今度は左のサイドバック。アンカーに山口慶。その前に佐藤勇人工藤浩平。右アウトサイドに谷澤、左が深井。前線は巻誠一郎です。ベンチメンバーは、櫛野、ミリガン、中後、倉田、村井、ネット、青木孝太と、たぶんに攻撃的。

前半は、全体のバランスがちぐはぐで、正直まったく形になりませんでした。坂本とアレックスの両サイドバックは、積極的なオーバーラップで中盤センターと絡もうとしていたし、工藤も佐藤もシンプルに前へ、縦へという意識がありました。が、両サイドハーフが少ないタッチではたくタイプ"ではない"谷澤と深井だった。特に谷澤はいいところがほとんど出せなくて、明らかに周りとリズムが違った。合っていませんでした。タメを作るためにボールを持って、うまいことボールをさばくのであればいいのですが、谷澤はそういうタイプの選手ではない。スタメンを見た時に谷澤がいることが少し意外にも感じましたが、緩急をつけたドリブルで相手DFをいなし、コントロールされたクロスボールを上げるのが谷澤のスタイルです。それは、今回のチームのスタイルとは合わないものでした。すり合わせをすれば解決できることではあるんですけど、まだ合わせきれていない感じでした。

守備に関しては、サイドバックの2人がミドルサードより前によく上がっていたこともあって、茶野と益山は守備一辺倒。ハイボールの処理は及第点レベルだとは思いましたが、特に益山は平面でのボールの処置が致命的に危うい。力のない短いパスをカットされて決定的なチャンスを作られたシーンが、少なくとも3度。昨シーズンのボスナー同様、センターバックは守備の要なわけで、ここがガタついたら、それは即失点なのです。このポジションでの経験が多くないことは多分に影響しているでしょうが、プレーの一つひとつにメリハリをつけてやってほしい。がんばれ。まだまだこれからなんだから。

後半、序盤はリズムもあまり変わりませんでしたが、状況が一変したのは、やっぱり倉田がきっかけでした。ショートパスをちびちび回す攻撃に、ドリブルと中央に絞る動き、選手同士がある程度の間隔をもってプレーする形が加わって、歯車が回りだした感じ。得点シーンは、右サイドバックの坂本のクロスに左サイドバックのアレックスが合わせて、最後はウィングに入っていた倉田が押し込むというもの。ボックス内に多くの人数をかけて打ち切るという、行ってみれば狙い通りの形で先制点です。ゴールの目前で迫力のある攻撃ができて、これは素晴らしかったと思います。

ただ、それにしても「シュートを打たない」シーンは目立ちました。マッチスタッツでは、シュート数は9本。後半はかなりゲームを支配できていたし、ポゼッションも高かった。ボックス内にボールを持ち込むこともできていたのに、シュートを打てないのでは話になりません。ゴール前に人数をかけている分、跳ね返されてしまってはカウンターの餌食です。この悪癖はまだ治ってないんだなと。確実にゴールを狙うことはもちろん大事ですが、ジェフは「手ごわいチーム」と思われているのだから、バカスカ打って、まず迫力で相手を圧倒してしまっていいのだとおもうのです。

残念だったのは、65分から運動量が激減してしまったこと。これは、実はミラー前監督のころから起きていることです。石垣島での1次キャンプで90分走れるためのトレーニングをしてきたとはいえ、深井や工藤などは傍から見ても疲労の色が濃くなっているのは明らかでした。それなのに、江尻監督は2枚目のカードを87分まで引っ張ってしまった。素人考えであっても、このタイミングはあまりにも遅すぎます。これは昨シーズンも何度か書きましたけど、迷っていてはいけないのです。最少点差でリードしている場面、運動量が落ちる兆候が見えたら、すかさずフレッシュな選手を入れて状況をキープして、ポゼッションが落ちるのを防がなきゃいけないのではないかな。中後やネットといった、ボールキープに定評のある選手もいるし、そういう選手を入れることで「攻めつつ、ポゼッションを上げて相手の攻撃機会を減らせ」というメッセージを送ることもできたと思うのです。

結果、意識の切り替えができずに、最後の最後で失点してしまいました。「またかー」というのが正直な感想ですけど、これを繰り返されては困ります。オフのTGでも、無失点の試合は数少ない。つまり1点では足りないんです。トレーニングで出来ないことがすぐに本番で出来るはずもなく、ならば「もっと点を取る!」という気合いと迫力を出さなけりゃ。

ちばぎんのレビューでも、点が欲しい、シュートを打てと書きましたが、今年のジェフはそれができると思うんです。中盤から前のタレントは驚くほどそろっています。ポゼッションをベースとした攻撃的なスタイルに異論はないし、そのコンセプトの下で作ったチームなのだから、点が取れないはずはない。だから「もっとアタッキングサードの迫力が欲しい」と書くのです。今週末ののホーム開幕戦、たくさんのゴールを取って、こんどこそ相手を圧倒して勝ちましょう。

[J'sGOAL]【J2:第1節 熊本 vs 千葉】レポート