stellacadente.blog

がんばりすぎずにあるこうや。

J2第14節 「圧倒する」ということ

2011 Jリーグ Division 2
第14節 ジェフユナイテッド市原・千葉○3 - 2●大分トリニータ
1位(勝点16)→1位(勝点19)

今回はちょっと別件バウアーがありまして、ホームゲームでは今季初の欠席と相成りました。前半終わりごろにiPhoneから経過をチェックしたところ、0-2のビハインド。なんとまぁと軽くショックを受けていましたが、7時ごろに用事が終わって再度確認したら、見事に逆転勝利を飾っていて、電車の中で思わずガッツポーズを作ってしまいました。いやいや、よくやってくれた。

で、昨日になってようやく録画した試合映像を全編見ることができたので、それに基づいて書こうと思います。結果も知っていたし、ジェフサポ諸兄のレポートblogをいろいろ読んだ後に録画を見たので、いつもと見方がだいぶ違うかと思いますが、あしからず。

まずはスタメンを振り返ります。GKに岡本。4バックは右から、山口、竹内、ミリガン、坂本が負傷欠場で、左サイドバック青木良太ボランチが今日は佐藤勇人ファン・ゲッセル。いつもはボランチにいる伊藤大介が、今回は右のアウトサイド。トップ下の米倉、左の深井、ワントップのオーロイは変わりません。サイドバックのバックアップには藤本が入っています。彼がフクアリのピッチに登場するのはいつになるでしょうねぇ。

90分を通じて、ゲームを作っていたのはほとんどジェフでした。今回は、ボランチの佐藤やファン・ゲッセルを中継して、ある程度パスをつないで形を作って攻める、ということをやっていたようです。バックラインからシンプルにオーロイに当てるだけでなく、ミドルサードの位置からビルドアップして、人数をかけて攻めるという、新しいスタイルを構築していこうということですね。ゲームを作るためのオプションはたくさんあるに越したことはないので、この試みはいいことだと思います。長いシーズン、1種類の攻撃パターンだけで乗り切れるほど、J2は甘くないですから。ドワイト監督は常々「目指すのはオランダ式のサッカー。創造的で、フィールドの支配者になるようなサッカーを作る」と言っています。ボールポゼッションを高めたアクションサッカーは、もしかするとドワイト監督が実際"理想"とするスタイルなのかもしれません。

始めたばかりなので、試みもほとんど形になっていませんでした。悪いことに、それによって守備面でほころびができてカウンターを何度か喰らい、前半に2失点。ボランチを最終ラインの距離が間延びしていました。奇しくもシーズン前に西部謙司さんが危惧した「距離感が開きすぎてプレーに柔軟性がなくなる傾向がある」という見解が当たってしまった格好。このギャップを宮沢がうまく使い、西弘則の快速ドリブルや土岐田の抜け出しを効果的に引き出していました。テクニシャン系の前田俊介と土岐田に対して、左サイドへの突破を許してしまったという点は、今後反省して修正すべき点です。左のディフェンディングサードは、これまでも度々ピンチを招いているジェフの"大穴"。そろそろ、何か大胆なテコ入れが必要かもしれません。

左サイドの守備や深井とのコンビネーションにやや難のあった青木良太を諦め、高さのある久保を投入したのが64分。ここまで大分は常に最終ラインを高く保って、一方で森島のポジション取りはやや低くし、ミドルサードより前でのハイプレスを続けていました。雨もあって大分のフィジカルダメージが溜まってきたところで、ドワイト監督は中盤と前線の枚数を増やし、ポゼッションとパワープレーを同時にやり始めました。つまり、最終ラインを山口、竹内、ミリガンのスリーバックに、アンカーにファン・ゲッセルを置いて、その前に佐藤と伊藤を置く逆三角形のトレスボランチ。米倉を右ワイドに展開させ、最前線をオーロイと久保のツインタワーにするという、数字で言うと「3-3-2-2」ですか、そんなフォーメーション。

これが効きました。伊藤と佐藤の中盤はもとより、久保と米倉、左の深井と、とにかく機動力のあるアタッカーがここまで揃って、グイグイと大分のバックラインを押し返していきます。前半は高い位置を保ってジェフの攻撃を封じていた大分でしたが、圧倒的な推進力に屈した形でベタ引きに。ジェフは、オーロイへの縦のハイボールと、両サイドからのクロス、あるいはカットインからのショットをとっかえひっかえ繰りだし続けて、大分をまさに"圧倒"し、「ゴールを奪うのは時間の問題」のような展開になっていました。とりわけ、竹内彬の2ゴール。後半はとにかく攻め続けられたこと、セットプレーを多く取れたことで、竹内が攻撃にまわれる時間が長かったんですね。右サイドの深い位置へオーバーラップしていくようなシーンもあって、センターバックがあんな場所まで行けるのなら、そりゃチャンスも増えますよ。とはいうものの、今回の2ゴールは、まるでストライカーのような嗅覚を感じます。逆転の2ゴール目は、ルーズボールを華麗に左サイドへはたいて、そのままボックスに走り込み、深井のクロスにフリーでハードヒット。おかしい、こんなん"センターバック"じゃないw

ホームゲーム2試合連続でのヒーローインタビューになった竹内ですが、彼の言葉の端々から「プロ意識」をひしひしと感じます。ゴールを獲って、チームが勝ったことは喜ばしい。けれど、DFとして2失点したことは反省しなければならない。目標はあくまでもJ1昇格で、まだその道半ばなのだ。そういう意識の高さが、彼のポテンシャルを引き出しています。1点目を獲ってもニコリともせず、サポーターを煽って定位置へ走った竹内。目先の目標とその先の大きな目標、その両方がしっかりと見えている、素晴らしい選手です。サポーターのことをちゃんと気にしてくれて、「力を貸してください。一緒にJ1へ行こう」と言ってくれた竹内です。本当にいい選手が来てくれたものだ。

最後の最後、実はものすごい大ピンチがあったんですね。大分の選手が浮き球を2回も空ぶってくれたおかげで助かりましたが、あれがミートしてたら危なかった。結果を知っているから半分笑って見ていられましたけど、オンタイムだったらドッキドキだったろうな。

今週末は草津とのアウェイゲーム。因縁の正田スタに乗り込みます。今シーズン初の関東アウェイ。多くのサポーターのチカラをもって、今度こそ勝って帰ってきましょう。それだけの強いメンタルを、僕らは持っているはずですから。

[J'sGOAL]【J2:第14節 千葉 vs 大分】レポート