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がんばりすぎずにあるこうや。

天皇杯2回戦 夢の日立台ダービー

第92回天皇杯 全日本サッカー選手権
2回戦 柏レイソル○3 - 0●柏レイソルU-18

昨年はあと一歩のところで実現しなかった「日立台ダービー」(柏ダービーというのは誤りらしい)を、今年は見てまいりました。今年はジェフのU-18の試合がらみで柏U-18の試合もいくつか見ていて、そのユースチームと、Jリーグディフェンディングチャンピオンであるトップチームがどういう形で相見えるのか、非常に興味津々でありました。戦前には「10000人 vs. 20人」なんて言われたサポーターも、アウェイ側にもずいぶん多くのサポーターがいましたね。あれには勇気づけられたでしょうねぇ。

ではまずホーム扱いになった柏レイソルトップチームのスタメンから振り返ります。GKは菅野。4バックは右から、那須、増嶋、近藤、橋本和ボランチには大谷と栗澤、その前にレアンドロ・ドミンゲスジョルジ・ワグネルネット・バイアーノと"古巣対決"の工藤壮人のツートップです。 対するアウェイ側、日立台でセカンドジャージを着ることになった柏レイソルU-18の先発は、GKは今回は伊藤俊祐。バックラインは、堤、中谷、御牧、新藤。アンカーに秋野、その前に吉川、小林祐介、中川、木村が並び、最前線に川島章示が陣取る4-1-4-1のシステムでスタートです。
3日前に鹿島とのナビスコカップを戦った直後の2種年代相手の試合でしたが、やはりネルシーニョ監督は主力メンバーを惜しみなく出場させました。この人の辞書にはターンオーバーという単語はないんですね。U-18はレギュラーのGK中村航輔が負傷欠場。翌日にプリンスリーグの試合を控えていましたが、お構いなしに全力でトップチームを喰ってやろうという覚悟の陣容です。

結果から言うと、3-0でトップチームの勝ちでした。前半の開始直後と終了間際、後半の開始直後という隙のできやすい時間帯に、U-18がまんまと隙を突かれてしまった格好です。トップチームは、ネット、ジョルジ、レアンドロというブラジル人選手のテンポの速い連携プレーと、後半から出場した澤の巧さで、文句のつけようのない3ゴールを奪いました。2列目のブラジル人コンビはやはり別格の動きを見せ付けましたし、レフトバックの橋本も終始高い位置取りで攻撃参加して、低く鋭いクロスで決定機を何度も演出しました。交代出場の田中順也を含めて前線に迫力が感じられないのは問題かもしれませんが、それでも2列目を生かすべくポストプレーでしっかりアシストは記録しているわけで、総じて"格の違い"ってやつで弟分をねじ伏せた試合でしたね。

結果を見れば順当ですが、しかし前半の20分以降と、後半の中盤にはU-18が試合のペースを掴んでいました。秋野を中心に真ん中をガッチリ固める守備シフトを敷いて、気の抜けたパスミスをかっ攫うと前3枚が一気にプッシュアップ。特に右の吉川は橋本が上がった後ろを自由に使って、近藤すらもぶっちぎり、ボックス内にラストパスをいくつも送りました。惜しむらくは、このときの川島や中川が吉川の後ろでのカバーリングに意識を置きすぎたために、ラストパスに反応できずフィニッシュまでいけなかったこと。形としては柏の守備ラインを崩しきってましたから、1人でもゴールの真ん前に飛び込んで足を出していれば、もしくは、だったんですけどね。終盤は電池切れから決定機そのものが減ってしまって、トップチームに力負けしてしまいました。

U-18の選手たちは、とにかく上手いです。ショートパスの精度は高いし、選手同士の距離感がよくて相手の間あいだでパスを受けることが徹底されているし、最終ラインの上げ下げもビシッと揃っていて見事だし、何よりトラップがピタッと足下に収まる。個々の能力は非常に高い。さすがに千葉でトップにいるチームです。この中の何人が来季トップチームにいるかわかりませんが、今度はこの上手さに「強さ」をプラスして、Jリーグの舞台で躍動してくれるのを楽しみにしようと思います。

試合後は、両チームの選手が揃ってピッチを一周。U-18の選手たちは、悔しさよりも充実感や爽快感のほうがよく現れていました。終了のホイッスルで倒れこむ姿にも、トップチームの強さを目の当たりにして力の差を痛感し、それをむしろ次へのモチベーションにしようというポジティブな感情が見えました。この試合は両チームの選手にとって、そして何より「柏レイソル」というクラブにとって、非常にいい刺激になったんだと思います。柏の未来は明るいね。うらやましいや。

【第92回天皇杯 2回戦 柏 vs 柏U18】レポート