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がんばりすぎずにあるこうや。

J1第8節 "いるかいないか"の差

2011 Jリーグ Division 1
第8節 柏レイソル○2 - 1●ヴァンフォーレ甲府

連休中のJリーグは、J1とJ2がそれぞれ集中開催。そういうわけで、連休初日の29日に日立台へ行ってきました。今年はアウェイチームとしてお邪魔する機会がないので、昨年からよく見ている甲府との試合を見に行きたいとはシーズン前から考えていたんです。ちょうど集中開催日に当たってくれたので、渡りに船という感じ。

両チームのスタメンを振り返ります。まずホームの柏。GKは菅野。DFは4バック。右から酒井、パク・ドンヒョク近藤直也ジョルジ・ワグネル。ワンボランチに栗澤。右ワイドに茨田、左に大谷がいて、トップ下に"レドミ"ことレアンドロ・ドミンゲス田中順也と澤のツートップ。
対する甲府のスタメンですが、GKに荻。こちらも4バックで、右から吉田豊、ダニエル、冨田、内山。石原克哉伊東輝悦のベテランダブルボランチに、右に若い柏好文、左に永里。マイク・ハーフナー松橋優のツートップ。個人的に見えたポジション配置なので、若干違っている部分があるかもしれませんが、ご容赦を。

バックスタンドの指定席での観戦でしたが、かなりアウェイゴール裏に近い席になってしまい、とてもピッチ全体を俯瞰できるようなポジションではありませんでした。とりわけ反対側のタッチライン際で起こっていることは全く見えなかったので、甲府の先制点につながるPKの判定シーンはさっぱりわかりませんでした。またその後のマイク・ハーフナーの警告につながった行為についても同様。ビデオを見た限りだと、PKの判定は若干厳しいとは思うものの、ファウルをとられてもおかしくはないと思います。その後のマイク・ハーフナーの行為は、正直どの動作が警告の対象になったのかわかりませんでした。

前半は柏の攻めを甲府がうまく受け止め、返す刀で一気に攻め返していた、という印象でした。ワグネルは、サイドバックにしては高めで内寄りのポジションをとることが多く、大谷やレアンドロにボールを配給する役割を担っていたようです。それもあって、前半の柏は左サイドで攻撃を展開するシーンが多かったように思います。アタッキングサードでは澤が動き回って、どうにかレアンドロからのボールを引き出そうと奮闘していましたが、動き出しやコンビネーションが良くなくて効果的な仕事でできませんでした。個人的には、澤はもっとアウトサイドでボールをもらう形のほうが活きると思ってるんですが、メンバー構成や戦術の兼ね合いもあるんでしょうかね。ちょっと残念だった印象。

澤がよくなかったのもありますが、甲府の右サイドの守備はとても固かったです。センターバックのダニエルとサイドバック吉田豊に、ボランチの石原を加えた3枚の守備陣形は非常に堅牢で、レアンドロのボール捌きや大谷・澤の突破にもしっかり対応し、チャンスを多く作らせませんでした。いなすのではなく真っ向からガツッと当たる守備スタイルは、攻撃力のある柏には良く効いていたし、そこでボールを奪うと、サイドハーフ柏好文がスパッと突き抜けてチャンスを演出する。トップの位置にいる松橋の精度がよくなくて流れからの得点にはつながりませんでしたが、前半のフィニッシュチャンスは甲府のほうが圧倒的に多かったのではないでしょうか。

後半、柏は動きの悪かった茨田と澤に代えて、水野晃樹と北嶋を入れ、ダブルボランチの4-2-2-2にシフトします。これが実に効果的だった。ボランチに入った水野は、ジェフにいた頃とは全く違うプレイスタイルを見せていて、前半欠けていた「バックラインとレアンドロの中継役」を見事に果たしていました。相手をきりきり舞いにさせるドリブルや、サイドからの正確無比なクロスボールなどで、僕らジェフサポを魅了した水野晃樹はそこにはいませんでしたが、彼はレイソルで"自分の役割"をしっかり見つけたようです。中盤で右に左に躍動する「黄色い29番」を見て、それまであったモヤモヤしたものが、フッと消えていく感じさえしましたよ。あいつ、いい選手だな!

負担の軽くなった栗澤は、こちらは守備に大貢献。ダニエルや石原、伊東、永里が攻撃のスイッチを入れようとすると、目の前にはいつも栗澤がいました。まさに「気がつけば、栗澤がいる」。1列前でガチッと締め付けることで、パクや近藤の負担もかなり減ったはずです。実際後半の甲府は、柏の守備陣をほとんど崩すことができませんでした。

そんな中で、59分と64分に立て続けの2得点。得点シーンをピンポイントで見れば、これは田中や北嶋がとにかく巧かった。それぞれのシーンで甲府のディフェンスが殊更まずかったとは思いません。まぁ富田のクリアミスはお粗末そのものですけど、圧力はしっかりかけていたし、荻のポジショニングもそれほど問題ないと思いますし。田中と北嶋が、「二アサイドからファーへ流すようなシュート」という荻の最大のウィークポイントを巧いこと突いた、ということです。特に後半から入った北嶋には、ネルシーニョ監督はもちろん、サポーターからも大きな期待がかけられていたはずです。北嶋のチャントには「お前がやらなきゃ、誰がやる!」という歌詞があります。まさにそのとおりに、期待に応えた北嶋は見事でした。

ビハインドを背負った甲府は、パウリーニョ阿部吉朗を入れて、前への推進力を確保しようとします。が、73分に起きた異変が、すべてのプランを台無しにしてしまったわけです。パウリーニョという絶対的な推進力を失い、かつ交代カードを使いきった状態では、まさに「打つ手なし」。三浦監督としては、おそらく3枚目のカードに養父を考えていたはずです。柏、パウリーニョマイク・ハーフナーのスリートップにパサーの養父を絡めることで、昨年までの甲府の攻撃力を再現させたかったのではないでしょうか。パウリーニョの負傷によって、4枚のピースのうち2枚が欠けてしまった。結局、それが全てだったんでしょう。

昨年秋のフクアリで、ジェフは「パウリーニョがいるかいないかの差」で甲府に敗れ、結果的にJ1昇格を逃しました。今回の日立台では、同じように「パウリーニョがいるかいないかの差」で、甲府は柏に敗れてしまった。パウリーニョという選手が甲府にとっていかに絶対的な存在であるのか、図らずもそれが証明されてしまったのではないかなと、個人的には思いました。

試合以外では、今回始めてホーム側の売店エリア(レイソルホームパーティ)にお邪魔しまして、アウェイ側との格差にビックリしました。レイソルカリーや牛串や鶏丼などなど、おいしそうなグルメがいっぱい!僕は写真のレイソルカリーをいただいてきました。ピリッとした辛さはあるけど、温玉キャベツのおかげで味はマイルド。おいしかったです。ごちそうさま。 来年はこの2チームと戦えるように、がんばってJ1に昇格しないとな。

[J'sGOAL]【J1:第8節 柏 vs 甲府】レポート