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がんばりすぎずにあるこうや。

関クラ2次第3節 このチームの進む道を

平成24年度 第36回日本クラブユースサッカー選手権 (U-18) 関東大会 2次予選リーグ
第3節 ジェフユナイテッド市原・千葉U-18△1 - 1△柏レイソルU-18

日曜日は柏でユースの千葉ダービーを見てきました。当初、試合開始時間を盛大に間違えてまして(なぜか14時だと思ってた)、代表戦とのトレードオフを考えそうになりましたが、いろんな方にご協力いただいてカタをつけられました。助かった。ユースの試合は2月の新人戦以来なので、楽しみにしてたんですよね。最後まで見られて良かったです。

ではジェフU-18のスタメンです。GKに林翔太。最終ラインは4バック、右から川口陽平、豊川、秋山、奥野滉平。中盤は鳥海、高田、仲村京雅がフラットに並ぶトレスボランチ。前線は佐藤遵樹、今関耕平、バリガ・ジロのスリートップです。

試合の主導権は、90分を通して完全に柏にありました。ほとんどの時間でジェフの選手は全員が自陣に引き、ミドルサードにブロックを作って完全にスペースを消し、柏の攻撃を待ち構えるという構図。なんだか前日にフクアリで見たような光景で、それだけで柏U-18とジェフU-18の実力差を再認識するに足るものでした。とは言え、この"ドン引きサッカー"に対して柏はかなり苦戦していたことも事実。柏の攻撃は最終ラインから始まりますが、縦に楔を入れることが容易ではない。するとどちらかのサイドに展開することになるわけですが、展開したサイドから逆サイドに振ろうとした場合に必ずセンターバックを経由するんですね。なので守ってる方としては楽です。ボールの動きがあまり速くないですから、思考も体制もフォーメーションもしっかり立て直すだけの時間があります。後半、しびれを切らした柏のレジスタ・中川寛斗がポジションを下げてボールをもらい、なんとか状況を打開しようとしていましたが、結局は有効な手立てを見いだせずに試合を終えることに。

プリンスリーグ1部で首位に立つ柏U-18を相手にここまで均衡を保ち、1ポイントではありますが勝点をもぎ取れたのは、ジェフの選手全員の意識が「こうすれば柏の攻撃には耐えられる」という一点に集中し、かつしっかりと共有されていたからだと思います。実際、守備から攻撃への移行は拙いものでしたが、攻撃から守備へのトランジションは驚くほど速かった。実力的に劣るジェフU-18にとって、この試合は「負けない」ことがテーマだったのかもしれません。年代別代表選手を複数擁する柏を相手にほとんど「何もさせなかった」こと自体は、評価に値すると感じています。

先制点は、鳥海からの見事なスルーパスに反応した佐藤遵樹が右足のチップでゴールに流し込み、柏のDFが必死に掻き出したところをバリガ・ジロが詰めたもの。佐藤遵樹の一発のスピード、ひらめきは実にすばらしい。トップスピードに乗るまでが速いので、ストップ・アンド・ゴーになれば簡単に相手を置き去りにできます。後半、仲村と今関のワンタッチパスから右サイドを切り裂いたシーンでは、柏のバックラインをスパッと切り裂いてGKと1対1に。この試合最大の見せ場でしたが、残念ながら決めきれませんでした。例えばあそこでチップキックをして見せるなどのインテリジェンスが備われば、アタッカーとしてはすぐにでもプロで通用するかもしれません。嫌がおうにも期待の高まる逸材ですが、問題は守備の方です。こちらは相手に翻弄されるばかりで、右サイドの守備はライトバックの川口に頼りっきりでした。柏もここが穴だと感づいて以降、執拗に佐藤のところを狙うんですよ。高田と豊川が必死にカバーしなきゃいけないくらいで、これではサイドバックを活かす攻撃にはなかなかつなげられんかもなと思いました。

今回、大木監督は交代枠をひとつも使いませんでした。後半の半ば以降はかなり消耗していた選手もいて、ボールの動きについていくのもやっとという選手も見受けられた。それなのにスイッチしなかったのは、あるいは安定した守備のバランスを崩すことを一番に嫌ったのかもしれません。仲村あたりは明らかにキツそうで、走るというよりほとんど早歩きみたいな状態でしたけどね。このあたりはちょっと意図が読めませんでした。

「ユースの見方」を心得ていない僕は、やはりチームとしてどう戦っているのか、勝つためにどういうサッカーを展開するのか、というところに関心がいきがちです。なので、「勝つためのサッカー」がまるで見えなかったこの試合は、個人的には大いに不満でした。たしかに、彼らは格上の柏U-18に対抗するために必死に戦い、愚直に作戦を遂行した結果、1ポイントという成果を得た。それは評価できます。ですがこの試合では、ジェフU-18が「勝つために」何を目指し、どういうコンセプトを持って相手を「上回ろうと」するのか、その意図が皆無だった。そういう意味で、非常にフラストレーションのたまる試合でした。相手が違えば、あるいはもっと攻撃的で主導権を獲ったサッカーを見せるのかも知れませんがね。

2次リーグは残り2試合。次はプレミアEASTで首位に立つ強豪・ヴェルディユースとのアウェイゲームです。今回以上に厳しいゲームになるはず。強い相手に対しても若いジェフ戦士たちがいかにして一筋の光を見せてくれるのか。それを期待してこれからも彼らの成長を陰ながら応援しようと思います。近い将来、ジェフの頼もしい"魂"になってくれるように。

がんばれ。フクアリで待っているよ。