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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ第12節 支える力

プレナスなでしこリーグ2012
第12節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●1 - 4○日テレ・ベレーザ
6位(勝点11)→7位(勝点11)

今年は見に行けないかと思っていたレディースの試合ですが、週末に実家に帰る予定を立てたところにフクアリ開催という情報が飛び込んできたので、これ幸いと寄ってみることにしました。この日はバックスタンドが閉鎖されていたので、メインスタンドの中央から。日陰でゆったりと見てみることにしました。"ジェフシート"に座れる機会なんてそうそうないもんでねw

ジェフレディースのスタメンです。GKは船田。4バックは右から、高橋、河村真理子、山本、細川。ボランチに保坂と柳井の2人が入って、右にユース登録の安齋、左が筏井。深沢と小川志保のツートップ。オーソドックスな4-4-2でスタートです。なでしこリーグのベンチ入り選手は5人まで登録できるんですが、ジェフレディースの上村監督はいつもリザーブのGKを置かないんですね。リザーブメンバーはDF登録が4人にFWが1人と極端な構成になりました。チームキャプテンの清水由香はベンチスタート。ユース登録の選手も2人入っています。

1-4という結果はそれなりに妥当なものでしょう。ベレーザには岩清水と阪口の代表レギュラー勢がいて、他にも有吉、木龍七瀬永里亜紗乃といった代表級の選手、U-20代表の田中美南もいるわけです。選手層からいっても段違いですから、普通にやっていい勝負もできるはずがない。じゃあどう工夫して相手の隙を突いていくのかというところに興味があったわけですが、そういう次元では全然なくただただチームの実力差で敗戦してしまったという印象でした。なす術なし、っていうかね。

前半はそれなりに戦えていました。ベレーザはセンターラインに阪口と岩清水という強力なタレントがいるので、両サイドバックが高いポジションをとって攻撃に参加することが多く、その分守備が手薄になりがちでした。そこをジェフの両サイドハーフ、筏井と安齋が駆け上がってショートカウンターを仕掛け、深い位置からのサイドアタックを試みるのがひとつの攻撃パターンになっていました。ボールを奪ってから早いテンポでのサイドへの展開まではよかったんですが、前段階で中央部を押しこまれていてツートップの動き出しが遅れ、クロスにタイミングが合わないことが多く、また中央が固く守られていて思うようにフィニッシュできずにゴールを奪えませんでした。安齋は小さな体で懸命に走ってがんばっていたんですが、やはり技術面では未熟そのもので、対人では全く歯が立たず。周りがもう少しサポートして選択肢を広げてあげられれば良かったんでしょうが、全体的にそんな余裕もなかった感じがしました。30分での交代でしたが、上村監督もこのあたりはある程度割り切って、我慢して起用しているんでしょうね。

船田の再三の好セーブのおかげで前半の失点を1にとどめたあと、後半立ち上がりのビッグチャンスを空ぶってしまったのが運の尽きだったんでしょう。後半は防戦一方とはいかなくてもかなり押し込まれる展開が続き、攻撃は深澤にまかせっきりという状態で、効果的な攻め手がほとんどありませんでした。ボランチのところが全く役割を果たせておらず、ミドルサードでボールを持たれると次のディフェンスがいきなりバックラインになってしまうのはいくらなんでも辛すぎる。次第に消耗して守備のバランスがボロボロと崩れてしまい、最終的には4失点。ジェフのカウンターにも動じずしっかりとバランスを保って守ったベレーザとは対照的でした。

ジェフの唯一の得点は、トップの深澤の個人技です。バイタル右寄りでボールを受けると、ワンステップして左脚一閃。見事な軌道でゴール左隅へ飛んで行きました。深澤はとにかくもうめちゃくちゃ巧くて、ジェフの中で1人だけレベルが違う。ボールの持ち方、パスを出すタイミング、視野の広さも段違いなんですが、何よりトラップがしっかり足下に収まる。これ、ものすごく重要ですよね。パスを受けた次の動作を、しっかり自分の間合いとタイミングでできるわけです。これだけのアタッカーが前線にいながら、それを活かせないというのは本当にもったいない。中盤のレジスタが機能できないので、どうしても孤立してしまうんですよね。

保坂と柳井のダブルボランチは、守備にも攻撃にもほとんど存在感を示せませんでした。保坂はここのところ調子を落としているらしく、ボールを触る回数は多くてもそれがことごとくミスになってしまう。柳井のほうはもうまるっきり消えていて、チームのど真ん中にぼっかりと大穴があいたような状態になってしまっていました。昨年もレディースの試合は見ているんですけど、これほどズルズルになっていたかなぁと。昨年10番を背負っていた山田がが抜けているという事情はあるものの、しかしチームの心臓部がこれほどまでに不安定なのでは、ファーストチェックも攻撃のスイッチングもうまくいかない。シーズンはこれから終盤ですが、かなりの我慢を強いられることになるかもしれません。

代表チームが活躍して知名度が上がり、日本の女子サッカーは世界のトップレベルにいると言われています。ですが、代表チームのほとんどは神戸、浦和、ベレーザの3チームにいるわけで、戦力的な偏りは明らかです。なでしこリーグ全体としてのレベルが高いとはとても言えない。リーグ全体としてのレベルの底上げと知名度向上をどう実現していくのかは、今後日本の女子サッカーがそのレベルを維持しているうえでも大きな課題ですね。

僕がひとつ思うのは、最低限「ホームスタジアム」を固定できないものだろうか、ということ。ジェフレディースは今回のフクアリをはじめ、市原臨海、秋津、鴨川、東総、東金といろいろなスタジアムを転々としてホームゲームを開催しています。これだと「いつやってるか、どこでやってるか」がわからないので、余計に出足が鈍るんですよね。臨海でも秋津でも、「ジェフレディースの試合はここでやってます!」っていうのがひとつ決まれば、それだけでもハードルは幾分低くなると思うんですが。