J2第10節 "プランB"への第一歩
2011 Jリーグ Division 2
第10節 ジェフユナイテッド市原・千葉○2 - 1●愛媛FC
2位（勝点6）→2位（勝点9）
春の大型連休真っ只中ということもあって、11000人を超えるサポーターがフクアリに集まりました。気温がぐっと上がったフクアリは、それでも絶好のサッカー日和。愛媛からカエルと伊予柑も来てくれて、楽しい雰囲気包まれたスタジアムでした。
スタメンを振り返ります。GKは岡本。バックラインは変わらず山口、竹内、ミリガン、坂本の4人。佐藤と伊藤のダブルボランチに、右に青木孝太、左に深井、トップ下に米倉という2列目。ワントップは、プロ初スタメンとなるルーキーの久保裕一です。オーロイはケガの影響でベンチスタート。リザーブのGKには、前節から大久保が入っています。櫛野はどうやらケガをした模様。
愛媛といえば、昨季リーグ2位タイの34失点（36試合）を誇った堅守が持ち味。小原とアライールのセンターバックにアンカーの渡部を加えたトライアングルは、バイタルエリアを確実に締め付け、相手の中盤に仕事させていませんでした。今季は2人のセンターバックが移籍し、この日は池田昇平と高杉のコンビ。また中盤はアンカーのシステムではなく、越智と渡部をダブルボランチとするオーソドックスな4-4-2を採用しているようです。新たにツーラインのシステムをとった愛媛のディフェンス陣をどう崩してゴールを奪うか。オーロイがいない状況でどのように攻撃の形を作っていくのかがポイントでした。
とは言えドワイト監督が試合後に語ったように、オーロイがいる場合の戦術をそのまま踏襲できるようにという意図でワントップに久保を置いているわけなので、基本戦術は大きく変わりません。バックラインから久保をめがけてロングボールをいれ、こぼれ球に対して2列目の3人がアプローチする。ベースは同じですが、久保はオーロイほど上背はないし、池田とのフィジカル勝負ではやや分が悪い。なので空中戦だけに偏るのではなく、米倉との縦の関係を活かし、久保の機動力も発揮して動きのあるサッカーを展開していました。
実際、前半のこの2人の関係はとても効果的に機能していたと思います。基本的に縦の関係ではありますけど、局所的にツートップのような横の関係にもなったり、あるいは米倉がポストプレーをして久保がゴールに向かうというような形もあったりと、オーロイのときとは違う「この2人ならでは」の攻撃の形も見えるには見えました。結果的にこれはフィニッシュチャンスまでももっていけませんでしたが、それは久保の経験によるところが大きいでしょう。これからまた数試合の実戦経験を経て、今度は確実に「自分の形」を作ってくれるはず。今はまだその過程の途中です。伊藤大輔とのコンビネーションも悪くなかったし、今後にむけて大いに期待できるものでした。
今はまだ「総合的にポテンシャルが高い」というタイプのフォワードになっていますが、今後は圧倒的なストロングポイントを作っていくことが課題です。ドワイト監督が久保にどのような役割を期待しているか、久保自身がどのようなプレーを志向しているか、それによって、これから先どんなストライカーになってくれるのか。本当に楽しみです。昨季から「巻になれるかはわからないが、巻みたいにはなれる」といわれた逸材ですからね。
3つのスーパーなゴールが生まれ、結果的にジェフが勝ったという試合。相手を崩しきったかどうかというと、それも微妙な話です。両チームともアグレッシヴに戦った好ゲームではあったわけですけど、オーソドックスな攻撃では相手を崩すことができなかった。裏を返すと、固い守備を誇るチームに勝つにはスーパープレーやイレギュラーな事象が必要ななるわけで、つまりそれをどれだけ呼び込めるか、がカギになるのかもしれません。シーズン前のインタビューでドワイト監督は「勝つためには運も必要。ただし、運を呼び込むのはしっかりとした準備だ」と語っています。今回は、ジェフのそれが少しだけ上回ったということ。
左サイドを散々切り裂かれたり、ミリガンの軽いプレー（彼は自分の技術にヘンに自信を持ってるんで、見ててヒヤヒヤする）に何度も悲鳴を上げたりしましたけど、最後は深井のゴラッソで勝ちました。後半は米倉も今ひとつ躍動できなくなってしまって、守備にも攻撃にもキッツイ試合になってしまいましたけど、内容はともかく勝ったからいいかな！何はなくとも勝たなきゃいけないんだからね。何度も言いますけど、J2にいる間は「結果至上主義」ですので。
すぐ日曜日には鳥取とのアウェイゲームです。試合数の少ない中での連戦はなかなか難しいものですけど、その中で巧妙も見えています。J初年度の鳥取は、ここまで2勝1分1敗の5位と、上場の滑り出し。「いいサッカーしてる」って声も聞こえます。それでも目標は変わらないわけなので、白星目指してがんばりましょう。僕は現地にはいけませんが、関東から精一杯応援します。
