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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ1部RS第1節 めげずに前に進もう

2015 プレナスなでしこリーグ1部 レギュラーシリーズ
第1節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース△1 - 1△ベガルタ仙台レディース
-位(勝点0)→5位(勝点1)

2015シーズンのなでしこリーグが開幕しました。今年のジェフレディースの開幕戦はホームゲーム。お昼12時という早い時間のキックオフでしたが、春休みの親子連れを中心に800人ほどが集まりました。春らしく気温も上がってぽかぽか陽気の中、"聖地"臨海で今シーズンの戦いがスタートします。

2月の交流戦では2-0の完封勝利を挙げた仙台が相手でしたが、交流戦の内容は大して参考になりませんでした。湯郷から中野・有町という強力なタレントを獲得して前線の厚みが増し、おまけに浜田遥はフィジカルがかなり強くなって前線のボールをことごとく収める。これに嘉数を加えた4人の攻撃陣に、ジェフの守備は非常に苦労しました。スピードも速いしテクニックも巧いので、ジェフは運動量にモノを言わせてなんとか数的有利を作って守りきるという感じ。菅澤さんや筏井さんもポジションを下げてプレスに加わることもあって、粘り強い守備で最後のところを「やらせる」ことはしませんでした。

失点は非常にもったいないもので、ビルドアップ前にバックラインでゆっくりパスを回していたところを、西川彩華が目測を誤って相手にプレゼントパスをしてしまったのでした。完全なスクランブルで守備の人数が足りずに右隅にズドン。もったいなかったですね。常盤木学園から加入してこの日デビューしたルーキーには、ほろ苦い開幕戦になってしまいました。実際センターバックは慣れていないポジションで、本来はもうひとつ前のインサイドハーフで本領を発揮する選手。ポテンシャルは高いし、この日もこのミス以外はまったく及第点のプレーをしていたと思うし、これにめげずに再起してほしいと思います。

とはいえ先制したのはジェフでして、筏井さんの左脚コントロールショットのこぼれ球を菅澤さんが決めたもの。この2人のパフォーマンスは健在です。菅澤さんは2年連続の得点女王に向けて好スタート。筏井さんは左脚のキック精度にさらに磨きがかかって、もうどこからでもゴールを狙えるという感じです。この2人をなるべくゴールに近い位置でプレーさせるためにも、ボランチを含めた守備陣の奮闘は必須ですね。

バックラインが守備に追われている分、中盤のところでボールを落ち着けて縦に左右にボールを配球できれば、攻撃の手も多く繰り出せるはずでした。ボランチは昨年同様に瀬戸口さんと川村真理さんのコンビでしたが、なるべく高い位置で守備をしようとするバックラインと、数的不利を解消しようとポジションを下げる前線の間に挟まれてしまう格好に。全体がコンパクトにまとまっていたと言えば聞こえはいいですが、プレーエリアが極端に狭く窮屈になってしまって、ドリブルはおろかルックアップしてのワイドな展開も難しく、果ては落ち着いてボールを保持することもできない有様でした。こうなると真理さんの強みも活かしづらくなってしまうので、展開としては難しいです。見る相手と役割分担をもっと明確にして、スペースを作るような動きも欲しかった。

失点はもったいないものでしたが、試合のペースは一進一退で押しつ押されつだったので、引き分けという結果自体は妥当なものだと思います。仙台強い。仙台は選手が大幅に入れ替わって主力も多く抜けて、ガラッとサッカーが変わるだろうしどうなるかなと思ってましたが、前線の粘りがあって真ん中に優理さんがいて、元U-19代表の武仲がゴールを守ってる。なんだかんだでチームの力はあるわけです。次に当たるのは最終節ですが、そのときには攻撃力で圧倒して勝ち切りたい。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

今年の開幕はベンチスタート。89分に左のアタッカーとして交代出場しましたが、プレー時間は追加タイムを含めてわずか3分にとどまりました。汗をかく暇もなかった。同点の場面で、前への推進力を買われて攻撃のオプションとして投入されましたが、いかんせん時間が短すぎました。ボールは触りましたし守備機会もオーバーラップもありましたけど、正直まったくもの足りないよね。

サイドバックを務めたのは、本職が右の若林美里さん。西川さんがセンターに入った影響でポジションがシャッフルされた形ですが、全体として守備力に重きを置いたチョイスになったようです。たしかに、躊躇なく体全体をぶつけにいったり、いっぱいに脚をのばしてボールを絡め取ろうとする美里さんのディフェンスは、上野ちゃんにはないもので、一人で相手のボールホルダを確実に相手にできる守備力は魅力です。あのしぶとさ・しつこさは、かなわないなとすら思う。この開幕戦はそういう部分を重視して美里さんを起用したということで、サイドバックの攻撃参加が減ってしまっても、仙台の強力な攻撃をなんとか止めようということだったんでしょう。美里さんも、そのミッション自体は十二分にこなしていました。

ポジション争いが激しくなって、左サイドのスペシャリストとして抜きん出るものがないと、試合に出場することは難しい。それはシーズン前からわかっていたことです。最終盤でしたがアタッカーとして起用されて、それはつまり三上監督も上野ちゃんの攻撃への積極性は評価しているということ。そういう部分をより伸ばしていくというのも手だと思います。昨シーズンのリーグ戦全試合スタメン出場から一気に苦境に立たされた形ですが、むしろこれをバネにして、実力でレギュラーを奪い返してほしい。上野ちゃんならできるはずだ。

次もホームの連戦。フクアリにレッズレディースを迎えます。昨シーズンは結局一度も勝てなかった相手で、しかも着実な戦力補強でさらにパワーアップしています。強い相手ですが、ビビらず引かず、真っ向から立ち向かって、昨年のリベンジを果たしたいと思います。