なでしこES第5節待ちに待った勝利

2015 プレナスなでしこリーグ1部エキサイティングシリーズ上位リーグ
第5節ジェフユナイテッド市原・千葉レディース○1 - 0●アルビレックス新潟レディース
5位（勝点6）→5位（勝点9）

ESの日程が発表されて、トップチームの大事なヴェルディ戦とレディースの大事なリーグ最終戦が、日付どころか試合時間まで丸かぶりと知った時には、そりゃもうガッカリしたもんです。時間をずらせば動員が見込めるものを、何たる愚行！とはいえ、たった2試合しかないホームゲームに行かないという選択肢はないし、ましてシーズン最終ゲーム。当日はあいにくの雨になってしまいましたが、今年最後のホームゲームをたっぷりと楽しんできました。

新潟といえば、今シーズンホームで唯一黒星を喫した相手。同じ相手に二度負けるわけにはいかないし、それ以上にESではいまだ未勝利のジェフレディース。最後の最後で勝ち星を獲って、気分良く皇后杯につなげようと、選手たちは気合が入っていました。9月以降ほとんど機能していなかった前線からのフォアチェックがある程度まで復活して、新潟のバックラインに圧力を与え、攻撃のキーパーソンである上尾野辺に良い状態でボールを預けることを許しませんでした。新潟の攻撃は、上尾野辺からのキラーパスに佐伯や山崎が反応するか、サイドバックから中距離のフィードを深いところにあるスペースに蹴りこんで大石に預けるか、というパターンだったので、出所をしっかり押さえればいい状態でフィニッシュまでいかせることはない。まぁピンチもいくつかありましたけど、今回は肝を冷やすという感じはあまりしなくて、割と安心して見てました。上尾野辺の左脚一発か、あとは事故みたいなシチュエーションでもなければ、失点することはないだろうなと。

今回は雨だったので、臨海の屋根のある上段スタンドで見てたので全体が良く見渡せました。あらためて見ると、ミドルサードで一人がかわされたときに、周りの選手が一気に3人くらいフォローに走っちゃうのは、あれはかなり危険ですね。フォローにいって継続的にボールホルダにプレスをかけること自体は良いんですけど、人が一方に寄りすぎて中央や逆サイドがガラ空きになっています。そうなると、ディフェンスがスクランブル状態になってバランスが崩れ、ともすると耐え切れなくなってしまう。今回は美里さんや磯金さんの対人守備力で乗り切りましたが、前線にタレントの多いチーム相手だと苦しいでしょうね。どうにか改善できないものか。

決勝点は真理さん。菅澤さんのシュートの跳ね返りを、思い切りよくゴールに叩きこみました。真理さんはゴールへの嗅覚を完全に復活させましたねー。昨年までいくら打っても入らなくて、「得点力は福岡に置いてきてしまった」なんて言われてましたけど、今シーズンはリーグ戦で4ゴールかな。瀬戸口さんと合わせて、3列目からゴールを狙える選手がいると、相手も怖いはず。精度にはどんどん磨きをかけて、チームを盛り上げてほしいです。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

左サイドバックでフル出場。前半に接触プレーで右脚を痛めて、しばらくびっこひいてプレーしてたんで心配したんですが、とりあえずこの試合は乗り切りました。左の太腿あたりにテーピングしてたし、ちょっと負担が溜まってるかなー。心配です。あと2か月何とか乗り切って、オフにはしっかり休めて治してほしい。

新潟の攻撃が比較的ジェフの右サイドに寄っていたことで、上野ちゃんが高いポジションから攻撃に絡みやすくなっていました。深澤さんも高めに位置を取っていたので、それに追従してボランチの瀬戸口さんとパスを交換しながらアタッキングサードを狙う形。鋭いアーリークロスも何本か上げまして、後半にはあと少しでアシストがつくという惜しいボールもありました。若干スライスしちゃったんだなー。少しインスイングがついていれば、ファーサイドで待っていた菅澤さんにドンピシャだったんですけどね。

でも、いい傾向です。「1対1では絶対負けたくない」と言うように守備面の意識も高く保っていますが、しかし上野ちゃんの本領は、ミドルサードより前での攻撃参加なのです。昨シーズン以来、バックラインの守備バランスを意識してなかなかうまく攻撃に絡めませんでしたが、ここにきて積極的に前のスペースをうかがうようになっています。その調子で意識と精度を高く持って、いつか秋津で見せたようなスーパーなアシストをまた見たいですね。

三上監督が美里さんの左サイド起用に見切りをつけ、磯金さんをセンターバックで使っていることで、結果的にこのポジションは上野ちゃんが確保することになりました。その分与えられる任務もこなすべき役割も重くなってプレッシャーはかかりますが、上野ちゃんならそれに負けずにやれるはずだ。皇后杯での活躍も期待しています。

リーグ戦を終えて、ジェフレディースは5位ということになりました。優勝を目指して戦っていたわけですから、選手もコーチ陣も満足していないと思います。引き分けが多くて勝ちきれない試合が続いてしまったのが惜しかった。そして菅澤さんは2年連続の得点女王になりました。見事に開幕前の目標を達成。素晴らしい。おめでとうございます。

さあ皇后杯です。今年最後のタイトルマッチで、負ければ終わりのノックアウトトーナメント。組み合わせの妙で、2回戦から決勝まで、とにかく強敵ぞろいです。一戦必勝の決意で戦い抜いて、今度こそタイトルを獲りましょう！