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がんばりすぎずにあるこうや。

J2第16節 選択肢は多ければ多いほど良い

2010 Jリーグ Division 2
第16節 ジェフユナイテッド市原・千葉○3 - 0●愛媛FC
3位(勝点27)→3位(勝点30)

水戸戦で完敗を喫して、大いなる決意をもって挑んだ、中断前最後のホームゲーム。愛媛FCは今季リーグ2位の9失点で、その堅守をどう崩すか、キーポイントはその一点でした。攻撃力を甘く見ていたわけではないんですが、失点の割に負け数が多いので、守備よりは攻撃に重点を置いたほうが「勝ち」につながりやすいだろうと。

スタメンを振り返ります。GKは櫛野。4バックは右から、和田、福元、青木良太、アレックス。ダブルボランチ佐藤勇人工藤浩平。アウトサイドは、右が今季初スタメンの太田、左は倉田。トップ下に米倉を配置し、巻誠一郎のワントップ。これまでの4-3-3から4-2-3-1へと、大胆にシステムを変更してきました。ベンチには深井、青木孝太、谷澤、それから金沢もいます。ネットは累積警告で出場停止。5月は思うように形を作ることができない試合ばかりでしたから、これまでの守備のベースを維持しつつ、前線に大手術を施して、戦術にもブレイクスルーを持ち込みました。

キックオフしてわずか30秒、倉田が小気味よいステップから右足をスナップさせ、このシュートが山本の手からこぼれて、いきなりの先制点。本当にあっという間でしたし、得点の形から見ても、この先制点はジェフと愛媛の双方に大きな影響を与えるものでした。倉田は持ち味のステップワークがゴールにつながったことで、自信を取り戻してその後の動きがずいぶん軽快になっていました。対する山本はひどく動揺していて、セービングの判断、飛び出し、キックの精度、どれをとってもいつもの山本ではなくなってしまっていました。前線の活性化と後方の動揺が重なってしまえば、ワンサイドゲームになるには十分な条件です。

2点目と3点目は、これは米倉の真骨頂だと思います。ボールが出てくる「匂い」を嗅ぎつけて、狭いスペースやオンサイドのわずかな隙間に顔を出す。そしてシンプルで短い動作でもって、相手に準備する余裕を与えない。2点目は相手DFと競りながら、よく足を出してミートさせましたよ。3点目は山本の判断ミスかと思いましたが、よく見たら米倉がほんの少しだけ触って軌道を変えてるんですよね。驚きました。どちらも、米倉の持ち味が存分に活きたゴールだったと思います。

前半は完全にジェフのゲームで、工藤のループシュートや倉田の左隅への鋭いシュートをはじめ、シュートを打ちにいく意識が高かったと感じました。早いうちに先制できて、気を引き締めつつも余裕が生まれたことは大きかったでしょうが、形にこだわらないでとにかく狙っていくという姿勢が見えたことは大きな収穫です。

愛媛の守備のキーになっているのは、GK山本の巧さと、アライール、小原のセンターバックにアンカーの渡邊を加えたトライアングル。小原がケガをして今回は金守が先発でしたが、やはり前述の通り山本が全く普段通りにできなかったことが大きく響いていたと思います。アライールと金守のコンビは前節の甲府戦では比較的安定していて、終盤まで甲府を相手によく抑えていたわけですからね。山本が不安定になってしまって、それで必要以上に引き気味になってしまっていました。アライールが中盤より前に顔を出すシーンもほとんど見られなかったし、個人的に攻撃のキーになると思っていた赤井は仕事ができなかった。ジェフとしては、この2人をガッチリ抑えられたのはとても大きかったと思います。

後半は修正してきた愛媛にずいぶん押し込まれました。左サイドでアグレッシヴな動きを見せていた内田と、対照的にあまり目立てなかった赤井を下げて、バランサーの田森とキープ力のあるジョジマールをセット。足元で持ててタメを作れるジョジマールと、高さと強さがあってピンポイントで仕事ができる福田のツートップは強烈でした。ジョジマールバルバリッチ監督にはあまり重用されていないみたいですが、能力は高いですね。

櫛野のビッグセーブや、アレックスと倉田の粘りもあって、耐えきって完封。今回の試合は、ずっと反対側のピッチでしか試合をしていなかった感じでした。それだけ愛媛に攻め込まれましたが、ゼロに抑えきったことは素晴らしいことです。ディフェンス面ではベストの結果ですからね。もちろん、ジェフにもチャンスはいくつもあって、決定的なやつもあった。それを決められれば、本当の意味での「ワンサイドゲーム」にできる。「息の根を止める」ってことができれば、ジェフのもうひとつ成長できます。まだまだ、がんばらなきゃ!

それから、この人のことを書いておきます。12試合ぶりに先発してフル出場を果たした、巻です。江尻監督は、今回は巻にこだわりました。青木孝太が準備をしたとき、巻はすでにかなり苦しそうだったし、腰を気にする素振りも見せていた。だから巻と変わるんだと思っていましたが、交代したのは巻ではなく米倉。これは大きな、そしてわかりやすいメッセージでした。「今日は巻にゴールをさせる」意識が全員に伝わって、終盤はみんながなんとか巻にボールを集めて、ゴールを決めてくれ!っていう思いが溢れていました。結果的にゴールは奪えなかったけど、左サイドのミドルレンジから打ったシュートがあったり、右コーナーに頭から突っ込んだシーンがあったりと、今までよりもずっとゴールに向かっていました。がんばれ、巻。他の何でもない、巻の"ゴール"を待ってるよ。

さぁ、次はいよいよ、小瀬に乗り込んでの甲府戦です。中断前の最大の山場が、中断前最後のゲームになりました。甲府もケガや出場停止が頻発していて、ベストメンバーとは言い難い状況。与えられた環境でベストを尽くしかないのです。やるぞー!勝って帰ってくるぞ!

[J'sGOAL]【J2:第16節 千葉 vs 愛媛】レポート