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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこL杯1部決勝 どこまでもジェフレディースらしく

2017 プレナスなでしこリーグカップ1部
決勝 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース〇1 - 0●浦和レッドダイヤモンズレディース
2017/08/12(Sat.) 19:00 味の素フィールド西が丘

あの悔しさから1年。ジェフレディースが再び決勝戦の舞台に戻ってきました。日本女子サッカー三大タイトルのひとつ「プレナスなでしこリーグカップ」を賭けて、西が丘での頂上決戦。昨年ベレーザに敗れて準優勝に終わった雪辱を果たすために、強い気持ちで臨むファイナルです。トップチームの試合が前日金曜日だったこともあり、いつもより多くのサポーターがゴール裏に集まりました。

決勝の相手レッズレディースには、今季リーグ戦第2節のアウェイゲームで2-3で惜敗しています。チームとしての彼我の差をそれほど大きく感じる試合ではなかったものの、スペシャリティと高いクオリティを持つ選手をそろえるレッズレディースの攻撃を抑えきるのは容易ではない。かといってボールポゼッションを多く取れるわけでもない。ならばどうするか。

簡単なことでした。「技術の差を、運動量の差で埋める」。それは、前任のジャンボ上村監督の時代から現在の三上監督まで、脈々と受け継がれているジェフレディースのDNA。労を惜しまないフォアチェックと、ライン際までボールを追い続ける粘りと、身体をぶつけ脚を出し相手に楽をさせないしつこさ。そうやってジェフレディースのサッカーはできているのです。

ポゼッションも技術的なアドバンテージも、やはりレッズのほうが圧倒的に上でした。猶本も柴田も筏井さんも、塩越も菅澤さんも、みんなめちゃめちゃ巧いです。パスやキックの精度も、ポジショニングとカバーも一級品ばかり。それでも、にっしーは我慢強く菅澤さんに張り付いて決して自由にさせなかった。サクさんは的確なカバーと見事なスライディングでピンチを芽を摘んだ。美里さんと上野ちゃんも両サイドでボールをかき出しつづけたし、根本さんは終始安定したプレーを見せてゴールを守り抜きました。

前線でも、成宮が前半から前線で走り続け、深澤さんがいつもように頑張り、後半は安ちゃんがダイナモぶりを見せ付けてレッズの中盤とバックスにプレスをかけまくりました。これが最終盤になって大いに効きました。残り15分を切って、レッズの選手たちの脚が明らかに止まりましたからね。

延長も見えた後半追加タイムに、中央をドリブルでスルスルと上がった瀬戸口さんが、満を持しての左脚一閃。平尾の左手をかすめてゴールポストの内側にヒットしたボールは、そのままネットを揺らしました。ゴール裏は大爆発でした。あの瞬間の景色と興奮は、いま思い出してもゾクゾクします。

それから1分半の時間をきっちりクローズして、待ちに待った「優勝」の瞬間へ。嬉しかった。本当に嬉しかったです。チームとしてはじめてのタイトル獲得を、その真ん中で体験できて、みんなで喜ぶことができた。選手とコーチ陣とスタッフと、大勢のサポーターの必死のがんばりが報われて、本当に良かったです。
僕はジェフレディースの試合に通うようになってまだ5年目と浅いし、普段はメインスタンド見ているようなぬるいサポーターですけど、それでも想いを込めて応援してきたチームの選手たちが喜びを爆発させているのを見られたのが嬉しかった。おめでとうジェフレディース!悲願の日本一だ!!

思えば、一番大事だったのは「いつもと変わらない」ことだったんだなと思います。決勝だからといって、変に気合を入れすぎない。普段どおりに準備をして、いつものように試合に入り、ずっと積み上げてきたサッカーをする。選手全員が共有する「走る、闘う」の哲学を貫いて、ホイッスルが鳴るその瞬間までひたすら走ってひたすらファイトをし続けた。サポーターも、これまでと同じように横断幕を準備してアメグレを歌い、変わらず熱く応援する。みんながいつもどおりに「らしさ」を出し切ったことが、一番の勝因だったんだろうと思いました。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんです。

サイドバックでフル出場。これで今季のカップ戦は、10試合を900分フルタイム出場ということになりました。アタッカーが比較的充実したことと同じポジションにバックアップが見込めないことで、昨季のように試合途中にポジションを前に上げることはありませんでしたが、それでも攻守の両面で存在感を発揮し続けた大会になりました。

勝戦でも、レッズレディースの強力な攻撃陣を前にして一歩も引かず、終始冷静な対人守備とカバーリングを貫徹。準決勝と決勝を通じて左サイドを決定的に崩されることはありませんでした。大舞台での2試合連続完封は本当に見事です。
守備に重きを置いた分攻撃の強みを発揮する場面はそれほど多くはありませんでしたが、それでも後半にショートカウンターから中央のボックス手前までオーバーラップするシーンもあって、隙あらば狙っているぞという積極性を見せてくれて嬉しかった。

後半AT、中盤でのプレスから奪ったボールが瀬戸口さんに渡るのを見るや否や、左サイド奥のスペース目掛けておよそ50mの激走フリーラン。これに木崎が釣られてシュートコースが空き、瀬戸口さんの決勝ゴールを呼び込みました。90分を超えてもあれだけのロングスプリントができる。これこそが上野ちゃんの真骨頂です。その強みが、最高の形で結実しました。

今シーズンのはじめ、自身の環境が変わる最中に並々ならぬ決意で身に着けた、左腕のキャプテンマーク。ジェフレディースの初めての優勝カップを、最初に高く掲げる権利を、ずっと応援してきた選手が手にできたというのが、何よりも本当に嬉しかった。ゴール裏でのセレブレーションで、両手でカップを高々と突き上げる上野ちゃんのはじけるような笑顔が、とっても印象的でした。でんぐりのときの「せぇーの!」の掛け声も、いつもよりハイトーンでしたね。「私たち!ジェフ!」も目の前で見られて、最高の時間でした。

長らく勝てていなかったレッズに勝って、優勝カップを勝ち取ることができて、本当に良かったです。リーグカップはこれで終わりますが、すぐにリーグ戦が再開します。リーグ戦は残り8試合。ひとつでも上の順位でフィニッシュできるよう、変わらず応援していこうと思います。