天皇杯4回戦 悪いなりに
第92回天皇杯 全日本サッカー選手権
4回戦 ジェフユナイテッド市原・千葉○5 - 0●福島ユナイテッドFC
悪夢のプレーオフ決勝から3週間経って、ようやくまたジェフのサッカーを楽しめる機会がきました。結果最優先のトーナメントだし、天皇杯はとにかく相性の悪い大会なので、勝てばなんでもいいやくらいの気持ちで見ていましたけど、終わってみれば大勝でしたね。僕は今回はいつものゴール裏を離れて、バックスタンドからじっくり見ることにしました。組み合わせにも恵まれましたし。
スタメンです。GKは岡本。4バックはスクランブル体制。高橋峻希、大岩、山口智、レフトバックはなんとルーキーの井出遥也です。ボランチは佐藤健太郎と伊藤大介。米倉が右、谷澤が左のアウトサイドハーフに入り、前線は藤田と荒田のツートップです。佐藤勇人と竹内は負傷で長期離脱を余儀なくされていて、おそらく今大会の復帰は難しいでしょう。レフトバックは渡邊も武田も坂本もケガで、大変な野戦病院状態になってしまいました。しんどいなぁ。
内容は決して良いとは言えませんでした。序盤から激しくフォアチェックをかけてくる福島のプレッシャーに手を焼き、試合勘の薄れと慣れないポジションでのプレーで、なかなか思うようにゴール前までボールを運べないまま前半が推移してしまいました。両サイドは主導権を握ってチャンスの起点になれていたんですが、中央にぽっかりと大穴が空いてしまっていて、そこを福島に自由に使われてしまった。それでもバタバタとあわてずに済んだのは、オウンゴールとはいえ早い段階で先制点と追加点がとれて、精神的に安心できたことが大きかったんでしょうね。それと、岡本、山口智、佐藤健太郎、藤田のセンターラインがしっかりと周りを引き締めてくれて、浮足立つことなくプレーできたのは良かった。決定的なピンチも少なくはなかったですが、相手の精度の低さにも救われましたし、悪い中でもそれなりにちゃんと戦えていたという印象です。
後半は福島の運動量が落ちてきてポゼッションを握れるようになりましたし、兵働が入って真ん中がしっかり埋まってからは、米倉も開き直って裏にどんどん走れるようになって本来の動きを取り戻しました。後半の立て続けの3ゴールは見事でしたね。積極的に「まずはゴール」を目指した結果がと思います。こういうやり方が前半のうちからできていれば、中盤の主導権もとれてもっとワンサイドなゲームにできたかもなーとは思いますね。トータルのシュート数は福島を下回りましたし、谷澤のようにもっと遠目からでもどんどん狙うとか、シュートコースが見えたら打っていくとかは必要だと思います。パス回してるばっかりじゃ点は取れないからね。みんなには感覚をしっかり取り戻してもらって、次までにまたベストのコンディションにもっていってもらいましょう。
高卒3年目の戸島は、これが公式戦初ゴールになりました。決めた直後にみんなにバシバシぶっ叩かれてましたけど、うれしかったろうな。僕も彼の初ゴールが見られてうれしいです。190cmを超える高さは圧巻で、相手と比べてもやはり圧倒的に「大きい」。だからといってヘッド一辺倒ではなく、ドリブルでボールを前に運ぶという発想もちゃんと持っているようです。足技はまだまだ改善の余地がありますが、あの体格は魅力だわ。藤田からたくさんのことを教わって、将来ジェフのエースになっておくれよ。期待しているよ。
レフトバックで先発した井出は、緊張具合が手に取るように伝わってきちゃいましたね。本来は攻撃的MFの選手ですから、かなり周りを気にしながらプレーしていました。序盤は山口智に「あまり上がりすぎるな」と言われていたようですね。山口も守備が崩壊するのを気にしたんでしょう。前半の終わりころになって、谷澤の外を周ってバイタルまで進出するシーンがありましたが、もっと自信をもって思いきり仕掛けてもよかったかもな。いろいろな事情で彼本来の持ち味を発揮できなかったのは残念ではありました。
次は味スタで鹿島との試合になります。今年の天皇杯は組み合わせに恵まれて、これまでずっと会カテゴリのチームが相手だったわけですが、今度はいきなりJ1のトップクラブが相手になります。今回の試合のような体たらくをさらしたら、6点7点取られてもおかしくないでしょうね。ちゃんと気を引き締めて戦術をブラッシュアップして、「目の前の試合に食らい」ついていかなければね。
試合の後、スタンドの最前列まで出て、坂本に直接「ありがとう」と言うことができました。あんなに泣きはらした坂本を見るのは初めてでしたね。来年からは指導者の勉強をして、ゆくゆくは「ジェフの監督として、フクアリに帰ってくる」とのこと。そのときまでにJ1に上がって、しっかり定着していないとだな。がんばろう。
