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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ第11節 エースへのホットライン

プレナスなでしこリーグ2014 レギュラーシリーズ
第11節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース○4 - 2●FC吉備国際大学Charme
6位(勝点16)→5位(勝点19)

東金での試合をキャンセルしたので、およそ1か月ぶりのレディース観戦。トップチームとの3度目のダブルヘッダーです。前回の秋津はジリジリと陽射しが照りつける厳しいコンディションの試合でしたが、今回は気温は涼しくサッカーにはちょうどいい気候。時折パラつく雨がピッチをスリッピーにして、芝の状態があまり良くないこともあって選手たちは苦労していたようでした。

最下位の吉備が相手ですので、勝利はもちろん得失点差も稼いでおきたいところでした。ただ目論見とチャレンジとを両立させようとした結果、先制点を含め2度のリードを許すよもやの展開。いかん、いかんぞ、と思ってたところに、前半には筏井さんの左脚ミドル、後半にはライトバックの若林さんが思い切りよく右脚を振りぬいたスーパーゴールで追いつきました。あとは高さを活かしたゴールが2つ。2点差をつけて無事に勝利を手にすることができました。

スコア的には快勝と言ってもいいんでしょうけど、実際はゲームの主導権を握れた感じではなくて、吉備のスピードと的確なチャレンジ&カバーにずいぶん手を焼きました。吉備はジェフのバックラインの弱点をしっかり研究していて、先制点はまさにその弱点、ロングパス一発でディフェンスのギャップを割られるというこれまで何度も見た失点パターンでした。ここはどうにも改善しません。どうしたものか。2点目はもう西川明花がめちゃめちゃ巧かったですから相手を褒めるしかないですが、バイタルエリアからボックス内という一番危険な場所での対人守備にはちょっとまだ不安があるのかな。後ろ向きでの1対1、2対1の守備というのは元々難易度の高いものですけど、今のジェフレディースにはいっそう辛いのかもしれません。いわゆる本職の"守備職人"が櫻本さんしかいませんからね。

それでも、今季のジェフレディースにはそれを跳ね返すだけの攻撃力があるのでした。プレースキックをはじめとした筏井さんの中距離以上のキックは、試合を追うごとにどんどん精度が上がっています。右脚の精度が高いのはもともとですが、今回は左脚のミドルで1ゴール、ダメ押しの4点目につながるコーナーも左脚からでした。両脚とも高精度なキックが蹴れるというのは非常に心強い。菅澤さんとは好対照なストライカーですが、逆にそれがうまくハマっています。筑波大出身なので、実は僕自身けっこう気にして見てるんですよ。これからも大活躍してもらいたいです。
そして頼れる絶対エースの菅澤さんは、この日も逆転ゴールとなる3点目をゲット。欲しいときに獲ってくれるというのは本当に助かります。ポジションを下げてのファーストディフェンスもよく効いてますし、いつでも安定してポテンシャルを発揮できるというのは、素晴らしい才能です。今季はこの調子でリーグ得点女王を獲得してもらって、また代表で躍動するのを見たいですね。

それからもう一人、レフトバックで初先発になった、ユース所属の大矢円佳に触れておきます。前への積極性という部分では一枚劣るものの、守備面では十分な安定性を発揮していました。隣を櫻本さんを見ながらしっかりバランスを取って、大学生相手の1対1にも怯まずにファイトしていました。彼女自身の問題ではないところで前半のうちにピッチアウトとなってしまいましたが、良い選手が下部組織にもいたものです。ジェフレディースの将来は明るいぞ!

さてさて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんなんですが。

この日もフル出場。ですが、スタートポジションはなんとボランチでした。川村真理さんが前節湯郷戦で負傷退場していて、おそらく大事を取ってのベンチスタートしたので、瀬戸口さんをゲームメイカーに上げてのアンカーポジション。いやー、ビックリしました。円陣解けたら、上野ちゃんがセンターサークルの真後ろにいるんだもん。動揺しすぎて、自分のストップウォッチを回すの忘れちゃいましたよw

サイドバックボランチというのは親和性が高いらしく、ドイツ代表の主将フィリップ・ラームや、Jリーグでは甲府佐々木翔や福岡の武田英二郎といった選手が、いずれもレフトバックからコンバートされて活躍しています。なでしこジャパンでも、本職がボランチである宇津木や上尾野辺がサイドバックをやっていて、これは逆のパターン。僕はあんまり知らなかったのですが、比較的ポピュラーなコンバート術なのかもしれません。

とはいえ、上野ちゃんにはボランチとしての絶対的な「経験値」が足りていないわけで。中盤センターって、実は意外なほどにプレーエリアが狭く感じるんですよね。オフ・ザ・ボールのポジショニングにはどうしてもうまくない部分がありまして、瀬戸口さんが少し位置を上げても連動して上がることができずに、ピッチ中央にボッカリと大穴が空いてしまうこともしばしば。吉備の中盤がこのエリアを積極的に使ってこなかったので致命的な欠陥になることはありませんでしたが、横から見ていて、ちょっと動きづらそうだなぁという印象でした。

でも良くないことだけじゃなかったんですよ。中盤にボールが入ってきたときは思い切ってアタックしたり、慣れないハイボールにもジャンプ一発ヘディングして、精一杯にプレーしてました。「フィジカルや1対1では絶対に負けたくない」とは昨年から言っていることだし、そういう部分の強みは少しは出せたのかなと思います。前半の筏井さんのゴールにつながる速いラストパスも出せてましたし、慣れないなりに一生懸命でした。そうそう、それでいいのよ。

前半の最後からは本来のレフトバックに戻って、鬱憤を晴らすように躍動しました。左サイドでいつもよりも深澤さんや筏井さんと積極的に絡んで、テンポよくボールをまわして試合のリズムを作るのに一役買いました。カウンターのシーンでは、ボールを持った菅澤さんと並走するように内に切り込んでいきましたが、ここでは残念ながらボールが出てこず。極めつけは、菅澤さんのゴールにつながる左脚のクロスボール。深い位置からの緩めのマイナスクロスでしたが、これを菅澤さんが上手くねじ込んでくれました。前半のものと合わせてこの日は2アシストで、4アシスト目。いずれも筏井さん・菅澤さんへのアシストで、ツートップへのボール供給がサマになってきています。すごいぞ!

秋津からフクアリに移動して、さて次のレディースのチケットを買おうと思ったら、この日はなんとレディースの主力組が勢ぞろいでチケットを販売しておりました。櫻本さんや安斎さん、深澤さんに瀬戸口さん。そしてもちろん上野ちゃんも!少し時間をもらって、ユニフォームにサインしてもらいました。ついにもらっちゃったよ!(≧▽≦)

そのあとちょっと話をしたんですけど、ロングキックはやはり相当練習しているそうです。いろんなところで言われてるんだって。それが着実に実を結んで、再開後の5試合で4アシストなわけだから、これはすごいことですよ。課題を設定してその克服に取り組んで、それがちゃんと結果に出てる。まだまだ上にいけるってことだ。これからがますます楽しみです。

7位の仙台とは5ポイント離れましたが、しかしまったく油断はできませんね。これから先、新潟、INACベレーザと、順位・勝点の近いところと連戦が続きます。こういうところでいかに勝点を落とさないかが極めて重要です。今のジェフレディースには、優勢に立てば押し切れる強さも、劣勢に立ってもそれを跳ね返すしぶとさも備わっています。粘り強く力を発揮して、上位確保へ邁進しましょう!