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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ第13節 悲願達成

プレナスなでしこリーグ2014 レギュラーシリーズ
第13節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース○1 - 0●INAC神戸レオネッサ
6位(勝点19)→5位(勝点22)

レギュラーシリーズもいよいよラスト1/3に突入しました。ここからは1試合の価値がぐんと上がるサバイバル。最終的に上位6チームに入って優勝の可能性を残すために、ひとつでも多くの勝ち点を取らなければいけない試合が続きます。しんどいけど、いい緊張感でもある。瀬戸際にはいますが、自信をもってサッカーができているのが伝わるので、見るほうも楽しいです。

シーズン序盤はつまづきがあったものの、後半戦に入ってやはりその地力を発揮して上位争いに食い込んできた神戸。代表級の選手も揃って技術的に分の悪い昨季女王に対して、ジェフはこれまでよりも増して守備に意識を置いたサッカーをやろうとしました。まずサイドでの主導権争いで絶対に後手を踏まないこと。中盤に不用意にスペースを空けないこと。絶対エースの高瀬をフリーにしないよう、マンマークの受け渡しをなるべくスムーズにすること。そのために、筏井さん、真理さん、瀬戸口さんのポジションをいつもよりも下げ気味にして、横方向の運動量を確保することで継続的なプレッシングを可能にしました。これが奏功して、神戸の中盤のかなめである澤や田中陽子、中島といったところにほとんど仕事をさせませんでしたね。見事に采配ズバリでありました。

この方法は、結果的に守備だけでなく攻撃にも有効でしたね。中盤に人数をかけたので、インターセプトから素早く攻撃に切り替えるとか、ルーズボール・セカンドボールを拾って前を向くとか、そういう部分のトランジションが非常に速かった。ポゼッションを獲って試合のペースをつかむことができて、決定機もいくつも演出しました。当然そこには菅澤さんの圧倒的に強いポストプレーが光っていたわけで、ここに基点にしての連動した攻撃は圧巻。それだけに、前半のうちに得点できなかったのはもったいなかったです。今季はシャットアウトゲームがここまで一度もありませんでしたから、ちょっと嫌な感じがしていたのは事実。

後半から安齋さんが登場。安齋さんはU-18代表の合宿から戻ったばかりということで、疲労を考慮してのベンチスタートでしたけど、しかし大阪で結構な時間試合に出ていたとは思えないほど動けてました。安齋さんのスタミナがぐんとアップしているのには、ここ数試合驚いています。しっかり90分走りきれるようになってる。他の選手も、前半からけっこうハイテンションに動き回っていたので後半の運動量が心配でしたが、それも全くの杞憂でして、最後の最後まで神戸の中盤にプレッシャーをかけ続けました。フィジカルトレーニングをけっこうやってるんですかね。

決勝ゴールは、その安齋さんのドリブル突破から。思い切った抜け出しと精一杯のクロス、そのがんばりに菅澤さんが見事に応えて、代表級が固める神戸のゴールをこじ開けました。左の深澤さんもですが、ギリギリのところ、最後のひと押しのところを"がんばれる"人がいるというのは、ジェフレディースのような特に運動量を勘所にするチームにはとても重要ですね。安齋さんは、シーズン当初はポジショニングもいなひとつあやふやで「いるだけ守備」になっていたり、ボールを持ってからの判断でも後手になったりして、みすみすチャンスをつぶしてしまうことも少なくありませんでした。でも中断明けからは人が変わったようにプレーが洗練されて、一人前のフットボーラーになろうとしています。安齋さんは中学生のころからトップチームに登録して試合出場を重ねているジェフレディースの「秘蔵っ娘」。順調に成長して、ジェフのダイナモとして看板を背負ってくれるくらいになってほしいと思います。

この値千金の決勝ゴールを守りきって、今季初のシャットアウトゲームを達成。これを成し遂げるのに実に13試合を要しました。長かった!これまで何度もあと少しのところで無失点を逃してきましたので最後まで気が抜けませんでしたが、今回はしぶとくゴールを守り抜きました。試合後はディフェンス陣は大はしゃぎ、山根さんは大泣き、三上監督も一緒になって大喜びでした。それほど「無失点試合がない」という事実は重かったということです。ようやくひとつミッションを達成して、ホッとひと息ついたというところでしょう。見事な完封劇でした。おめでとう!

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

この日もレフトバックでフル出場。今季は守備のバランスに特に気を使ってプレーしている上野ちゃんですが、前述のとおり今回はさらに守備の意識を強く持っていました。いや、守備のというより、自分に与えられた役割をしっかりこなそうという意識、何をしなければならないかをはっきり認識したプレーというのかな。

この日の上野ちゃんは、これまでとははっきりと何かが違いました。
前半からグイグイとポジションを押し上げ、機を見てアタッキングサードまで侵入。アウトサイドだけでなく内側にも切り込んで危険なスペースを埋め、ハイボールにも絡んで跳ね返しました。ハーフウェイ付近で相手のボールホルダに体を当ててアタックしていて、しかも全く負けてない。極めつけは、前半に右サイドから抜け出してあとフィニッシュだけだった高瀬に対して、ボックス内で果敢に身体を入れ込んで大ピンチを救ったプレー。これには唸りましたね。イチかバチかの賭けではなくて、あれは多分しっかりとチャレンジするポイントが見えていたんだと思います。驚いた。

こういうプレーが何度もあったので、この日はそのがんばりがなんとか報われてほしいなと思いました。最近調子を上げてきたロングボールからチャンスを演出するシーンはありませんでしたが、セットプレーの流れから放り込んだクロスがあわやゴールインかというのがあったくらい。でもそれ以上にフィジカルや守備の部分でチームに大きく貢献しました。きっと意識の部分で何かが違ったんです。顔つきもいつもと違いましたね。鬼気迫るというか、気合入ってるなーという。今季一番の調子の良さだったし、今季一番冴えてました。まさしくキレッキレ。

かくしてはじめて無失点で試合を終えて、本当にうれしかったようです。中継ではハーフタイム中にインタビューが流れたようで、ライトバックの若林さんと口をそろえて「無失点で試合を終えたい」と言ってましたんでね。攻撃力の高いチーム相手にゼロに抑えたというのは大きな自信になるはずです。おめでとう!これからもその調子で頼むよ!

今節は浦和と岡山湯郷がそろって敗れて、7位回避争いがまた混沌としてきました。余計なことを!残り5試合、ひとつも気が抜けません。上位もいるし強いチームもまだ残ってますが、今年のジェフレディースなら必ずやれます。臆病にならずに自信をもって、上位を目指してがんばりましょう!