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がんばりすぎずにあるこうや。

天皇杯2回戦 全く物足りない

第91回天皇杯 全日本サッカー選手権
2回戦 ジェフユナイテッド市原・千葉○1 - 0●デッツォーラ島根

天皇杯はスタジアムイベントも何もないし屋台も少ないし、お昼のぽかぽかした時間なんで、なんとものんびりした空気が漂いますね。フクアリでのゲームなのに別にチケットを買わなきゃいけない試合で、今回は格下相手だし、せっかくなので初めてバックスタンドからジェフの試合を見てみることにしました。センターライン延長上のすごくいい席をとることができて、いつもと違ったフクアリとジェフの景色を楽しみました。違う視点にいると、普段わからないこともいろいろとわかるものです。

ジェフのスタメンを振り返ります。GKは今季初出場の大久保。最終ラインは右から、坂本、福元、益山、渡邊。ダブルボランチ藤田俊哉伊藤大介。右ワイドに米倉、左はルーキーの藤本。トップ下に青木孝太。最前線は久保です。ベンチにはGKの佐藤慎之介、茶野、マット・ラムなどなど。林は久しぶりにベンチに戻ってきました。

4部のチーム相手ということでテストマッチの意味合いも兼ねてか、ドワイト監督はリーグ戦から大幅にメンバーを入れ替えました。この試合で、リーグ戦の主力メンバーに食い込んでくる「ニューヒーロー」の登場を期待したんでしょう。監督だけでなく、サポーターにもそういうシチュエーションを期待した人は多くいたはずです。格下とは言え島根県内では随一の実力を誇るデッツォーラ相手に大差で勝てるようなら、次の草津戦でスタメンを奪取するメンバーも現れるかもしれない。そう楽しみにしながら、ジェフのサッカーを俯瞰して見ることにしました。

ですが、結局その楽しみはあっさりと打ち砕かれることになります。今季ほとんど公式戦に出場していないメンバーたちは、試合に出られない理由をはっきりとサポーターに示してしまうことになってしまいました。試合勘の問題もあるんでしょうが、特に前半はとにかくミスのオンパレード。単純なパスコースのミスからはじまり、強すぎ弱すぎで受け手に届かなかったり、ボールを受けても次のプレーに移るまでに考える時間が長くて島根のプレッシャーを容赦なく受けてしまったり。バックラインですらきちんとボールを落ち着けることができずに、島根の強烈なフォアチェックにあたふたするばかりで、ビルドアップなんでしてる余裕もないという有様。島根の快速スリートップは積極果敢にスピード勝負を仕掛けてきて、ジェフのバックスはほとんどそれに対応できず、ビッグチャンスを何度も作られました。大久保がビッグセーブを見せたりゴール至近でなんとか体を張って、失点こそしませんでしたが、本来ならそんなとこまでいかせちゃいけないわけで。

前半で唯一いいなと思ったのは、伊藤がボールを受けて前を向いた瞬間に、青木、久保、米倉の3人が一気に前を目指して動き始めたシーン。この意思の疎通というか、信頼関係はすごいなと思いました。伊藤はいい状態でボールを持てば、必ず前に送ってくれると、アタッカー陣はそのための準備をしていればいいと、そういう認識が共有されているわけです。あとは前線がそのパスを受けて、そのままスムーズにフィニッシュまで持っていけるかどうか。特に伊藤と青木孝太のラインは、ジェフでは唯一「ホットライン」と呼べるところだと思うので、それを活かせるようになってほしいですね。

後半はさすがに気が引き締まったのか、サイドを中心にシンプルに攻めていこうという姿勢が見えました。米倉のカットインからのシュートだったり、クロスに藤本がヘッドで飛び込んだり。マット・ラムも久しぶりの出場でしたが、クロスボールの精度はやはりいいものを持ってますね。バックラインからのフィードに対して、走れば追いつけたはずのボールを途中で追うのをやめたときにはがっかりしましたが。伊藤も長い時間プレーしたし、藤本はテクニックを持っているところも見られました。林も戻ってきましたよ。ゴールは青木の中央突破から。シュートを2本キーパーにセーブされましたが、最後は藤本がミドル気味にダイレクトで蹴り込みました。公式戦初出場で初ゴール。嬉しそうでしたね。渾身のガッツポーズを見せてましたし。

まぁでも、正直1-0では全く物足りない。7点も8点もとれとは言いませんが、1点しか取れないのではね。スコアもそうですが、それ以上に「次のリーグ戦でレギュラーを取ってやる!」という気迫みたいなものが、選手たちからほとんど感じられなかったというのが、何よりも寂しいです。今回出たメンバーから次の草津戦に誰か抜擢するかと言っても、正直難しい。この先シーズン終盤に向けて、サスペンションもあるだろうし予期せぬ怪我で主力が抜けることもあるでしょう。そういうときに、今回出たメンバーがチャンスをもらえるためには、今みたいなプレーを続けていたんでは到底ダメです。主力がいなくなっても、あいつがいるから大丈夫だ、と思わせてくれないとさ。頼むぜよ、みんな。

サポーターのコール交換は、あまり満足にはできませんでした。ジェフ側は「島根!」コールをしましたけど、タイミングがあまりに遅かったこともあるでしょう、島根側からはコールを返してもらえませんでした。それとも「勝ったからって調子に乗りやがって!」と思われたかしら。この国にサッカーが「文化」として根付くには、まだまだ時間がかかりそうだなぁ。

【第91回天皇杯 2回戦 千葉 vs 島根】レポート