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2010 Jリーグプレシーズンマッチ 千葉ダービーマッチ
第16回ちばぎんカップ ジェフユナイテッド市原・千葉○1(4 PK 3)1●柏レイソル

恒例のちばぎんカップです。試合前、冠スポンサーの千葉銀行が、Jリーグから表彰されました。鬼武チェアマンが自ら感謝状を贈呈し、Jリーグで最も歴史あるプレシーズンマッチを称えました。1995年にはじまったダービーマッチも、今年で16回目。伝統の"シーズンオープニングゲーム"です。

新加入選手12人を加えて、32人という大所帯になった今年のジェフ。ちばぎんカップですら「連日行われるトレーニングゲームの一貫」ととらえる江尻監督は、午前中のS.C.相模原とのTGも踏まえ、メンバーをシャッフルした構成にしました。

スタメンを振り返ります。GKには岡本。センターバックには茶野と益山。サイドバックは右に坂本、左は新加入の渡邊圭二。アンカーにはNo.6を背負う山口慶。2列目は4人。右から、深井、工藤、佐藤勇人、アレックス。ワントップに巻誠一郎。倉田、村井、太田はベンチスタート。中後、谷澤、伊藤大介は、午前のTGに出場したためメンバーをはずれました。

前半、柏のファーストアタックでいきなりの失点。林稜平のドリブルを坂本が対応しきれず、右サイドの深い位置からマイナス気味の速いクロス。これに対して岡本は反応できず、ファーに走りこんだ澤についていた渡邊も簡単に振り切られて、頭で押し込まれました。林のクロスはパーフェクトで、澤もよく見て突っ込みましたが、岡本と渡邊の対応はマズかった。岡本はポジショニング次第でクロスをはじける可能性も十分にあったし、渡邊は澤を全く捕まえられていませんでした。渡邊自身「守備はもともとの課題」と話しているので、自覚しているのでしょう。その後は修正して、柏の右サイドをきちんと抑えていました。

攻撃面では、右サイドと左サイドで全くスタイルが違うのです。

右サイドは、深井、工藤、坂本、山口を中心として、狭い範囲で細かくパスを回しながら、なんとか突破を図ろうとする攻め方。人と時間を多くかけて、グリグリと相手のバックラインを崩していこうするやり方です。ポゼッションはすごく高くて、ゲームを作るにはうまいやり方だと思いました。ただ、ビハインドの状況で、スピード感に欠けるため、中央に絶対的なフィニッシャーが待ち構えていないと結果が出づらいかなとも思いました。

対して左サイドは、サイドバックの渡邉とサイドハーフのアレックスで広いスペースを時間をかけずに使い、佐藤のシンプルなサポートも使って、短時間で一気にボックス内へボールを放り込もうとするやり方。佐藤のサポートは非常に効いていて、アレックスとのコンビネーションで何度もチャンスを演出しました。右サイドからの効果的なサイドチェンジが少なかったので、特に渡邊は見せ場を多く作れたわけではありませんでしたが、交代間際にアレックスとの簡単なパス交換から深くまで切り込み、意志のある鋭いマイナスのクロスを上げたシーンは、まさにサイドアタックの理想形。左足で速く低いクロスを上げるということは、すなわち「巻を生かしやすい」ということです。サイドハーフもできるアレックスを除けば、左サイドバックとしてはファーストチョイスになりえるでしょう。

交代は3枚。渡邊→倉田、深井→村井、工藤→太田。これね、システムがもう全然わからなくなっちゃうんですよ。や、選手たちはわかってると思うんですが、1枚の交代でどうシステムが変わるのか、外からだとぱっとは判断しづらい。そんなのが3回もあるんで、見てるほうは大変です。

倉田秋は「リズムを変えられる」選手です。右のアウトサイドに入った倉田は、坂本、工藤とパスを交換しながらも、軽い身のこなしと巧みな足技でバイタルエリアに君臨。中央へのクロスボールも精度が高くて、フィニッシュチャンスを何度も演出しました。体の使い方や背格好が、中後にすごく似ているので、ややもすると見間違えてしまいそう。プレースタイルも似ているかもしれません。ここ一番でも重要なピースになるかも。

もうひとり、この試合で大きな仕事をしたのが、アンカーの山口慶。時間と人数を多くかけて攻め、ボックス内にも多くにアタッカーが飛び込んでいくシーンが多かったことは収穫ですが、反面カウンターには脆さが出てしまう。フランサという絶対的なレジスタのいる柏は、カウンターのスピードがとにかく速い。ですが、山口が相手のボールホルダをガッチリと捕まえて守りきり、カウンターアタックの隙を与えませんでした。これは非常に大きかった。バックラインの1列前に、こうして「ストッパー」がいると、チーム全体に安定感が生まれますね。一昨年来、斎藤が担っていたポジションかな。

試合が始まって間もない時間帯に失点してしまったり、シュートチャンスをことごとくフイにして「シュートを打たない」ことが多かったりと、克服できていない課題は多いですが、「面白いサッカー」であることは間違いありません。ポゼッションの高さやパスまわりの良さは見違えるほどだし、チャンスを多くつくれている。シュート12本も、十分な数字だと思います。

これからさらにトレーニングゲームを重ねて戦術の練度を上げ、コンディションも整えて開幕を迎えます。開幕には、今回出場しなかった、和田や青木孝太、米倉、それからミリガン、福元、青木良太、林、ネットといった面々も融合してメンバーを構成するわけで、本当にワクワクします。そのワクワク感を、みんなもっている。14000人も集まったことも、その証です。

このチームが、今年どんなサッカーを見せてくれるのか。いよいよ、ジェフの2010年シーズンが始まります。

[J'sGOAL]【Jリーグプレシーズンマッチ 第16回ちばぎんカップ 千葉 vs 柏】レポート