stellacadente.blog

がんばりすぎずにあるこうや。

天皇杯2回戦 谷澤の"A面"

第91回天皇杯 全日本サッカー選手権
2回戦 FC東京○4 - 0●FC KAGOSHIMA

週末にどの試合を見に行こうか金曜日まで悩んだ挙句、味スタにFC東京を見に行くことにしました。今季はJ2で昇格争いのライバルとして戦う相手ですが、天皇杯は普段は登場しない選手も見られるだろうかと思いまして。BSでやっていたというのはあとで知りましたね。まぁウチはBSが映らないので関係ないんですがw

ではFC東京のスタメンを振り返っておきます。GKは塩田。4バックは右から、中村北斗、徳永、森重、椋原。梶山と高橋秀人のダブルボランチ。アウトサイドハーフは、右が谷澤、左に田辺。トップ下に羽生がいて、ワントップにルーカスです。今季途中に加入した永里と坂田がベンチ入りしていました。鹿児島の選手はちょっとわからないので、勘弁してください(汗

予想に反してそれほど大きくはメンバーを入れ替えなかった東京は、スタート直後に谷澤がミドルでゴールを狙ったように、早い段階からアクションサッカーでペースをつかもうとしました。J2で首位を快走する東京のスタイルをさらに定着させ熟成させることを目的として、コンパクトでテンポの速いパス回しを中心とした「ボールが動くサッカー」を、格下相手でも容赦なく展開。14分に谷澤のゴールで先制すると、その後いずれも右サイドからのクロスに森重、ルーカスの完璧なヘッドで2点を追加。最後はまたも谷澤が鮮やかなダイレクトミドルをゴール右上隅に決めて、4-0の快勝。終始ペースを握って自分たちのリズムを崩さず、やりたいことをやりたいようにやって勝ちきった、まさに「快勝」というにふさわしい試合でした。

今季ジェフから東京に移籍し、今や押しも押されぬ東京の主力メンバーとなった谷澤は、この日は前線で躍動しました。逆サイドの田辺とポジションチェンジを繰り返し、相手に動きをつかませない。遠目からでも高精度なシュートを見舞い、バイタルでボールを受ければ素早い身のこなしで一気にゴール間近まで迫る。終盤はお得意の超低重心ボールキープでポゼッションを獲得して、鹿児島にチャンスを作らせませんでした。柏やジェフにいたころからコンディションのムラが激しく、悪い時には「今日は"B面"だなァ」なんて言われた谷澤ですが、今回のような"A面"の谷澤はやはり非常に脅威です。一人独特のリズム感(いわゆる"ヤザワールド")を持っている彼は、プレーの幅がとても広い。相手にとっては嫌な存在です。何してくるかわかんないんだもん、守りづらいですよ。

鹿児島に攻め手がなかったわけではありません。ワントップに入った谷口は、バックラインからのロングフィードに対するポジショニングが非常に良く、ボールを収めてキープし、味方の上がりを待つだけの時間を作ることができる選手でした。また相手DFの裏をとる動きも積極的に見せ、なんどか東京ゴールに迫る場面も。ですが鹿児島が全体的にかなり引いていて最前線で孤立する時間が長く、徳永、森繁、高橋の3人を1人で相手にする形になってしまったので、大きなチャンスにつなげることはできませんでした。鹿児島は普段の攻撃的な戦い方ではなく守備に人数を割いた戦術をとったということで、普段の感覚とのズレもあったんでしょう。スタイルを崩してしまったという点では、もったいなかったんじゃないかな。

東京の交代出場は、石川直宏、坂田、ロベルト・セザー。おお、なんと層の厚いことか。選手が変わってもきちんとテンポのいいサッカーを継続できていましたし、やはりチームとしての実力はJ2では群を抜いていますね。シーズン序盤に躓いたのは、単純にJ2での戦いに慣れていなかったということなんでしょう。J1仕様とJ2仕様ではずいぶん戦い方が違いますから。東京とは最終節のひとつ前に味スタで戦うことになっていますが、そのころには東京は昇格を決めているでしょうし、ジェフも、決まっているといいなぁ。楽な気持ちで「来季の前哨戦」にできるといいですね。したいですねぇ・・・・。

天皇杯の試合後によく見られるコール交換は、鹿児島側からでした。鹿児島のサポーターは数は少なかったものの、太鼓すらない中で精いっぱい声を出して手拍子をしていました。東京側があまりチャントを歌っていなかったのもあって、鹿児島の応援もよく聞こえてとても楽しめました。

コール交換のあと、鹿児島の選手たちは、東京のベンチに挨拶し、そして東京のゴール裏とバックスタンドにも挨拶しに来ました。リーグ戦ではまず遭遇しない状況に東京のサポーターは戸惑いながら、しかし万雷の拍手でそれに応えました。こういうのはいいですね。プロっぽくないけど、アマチュアならではの良いシーンだと思います。こういう場面を見られるのは、天皇杯のいいところですね。

【第91回天皇杯 2回戦 F東京 vs 鹿児島】レポート