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がんばりすぎずにあるこうや。

J1第30節 たとえ未来を犠牲にしたとしても

2011 Jリーグ Division 1
第30節 横浜F・マリノス●1 - 2○浦和レッズ
横浜:4位(勝点52)→4位(勝点52)
浦和:16位(勝点29)→15位(勝点32)

はじめは大宮に行こうと思っていたんですが、NACKのチケットが早々に完売。他はカシマか日産スタくらいしか行けるところがなかったので、今年2回目の日産スタジアムに行くことにしました。この日はバックスタンド上層の中央部分が指定席に設定されていて、ややホーム側よりの自由席で観戦。上層階だとホントに見やすいですね。問題なのは暑くて眩しい西日だけですよw こないだ気づいたんですが、最近新しくできたスタジアムはほとんどが西側にメインスタンドが設定されているんですよね。午後の西日でベンチスタッフが苦労しないための配慮なんでしょうね。

アジアへの挑戦権を目指す横浜と、降格ゾーンに転落してしまった浦和。対照的な状況にいる両チームのスターティングメンバーはこうなりました。まずホームの横浜は、GKに飯倉。4バックは右から、小林祐三、栗原、中澤、波戸。小椋と谷口がボランチの位置で、右に中村俊輔、左ワイドに兵藤。渡邊千真と大黒のツートップ。一方の浦和は、GKに加藤順大。最終ラインは、平川、濱田、永田、野田が前節負傷した影響でレフトバックは宇賀神。鈴木啓太がアンカーの形で陣取り、2列目に梅崎、柏木、山田直輝、原口の4人。ワントップはエスクデロ・セルヒオ。4-1-4-1というシステムでスタートです。

ペトロヴィッチ監督の後任として崖っぷちの浦和の指揮を任された堀新監督は、今シーズンいまひとつフィットできていない"No.10"と、ポストプレーに難のあるハイタワー、2人の外国籍選手をあっさりとメンバーからはずしました。右アウトサイドを好調を維持する梅崎に任せ、今季ここまで比較的少ない出場時間ながら随所に光るプレーを見せていた山田直輝を先発起用。柏木を1列前において、攻撃に厚みを持たせる作戦。前半はリズムをつかむのに苦労しましたが、やはり山田直輝を前目の真ん中に置くとうまくスイッチが入っていいですね。ワントップのエスクデロは強靭なフィジカルを活かして横浜のバックスを引きずりまわし、惜しいシーンをいくつも作りました。ただ、これはこれまでの浦和でもできていた形ではあります。

開始4分で先制を許したように、中盤の守備がやや手薄になったことでカウンターに対処しきれず、また横浜のレフトバックの波戸が常にフリーでプレーできる状態になってしまって、右サイドの守備はかなりスカスカ。監督が変わって僅か3日のスクランブルですから、感覚をつかむまでに時間がかかるのは必然ですね。

横浜は中村俊輔が中盤で左右に動き回り、広い視野でボールを捌いてゲームを作っていました。前半はほぼ横浜のペースで、波戸がフリーになっているのを中村が的確に見つけて活かし、谷口や大黒がボールをもらいに寄せることで、攻撃パターンを絞らせず浦和のDF陣を翻弄。中央ではショートパスもテンポよくつながり、前線2枚も貪欲にゴールを狙って加藤を脅かしました。右はいまひとつ動きが悪く停滞気味でしたが、浦和の選手もそちらへ引っ張られがちで左サイドに大きなスペースができていたので、逆にスピードのコントラストがついて攻めやすかったかもしれません。先制点のシーンはボックス内に2人のストライカーがいて、3本のシュートで最終的に大黒がねじ込んだもの。周りにDFがいてもなりふり構わず狙うあたり、大黒も渡邊も"ストライカー"ですよ。フォワードにはこれくらいの気迫がなきゃ。

後半早々のPKのシーンは、僕は席に戻るのが少し遅れてしまって見逃してしまいました。あとでVTRを見てみると、山田直輝に対する小林祐三のバックチャージをとられたようです。メイン側からの映像ではファウルもやむなしという感じでしたけど、バック側から見たら通常のフィジカルコンタクトに見えただろうな。周りの横浜サポは大ブーイングでした。山田のキックは一度は飯倉に止められるものの、こぼれを原口がプッシュして同点に。

逆転までにそう時間はかかりませんでした。軽くホイッスルが鳴った直後の一瞬の意識の差で、梅崎がボールをもって一気にスピードアップ。エスクデロも並走して中澤を釣り、開いた一本のシュートコースに見事な低空ミドルをズドン。かくも鮮やかなゴールに、周りは横浜サポだらけでしたけど思わず拍手してしまいました。まったく、まったくお見事だった。

それでも横浜には30分以上の時間が残されていました。ですが、逆転されてからの横浜はとんとパスがつながらなくなります。真ん中では中村が相変わらずルックアップして巧みにボールを捌き、両サイドの奮起を促していましたが、前線も中盤も、まるでバネが外れてしまったかのように動けなくなってしまったんです。交代出場の小野ですら、アップでクタクタになってしまったように走れていなかった。残り15分でキム・クナンを入れて早い段階でパワープレーに移りましたが、クロスの精度もいまひとつだしロングフィードへの競り合いは浦和のセンターバックに全くかなわない。シュートは12本でしたが、本来もっともゴールへチャレンジしなければいけない時間帯でのシュートは思いのほか多くありませんでした。

残留争いをしているとはいえ、浦和の総失点は30試合でわずか36。これは仙台、横浜、名古屋に次ぎ、新潟と並ぶ4位タイの数字です。もともと守備には自信のあるチームですから、リードした終盤に坪井を追加投入して真ん中を固めた状況で、15分を凌ぎきるなど容易かった。横浜は、終盤は何もできませんでした。

勝利を手にした瞬間、山田直輝、原口、加藤、濱田、交代出場の高橋峻希が一斉にベンチに向かって走り、堀監督と抱き合っていました。レッズユースからの昇格で残り5試合の指揮を執ることになった堀監督は、何を隠そう彼らユース組の"育ての親"。お互い思うところは大きかったんでしょう。嬉しそうでしたねー。原口は泣いていたそうです。

今季4試合目の浦和戦観戦で、ようやく「We are Diamonds.」を聴くことができました。普段からアウェイでも歌うのか、それとも9試合ぶりの勝利に酔いしれての歌声だったか、いずれにしろ実に誇らしげでした。甲府が敗れたので、再び残留圏に浮上です。ただ、差は2ポイント。残り4試合、過酷な戦いはまだまだ続きます。

[J'sGOAL]【J1:第30節 横浜FM vs 浦和】レポート