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がんばりすぎずにあるこうや。

J1第28節 ブレない軸、折れない心

2011 Jリーグ Division 1
第28節 ヴァンフォーレ甲府●0 - 1○川崎フロンターレ
甲府:16位(勝点27)→16位(勝点27)
川崎:12位(勝点34)→10位(勝点37)

週末、思い切って山梨・小瀬まで日帰りで行ってきました。もう1試合くらいは甲府の試合を生で見たいと思って、でも関東でのアウェイゲームがもう最終戦しかないので、こりゃ小瀬に行くしか!と一念発起。水曜日あたりまでは雨の予報で心配でしたが、当日は青空に白い雲が浮かぶ快晴。南アルプスを望む絶景を楽しむこともできました。雲が低くて、残念ながら富士山は見えませんでしたが。

では、過酷なJ1残留争いの渦中にいる両チームのスタメンを振り返ります。ホームの甲府は、GKに荒谷。4バックは右から、吉田豊、ダニエル、冨田、内山。井澤と山本のダブルボランチに、右ワイドに柏、左はパウリーニョ。トップ下に片桐がいて、最前線にマイク・ハーフナーです。対するアウェイの川崎ですが、GKは杉山。バックスは、實藤、井川、伊藤宏樹田中雄大の4人。ボランチ中村憲剛柴崎晃誠、田坂が右サイド、左に山瀬。ツートップはジュニーニョ小林悠。4-4-2でスタートです。

立ち上がりの甲府は、パウリーニョと片桐の推進力を武器に川崎ゴールを脅かし、惜しいシュートもいくつか放ちました。柏好文は右に左に動きまわって積極的にボールを動かし、マイク・ハーフナーも足下のテクニックで前線3人のムービングを後押し。右サイドでは吉田豊アタッキングサードまで上がってきて、攻撃に多くの人数をかける「甲府らしい」スタイルを垣間見ることができました。完全にオフサイドに見えたマイク・ハーフナーの抜け出しは、しかしシュートが枠に収まらず、この試合最大のチャンスがフイに。それでも攻撃の姿勢が数多く見られたことで、川崎の守備陣に脅威を与えることはできていました。これが継続できていればよかったんですが。

リズムが変わったきっかけは、言うまでもなく25分の川崎の得点です。真ん中で山本がコントロールを誤り、川崎はテンポよく右サイドからカウンター。甲府の守備の人数は揃っていましたが、みんながみんなジュニーニョのシュートコースを塞ぎに行ってしまって、左の小林悠が完全にフリーに。崩されたといえば崩されたんでしょう、準備は足りていなかったかもしれません。しかしもったいない失点ではありました。そしてこの1点は、結果的には甲府にとって大きな足かせになってしまうわけです。

水曜日にナビスコカップを戦って中2日での試合だった川崎は、それほど大幅なターンオーバーをしていなかったこともあって、全体として運動量は控えめでした。前半のうちにリードを奪ったことで余裕もでき、積極的にガンガン攻めてくるということはなかった。ただ、最前線は瞬発力の高いジュニーニョ小林悠がいるわけで、彼らは彼らだけでもゴールを狙っていけるだけのスキルを持っています。吉田豊はなんとかついていこうと必死でしたが、浦和の原口に対した時のようにバチッと止めきることは最後までできずじまい。少ない人数でも確実にフィニッシュに持っていける川崎は、「中2日でやれるサッカー」(中村)をしっかりと共有してできるチームでした。

甲府の佐久間監督は、ハーフタイムに「1失点はデフォルトとして、次の1点を奪われないように」という趣旨の指示をしたということですが、これがかえって甲府の攻撃の意識を削ぐことになってしまいました。前述の通り川崎は積極的に前に出てこようとはしていなかったので、むしろ人もボールももっと動かして、なりふり構わずゴールを奪ってやる!という意志を見せてよかった。「取られたくない」意識が過剰になって、アグレッシヴに戦うことができませんでした。シュート16本は決して少ない数字ではないし、決定機はもちろんありましたが、ミスを恐れた消極的なプレーが目立ち、低調なサッカーに終始してしまいましたね。

佐久間監督は就任当初、守備に重きを置くよりも「相手に攻撃をさせない」ことを重視すると言っていました。この方向性の正しさは、福岡戦、ガンバ戦の連勝で証明されていますし、僕も国立の浦和戦ではっきりとこの目で見ています。共通しているのは、先制点をとるということ。今回はそれができず、ベクトルをねじまげてしまったことによる配線だと感じました。全員が前を向いた、アグレッシヴで迫力のある攻撃こそが、甲府サッカーの真骨頂。芯をしっかりと維持すれば、悲観するようなことはないはずです。

川崎は降格圏とのポイント差を10に広げ、残留争いから脱したと言っていいでしょう。現実的には32ポイントで13位の新潟以下で、降格圏からの脱出を争うという形だと思います。甲府と15位浦和との差はわずか2ポイント。浦和との直接対決は終わっていますが、新潟、大宮とはまだ対戦を残しています。ダニエルがこの先2試合サスペンションになるのは大きな痛手ですが、次の天皇杯を良いステップにして力を蓄え、ラスト2試合をビッグゲームにできるようにしてほしい。あ、でも天皇杯はちゃんと勝って下さいよ。3回戦は柏の葉に見に行くつもりですからね。

今回の甲府旅、当初はクルマで行くことしか考えてなかったんですが、twitterのフォロワーさんに「え、車で来るんですか??」と言われて、そうか電車の旅という選択肢もあるのだと気づき、急遽あずさに切り替えてひとっ飛び。意外と安く行けるんですね。現地でレンタカーも借りなかったので、結果的にクルマで行くより安く済んでしまいましたw ヴァンくん&フォーレさん、遊びに来ていた川崎の海豚の介も愛想良くしてくれて、調子に乗ってポーズのリクエストまでしてしまいました。いい歳してスイマセン(汗

また来年も小瀬には遊びに行きたいので、甲府はがんばって残留して、ジェフもがんばって昇格して、また犬ダービーやりましょう。

[J'sGOAL]【J1:第28節 甲府 vs 川崎F】レポート