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がんばりすぎずにあるこうや。

J2第37節 高橋峻希のホントのトコロ

2012 Jリーグ Division 2
第37節 ジェフユナイテッド市原・千葉○2 - 0●ザスパ草津
5位(勝点59)→4位(勝点62)

勝ちました!やっと勝ちました!2点取っても安心できないなんて僕も臆病になったものだと思いますけど、しかしここ4試合の閉塞感はどこへやら。「快勝」と言っていい試合で、なんともスッキリと家路につくことができました。今週は気分よく過ごせそうです。

スタメンを振り返ります。GKは岡本。高橋峻希、大岩、竹内に、レフトバックは渡邊圭二ボランチ佐藤勇人佐藤健太郎田中佑昌、兵働、谷澤が2列目に並び、荒田がワントップに張る4-2-3-1でスタートです。武田は警告累積でサスペンション。ベンチにはオーロイ町田也真人が久しぶりに登録されました。

今回は時間が経つのがずいぶん速く感じました。前線、中盤と勘所をしっかり締めつけて相手にプレッシャーを与え、良いテンポでパスを出し良いスピード感で全体を押し上げ、人数をかけてアタックして常に主導権を握ってのゲーム展開。攻守のトランジションもスムーズでしたし、センターラインは自分たちの役割をちゃんと把握してそれを務めあげましたし、常にアグレッシヴに前を向いてゲームをコントロールできていました。これほどにまで圧倒できるものなんですね。サッカーってのはなかなかよくわからないものだ。

武田がいないのでレフトバックは坂本になるかと思ってましたが、渡邊でした。正直渡邊には主に守備面でいい印象がなくて、試合前は左サイドをどれだけぶち抜かれるかととにかく不安いっぱいだったんですが、しかし今回は大当たりでした。谷澤とのコンビネーションがいつの間にかずいぶん熟成されていて、高い位置取りで攻撃にリズムを与えてくれました。攻撃面ではポテンシャル高いんですよね。ケガさえなければ武田とポジション争いしてもおかしくないんだけど、惜しいよなぁ。自分のプレーから守備に負担をかけないように、上がったときにはシンプルにプレーすることを心がけているようでした。アシストになったクロスもダイレクトで蹴ったものでしたね。致命的に足が遅いのはどうにもならないんで、自分が戻るための時間をどう稼ぐか、そういう意識も働いたのかもしれません。いやはや、今回ばかりは土下座で謝らねばならん。

右の高橋を合わせてサイドバックが高いポジションをとって攻撃に勢いをつける一方、守備では真ん中がしっかり構えてバランスを崩さず安定感をもたらしました。ボランチの2人が前に出るのを我慢して、ミドルサードから後ろのブロックをきっちりと維持し続けたのが要因ですね。このやり方は、一昨年・昨年と無類の攻撃力を誇った柏のスタイルによく似ていて、酒井宏樹と橋本が上がる代わりに大谷と栗澤が低めにキープして真ん中を固めるというわけです。佐藤勇人は2列目から飛び出してボックス内へ強襲するスタイルも持ち味ですが、今年は特に中盤のバランスを意識して後ろと前をつなぐ役割に徹しています。相方の佐藤健太郎はアンカーとして十二分の実力を持っていますし、ここに落ち着いて迎え撃てる2人がいるのは実に心強いでしょう。カウンターに対しても、最終ラインのひとつ前でファーストチェックができるので、センターバックは随分落ち着いて対応できるんじゃないでしょうか。

大岩のセンターバックも、何試合かを経てだいぶ板についてきました。というか、もともとセンターバックの選手ですから適正的には問題ないんでしょうけど、勘というものはありますからね。その大岩の勘が十分でないところを補っているのが、ライトバックの高橋峻希です。僕は浦和でのイメージから、高橋はどちらかというとアタッカータイプなのだと思っていて、サイドハーフの位置からぐーっとインサイドに入っていってラストパスを送るという形で強みを発揮するのだと思っていました。どころがどっこい、彼の真骨頂は対人守備力にあったんですね。ボールを持った相手に対して思い切って間合いを詰め、まず確実に利き脚のアウトサイドを潰す。ライン際に追い込めば躊躇なく足を出してプレーのリズムを切り、同時に味方が陣形を整える時間を作る。相手のインサイドからかわされかけても、倒れず食らいついてしつこくしつこく追いかける。浦和ユースで英才教育を受けたエリートとは思えないほど泥臭いディフェンスを、前でも後ろでも、90分間途切れることなくずーっと維持しています。ものすごい集中力とスタミナ。よくもまぁあれだけスプリントを続けられるものです。高橋のおかげで右サイドの守備はものすごく安定していますよ。勝てなかった4試合も、右から崩された印象はあまりありませんでしたからね。

攻撃面でも、田中佑昌とのコンビで右の深いところを蹂躙しました。クロッサーではないのでなかなか強いキックは出なかったし、左脚を使おうとしないのでカットインしてからの展開にはやや停滞感が漂ってしまいましたが、パスの受け方やオフ・ザ・ボールの動き方など、プレーの質はやはりJ1レベルそのものです。後半にあった絶好のゴールチャンスを決めていればもう120点満点だったんだけどね。次に取っておいてもらおう。彼のプレーぶりを見ていると、浦和でポジションを失った理由も少しわかる気がします。攻撃にしろ守備にしろ、3-5-2を敷くミシャ監督のサッカーにはフィットできないんでしょう。おそらくミシャ監督は、高橋を「使わない」のではなく「使えない」のだと思います。ポテンシャルや実力は十分に分かっているはずなんだけど、ミシャ監督の志向するサッカーでは高橋の強みを十分に活かすことが出来ないのかもしれません。それなら、完全移籍とはいかなくても、ローン延長でもいいから何とか来年もジェフに残ってもらえないかなぁ。

ミッドウィークの天皇杯をはさんで、大分、湘南、山形と、上位勢との3連戦になります。ここ!ここ正念場よ!2位の湘南を混戦の中に引きずり込めたので、一気に自動昇格を狙っていける大チャンスです。そしておそらくラストチャンス。油断せず気負いすぎず、しっかり準備して、ひとつひとつ全力で戦って勝ってまいりましょう。

[J'sGOAL]【J2:第37節 千葉 vs 草津】レポート