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がんばりすぎずにあるこうや。

J2第31節 このサッカーができるなら

2012 Jリーグ Division 2
第31節 ジェフユナイテッド市原・千葉○3 - 0●水戸ホーリーホック
7位(勝点51)→7位(勝点54)

快勝、と言っていいでしょう。ここ数試合ゴールが奪えずもがき苦しんでいたのが嘘のように、高いポゼッションとプレスを維持して3ゴールを奪取。勝利に飢えていたこともあって、ひさしぶりに実に気分の良い週末になりました。やっぱり勝つって良いものよね。

スタメンです。GKは櫛野。DFは今回は4バック。右から高橋峻希、竹内、山口智、左は坂本です。ボランチには佐藤勇人と兵働が入りました。右サイドに田中佑昌、左に谷澤。藤田と荒田のツートップです。佐藤健太郎が警告累積4枚でサスペンション。リザーブのGKに岡本が戻ってきました。武田が2試合続けて登録外になりましたが、練習はフルメニューをこなしているということで、アクシデントではなく戦術的なものとのこと。坂本の守備意識の高さ、カバーリングの巧さなどをとったのかもしれません。

この試合でやったサッカーが、やはりジェフのサッカーの「きほんの"き"」なんでしょうね。最前線から労を惜しまずプレスをかけて、相手に余裕を与えない。ボールを持ったら、最初のパスの選択は前。前線と両ワイドがアタッキングサードをぐるぐると動き回って相手のDFにマークの的を絞らせず、最終ラインの裏を狙い続けて飛び出していく。オフサイドも多く取られましたが、諦めずに何度もこれを続けたことが結果に結び付いたんだと思います。やっぱり、このチームのサッカーは「走って、走って、走りきる」ことが一番の土台になっているのだよな。

2ゴールの藤田は、今回も本当によく走ってくれました。荒田もそうですが、最終ラインに圧力をかけることで簡単にビルドアップをさせず、外に逃げさせてしまえる。中盤より後ろの体勢を整える時間を作ることもできるし、もしボールを奪えればそれはもうそのままビッグチャンスになる。時にはバックラインに近いところまで下がって追っかけて、ファーストディフェンスの役割を十分すぎるほど果たしてくれました。こういうフォワードがいるのは実に心強い。ゴールも決めて、特に3点目は深井の右脚クロスに巧みに左脚をヒットさせた、藤田の器用さがピカイチに発揮されたゴールでした。藤田はゴールするとシンプルなガッツポーズで喜びを表すのがいいですね。鳥取戦の試合後に天を仰いで打ちひしがれ、責任を全部背負い込んだような顔をしていた藤田ですが、それからすぐにゴールを決めて快勝したことで、気持ちもだいぶ楽になったんではないでしょうか。本当ならお立ち台だったんでしょうけど、谷澤に全部持ってかれてしまいましたねw まぁ彼のことですから、このあとまたチャンスは巡ってくるでしょう。

その谷澤は、やはりJ2では別格のポテンシャルを持っています。あのリズムとボールコントロールは、ちょっとJ2では止められんですな。ピッチをぜいたくに使った派手な動きは、スペースを消されると潰されてしまいそうな気もするんですが、荒田と藤田が谷澤のためのスペースを確保するように動き回ってくれるので、ずいぶんと気持ちよく走り回ってました。70分くらいで電池残量が少なくなって省エネ運転に変わりましたけどね。これまで兵働にかかっていた圧力を谷澤が引き受けてくれるんで、兵働もチームもかなり助かっています。局所的に1人で3人を相手にする場面が多く見受けられたので、ここのフォローを誰かが早めにしてくれるといいんだけどね。いくら谷澤でも3人相手はキツイでしょうよ。

ボランチに入った兵働は、まさに盤石そのものでした。兵働のボランチ起用は、ちばぎんカップで一定の成果を上げていたのにそれ以降まったく登場することなくて「なんでよ!」って思ってたんですが、やっぱりかなり効きますね。トップ下だと相手のセンターバックとまともに組み合うことになるので、プレッシャーがきつくなってしまう。そこでポジションを1列下げてやることで圧力を落とし、前方を見る余裕を与えてあげるということですね。そこから谷澤につないでボックスに侵入するとか、ツートップめがけて鋭く放りこむとか、いろいろなバリエーションで攻めることでができました。運動量もぐっと落とせるので、スタミナも最後までもってましたね。隣の佐藤勇人とのバランスも非常に良かった。勇人は今シーズン見せてきた守備意識の高さを存分に発揮にして中盤を締めつけ、安定感を取り戻すのに大きく貢献しました。ここの役割分担がはっきりするのは大事なことですね。兵働もずいぶんやりやすかったんではないかな。

当然すべてがパーフェクトだったわけではありません。最終ラインのギャップを突かれて岡本達也や山村にスパッと切り裂かれるシーンもありましたし、決定的なピンチも複数ありました。それでも受け身にならずにその都度立て直してペースを握り続けられたのは、最初から最後まで「早い段階からプレスをかけてイニシアチブをとる」という戦術的方針を完遂できたからです。バックラインから細かくパスをつないでビルドアップするという木山さんの理想形とは対照的なサッカーに見えますが、数年後よりも昇格することそのものを最優先してある程度現実的な「いまできる最大限のこと」を追求するのも、非常に大事なことだと思います。そうして目論見どおりに白星を獲得できたことは大きな自信になるはずだし、残り11試合を戦う上でのひとつのモデルケースになり得るんじゃないでしょうか。再浮上のきっかけにして、一気に駆け上がることだってできるはずです。

順位は6位ですが、2位まで3ポイント、首位までは7ポイントです。まだ十分に逆転できる範囲ですね。いよいよ最後のクォーター・シーズンに入ります。気を引き締めてまず次のホームで福岡を叩き、もう一度昇格戦線に名乗りを上げましょう。がんばるぞ!おー!がんばるぞ!おー!がんばるぞ!おー!!

[J'sGOAL]【J2:第31節 千葉 vs 水戸】レポート