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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ第4節 「やるべきこと」を「やれること」に

プレナスなでしこリーグ2014 レギュラーシリーズ
第4節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●1 - 2○アルビレックス新潟レディース
3位(勝点6)→6位(勝点6)

待望の今季初観戦。レディースチームのホームゲームに行ってきました。前日に雨が降ってこの日も気温が上がりきらず、加えて風も強くて、メインスタンドの日陰は凍えるような寒さ。カメラを構える手も震えてきちゃって、特に後半はきちんとフォーカスを取るのが大変でした。でも目の前の近いところでプレーを見るというのは楽しいですね。普段と視点が変わるから新鮮だし、選手たちの声もよく聞こえて面白いです。

仙台戦の前後分断サッカーを見て多分に心配していたジェフレディースのサッカーでしたが、センターバックに櫻本さんが戻ったことで守備の統率がとれるようになり、ある程度安定するようになりました。やはり真ん中にひとつ芯ができるというのは大きいですね。ここを中心に、両サイドハーフの継続的なフォアチェック、両サイドバックも守備に気を使ってプレーをして、致命的に崩されるシーンはそう多くはなかったという印象です。実際に現地で見てみても、「意外とやれている」という感じ。よく踏ん張っています。

ただ、「意外とやれている」は「これで十分OK」とは全然違うわけで。今回も結局2失点しましたし、現状ではセンターラインへの負担が著しく大きい。今季のジェフレディースのディフェンスはサイドでのフォアチェックから始まっていますが、ここに過剰に人数をかけているために、全体のポジションバランスが維持できていません。サイドハーフを発端に、ボランチサイドバックセンターバックと少しずつ持ち場にズレが生じて、ボールがディフェンディングサードに入ってくるころにはセンターバックが大きく吊り出されて、ゴール前ががら空きなんてこともしばしばありました。今回は特に中盤での単純なボールロストが目立ったこともあって、局所的にスクランブルで守備体制をしくシーンが多くなり、余計にバランスを保つのが難しくなってしまったようにも見えました。ああいうのはもったいない。

1失点目はこうしてできたバックラインの大きなギャップを、山崎円美と平井咲奈に見事にぶち割られたカタチ。やっぱり守備面でのキーマンはもう一人ほしいですね。中盤の守備的な位置でしっかり構えてボールを待ち受けることのできる選手がいると、全体の負担もずいぶん違うのになと思います。もしくはボールを落ち着けられるプレイメイカーでもいいな。中盤での不用意なボールロストが減るだけでも違ってくるでしょうね。

ゴールは菅澤さんの1点のみ。いや、攻撃陣はいくつも決定機を作ったんですけどね、すべては新潟のGK一谷のスーパーなセーブに防がれてしまいました。一谷って昨年のフクアリでの試合でも大当たりだったんですよね。なんでこうもジェフ戦でばかり当たってくれるかなぁ。今回も「これはいった!」ってのを少なくとも3度、ビシッと防いでくれやがりました。あの壁を突破するのは容易じゃないですね。なんかもう、しょうがないって感じ。敵ながらあっぱれよ。

新潟は、中盤の"女王様"上尾野辺のプレーぶりはさすがの一言。左脚しか使えないんですけど、でもその左脚はまさに一級品でした。長短のパスの精度、相手のプレスを軽くいなすボールタッチ、2点目をたたきこんだプレースキック。まさにスーパーですね。それにポリバレンシーも高い。試合開始当初はアンカーにいて試合のリズムを作り、後半初めは最前線からトップ下にいて中盤のラインを引っ張り上げ、そして最後はまたアンカーに戻ってしっかりゲームをクローズする。あれで90分間余裕で動けてるってんだから、体の使い方が上手いんだろうな。

それと上尾野辺の隣で献身的に支えていた斉藤友里もいい選手ですね。お互いが活かし活かされる関係になっているのは、チームの心臓部たる中盤の選手には重要なことです。ジェフは結局最後までこの中盤センターを攻略できずじまいでしたが、場面場面で上尾野辺と斉藤の役割がはっきりしていてわかりやすいので、周りもプレーの判断が速くできるんでしょう。いいコンビです。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

監督が変わった今季も左サイドバックのレギュラーを獲得、この日もフル出場でした。細川さんが退団したので、レフトバックの専門職は上野ちゃんしかいないんですね。そういう意味でポジションがある程度安泰なのはファンとしては嬉しいですが、その分責任は重大。「自分の代わりは誰もいない」というのは大変にプレッシャーのかかるものです。

前半はサイドハーフの深澤さんがけっこう動き回っていたので、深いところにスペースができてそこにオーバーラップしていくシーンが多くありました。オープンスペースへ向かって20~30mくらいを一気に駆け上がるのは上野ちゃんの持ち味なので、それを繰り返せていたのは良かったです。ただ相手も締めるところはきっちり締めていて、ボールを持ったときに周りに十分なプレーエリアを与えてもらえず、スピードに乗ったまま早いクロスを入れるというところまではできませんでした。それならばと自分がペナルティボックス内まで入っていくこともありましたけど、フィニッシャーとしては筏井さんや深澤さんのほうが優秀ですから、ここでもあまり生きることはできず。全体的に新潟はジェフの攻撃をよく研究していて要所でしっかり対応してきていましたが、上野ちゃんのストロングポイントも例に漏れずその網に引っ掛かってしまいました。

試合後はとても不満そうというか悔しそうというか、口を真一文字に結んで俯いてしまっていましたね。チームが負けたというのもあるし、上野ちゃん自身思うようにプレーできなかったのかもしれません。攻撃面で良さを活かすことはあまりできなかったし、以前よりも良くなったとはいえ対人守備にはまだ難があった。バックラインが急増になっている現状では、今まで以上に守備に気を使わないといけないということもあって不完全燃焼な部分もあったのかもしれません。「自分を活かすプレー」と「チームのためのプレー」が噛み合わない部分もあったはずで、そのあたりのモヤモヤはあるのかなぁとは思います。

たぶん今シーズンはこういう試合展開が続くと思うんですよ。センターラインが突如劇的にスキルアップするとか、スーパーな選手が加入するとか、そういうことは正直言って望めないわけなので、今いるメンバーでできることをやっていくしかない。上野ちゃんに求められていることも多いです。逆のこの状況を利用して苦手を克服して、ひとつ上に成長できるといいなと思います。

次のINAC戦、GWのベレーザ戦を終えると、アジアカップのためにリーグ戦は中断になります。ここでちょうど3分の1ですね。どちらも強敵ですが、何とか踏ん張ってポイントをもぎ取って、落ち着いた形で中断に入れるといいなと思います。ベレーザ戦にはまた見に行く予定です。がんばろう!

家族か友達だかが見にきていたのかな。やっぱり笑ってるほうがいいね。ピンボケしちゃったのがもったいない。