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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ1部第1節 改革の片鱗

2016 プレナスなでしこリーグ1部
第1節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース△0 - 0△伊賀フットボールクラブくノ一
2016/03/27(Sun.) 12:00 ゼットエーオリプリスタジアム
-位(勝点0)→7位(勝点1)

長いオフシーズンが終わり、いよいよなでしこリーグが開幕しました。ジェフレディースは今年はホームでの開幕。ホーム開幕戦を臨海でやるのは、もはやお決まりになりましたね。全員そろってお披露目して、三上監督と櫻本さんが挨拶して、いよいよ2016年のジェフレディースが戦闘態勢です。

主力選手の退団と負傷離脱が重なり、開幕からいきなりのスクランブル発進。後ろは変わりませんが、システムをより攻撃的な4-1-4-1にシフトして、昨年の課題である得点力の向上を図ります。菅澤さんが離脱しているワントップには、ユース登録の小澤寛を抜擢。まだ高校2年生(この春から3年生)ですが、昨シーズン後半に臨時登録されてから試合にも出場して、ポテンシャルは実証済み。現役A代表に果敢にレギュラー争いを挑む若きストライカーに、期待も膨らみます。

試合は、90分を通してほぼジェフペースでした。2列目に4人を並べてワイドに展開したアタッカー陣を中心に、両サイドから様々なバリエーションで伊賀ゴールに迫ります。サイドハーフの安斎さんと深澤さんは、今年もそのダイナモぶりを遺憾無く発揮して相手のバックラインをひっかきまわします。安斎さんは、昨年に比べてオン・ザ・ボールの動きが洗練されたように思います。システムが変わってプレーエリアが多少限定されたこともあって、自分の役割がより明確になったのが奏功している様子。あんちゃんはとにかくインテリジェンスの成長が急務なので、いろんな経験をして引き出しを増やして欲しいね。

中盤センターは、前に鴨川実歩と西川彩華、アンカーに瀬戸口さんという配置。にっしーと瀬戸口さんは逆になるのが定石かと思ってたんですけど、おそらくはフィジカルと高さ対策でにっしーを前に置いたのかなと、前半はそう思ってました。でも、試合の要所要所を見ていると、どうやらそれだけが理由ではない。にっしーは、どうも僕が思っていた以上に足下のテクニックがめちゃめちゃ上手いのです。強いフィジカルでしっかりボールを収め、卓越したボールコントロールで少々のプレスなら簡単にかいくぐることができる。そうして前を向いて、裏に抜け出す動きの上手い寛ちゃんやあんちゃんに一発のチャンスボールを供給する。いわゆる「10番」の仕事を求められているということのようです。今回は結果が出ませんでしたが、才能と適性の片鱗は十分に感じました。名門・常盤木学園でまさしく10番を背負った選手だし、次は期待してるよ。

伊賀の守備が特別固いという印象もなかったんですが、ラストパスの精度が少し足りなかったり、決定的なチャンスもポストに嫌われたり、もうほんの少しのところでゴールには到達できず。まぁでも試合を通じてよく攻めたし、単調なだけでなく左右から中央から平面空中とパターンもいろいろだし、セットプレーもちゃんとチャンスになってた。ゴールは奪えませんでしたが、今後に期待が持てる内容ではあったと思います。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

レギュラー争いを制して、左のサイドバックでフル出場。三上監督も初っ端からドラスティックな変化は望まないでしょうし、ましてディフェンスラインは昨年一定の成果を上げている部分なので、ヘタにいじる必要もないという判断かもしれません。ただ、この地位が今後も安泰であるとは、上野ちゃん自身も全く思っていないはず。

守備面では昨シーズンから続いて全体のバランスを意識しながらのプレー。チーム全体が攻撃的にシフトしていることもあって、ジェフがボールを持った際のポジションは高く維持していました。その分カウンターで裏を取られるリスクは高くなりますが、スプリントで何とか食らいついて決定的なピンチは回避。磯金さんや瀬戸口さんもよくフォローしてくれましたしね。

ところで、今季は自軍コーナーキックでのポジション取りが変わりました。昨年はハーフウェイでカウンター対策要員を務めていましたが、今年はバイタルエリア付近に陣取って、二次攻撃の起点を任されています。事実、前半のCKの跳ね返りから見事な軌道のクロスボールを入れて、櫻本さんのアタマにドンピシャと合わせて見せました。ポストに嫌われてアシストはつかなかったものの、「とにかく一生懸命練習している」という左脚のロングキック精度は、確実に改善傾向です。こうして試合で使い機会が増えればさらに磨きがかかることは必至で、三上監督も大きく期待していることでしょう。

攻撃面では、深澤さんやにっしーとのコンビネーションから積極的に前へ前へ攻め上がりました。昨シーズンは鳴りを潜めていたアタッキングサードへのオーバーラップも幾度のなく繰り出して、自身の強みである攻撃参加を存分に発揮。シュートチャンスには恵まれなかったものの、前線との連携が今後成熟すれば、いずれ「結果」も出るはずです。

開幕前に話をしたときも、ダンマクに一筆書いてもらったときも、そしてイヤーブックの「動く選手名鑑」でも、ブレずに「今年は点を取る!」と言い切った上野ちゃん。今年のこのチームで、絶えずトレーニングを重ねていけば、その目標に確実に近づけると確信しました。最初に「狙ってますから!」と聞いてからもうすぐ2年です。今年こそ、悲願の初ゴールを。そしてできれば目の前でそれを見たいですね。

次の相手はベレーザです。言うまでもなく昨年のチャンピオンで、いま最も強いチーム。昨年のESでは完敗を喫して目の前で胴上げを見せつけられてしまいましたが、ただ毎年ベレーザ相手には互角以上の戦いができているので、それほど苦手意識があるわけでもない。次こそシーズン初日を勝ち取って、上昇気流に乗るとしましょう。がんばろう!