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がんばりすぎずにあるこうや。

J1第2節 攻撃のスイッチ

2011 Jリーグ Division 1
第2節 浦和レッズ△1 - 1△ガンバ大阪

東日本大震災の影響で延期になっていた埼玉スタジアムでの試合を見てきました。もともと3月12日に友人と見に行く計画を立てていて、ホーム開幕戦だったこともあってメインのアッパースタンドの指定席を取ってもらっていたんですが、今週はジェフが富山での遠方アウェイゲームになって見に行けないので、ちょうどいいので行くことにしました。

両チームのスタメンを振り返ります。ホームの浦和は、GKに加藤順大。高橋、永田、スピラノビッチ、平川という4バック。ボランチの形で山田暢久とキャプテンの鈴木啓太。右ワイドにマルシオ・リシャルデス、左にはU-22代表の原口。田中達也原一樹のツートップ。対するガンバは、GKに藤ヶ谷。4バックは右から、加地、中澤、山口、下平。中盤は遠藤と武井というバランス感覚のいいボランチが2枚と、右に二川、左にドイツ行きが決まった宇佐美貴史。ツートップは平井とイ・グノでスタートです。

当初ホーム開幕ゲームだったはずのこのゲームを、浦和が14位という状況で見ることになるとは思いもしませんでした。ペトロビッチ新監督の下、当初オランダ式の4-2-3-1を模索したレッズは、しかしこのシステムではまるで結果を出すことができず、オーソドックスな4-4-2にシフトせざるを得なくなっています。それでも、まず守備をしっかりと整えることからというコンセプトの表れか、山田暢久鈴木啓太という共にディフェンスに力を発揮する2人をボランチに並べて、前の4人で攻めるというメンバー構成です。

ですが、前半はこの「4人で攻める」ことがほとんど上手くいっていませんでした。本来攻撃のタクトを振るべきマルシオ・リシャルデスが、この前半に関しては完全なブレーキになっていた。サイドハーフに位置付けられていながらかなり内に絞ってボールをもらいに行くので、彼がボールを持った時にはセンターが人員過剰で窮屈になり、パスの出しどころもない。右にオープンスペースはライトバックの高橋峻希がオーバーラップして使っていましたが、回数も少なくクロスも原や田中達也にあまり合わなかったので、効果的ではなかったなという印象。逆サイドの原口が非常にいい動きをしていて、ワイドの位置でボールをもらっても自分でフィニッシュまで持っていけていたので、右サイドからいいクロスをどんどん入れていけば、左右で攻撃のコントラストができて良いのになと思いました。

反面ガンバは、ボランチの遠藤から始まる攻撃のリズムが素晴らしい。左の宇佐美に展開してからのシュート、あるいは縦に鋭いパスを入れてイ・グノがてんで仕事をする、はたまた遠藤はバイタルでボールを持てば自らゴールを狙っていくと、攻撃のバリエーションが実に豊富。ライドバックの加地が精度の高いクロスを持っていて、攻撃陣はそれをみんな分かってるもんで、右サイドにボールがはたかれた次の瞬間には、もうペナルティボックスの中に3人入ってるんですよ。このあたりの意識の共有というのは、さすが西野監督が10年間積み上げてきたものが表れているなと。レッズのバックラインも安定した守備を見せていたのでゴールこそ奪えませんでしたが、人数をかけた流れるようなパスワークとか、いやはや「これがJ1か!」と、おもわず笑ってしまうほどでした。

レッズのリズムが変わったのは、76分に柏木が登場してからです。ピッチに入っていきなり同点ゴールの起点になりましたが、ボランチに柏木、左サイドに山田直輝を置いたことで、この2人がフリーでボールを収められるようになり、攻撃へのスイッチが明確に入るようになりました。前線はマゾーラ田中達也のツートップに、原口を右サイドにスイッチして、ミドルシュートやクロスからのフィニッシュなどバリエーションも一気に増え、個々人の動きそのものも活性化。同点ゴールも、1本のクロスに3人が反応して、結果的に最も外側にいた原口がほぼフリーで叩き込んだ形でした。これは、この時間までの浦和には実現できていなかった形。マルシオ・リシャルデスボランチに下がってアンカーのような役回りになりましたが、これもなかなか利いていた。もともとコンパクトにボールをさばくことには定評のあるマルシオですから、役割がはっきりしたことでより巧さを出せるようになっていましたね。

最後の15分は、浦和は勢いに乗ってどんどん前に出てきたし、ガンバは変わらず縦への意識が強くて隙あらば一発でゴール至近距離までボールを運ぶしで、かなりオープンな展開に。どちらにも決定的なチャンスがあってどちらが勝ってもおかしくなかったし、お互いもっとゴールが生まれてもよかった。スタジアムのテンションも手伝って、メインスタンドから見ていて本当に面白かった。結局はドローゲームになりましたが、実に楽しませてもらいました。後日スカパーの再放送を見ましたが、実況の倉敷さんも「今日いらしたお客さんは、この試合を楽しんでいるでしょうね」と言っていましたね。

同点になってからの埼玉スタジアムの雰囲気は、そりゃもうすンごいモンでした。ここぞというときに繰り出す「PRIDE of URAWA」の大合唱は、メインのお客さんも手拍子してました。とりわけ、4万人の「We are REDS!!」は、あれはスタジアムにいないと味わえない大迫力。浦和の応援は、キーが低く野太い声で、単語が簡単な分一音一音がとてもはっきりと聞こえる。ドイツ・ブンデスリーガの応援によく似ています。飾ることなくストレートに伝わる応援は、間違いなく選手たちの力になりますよ。あの迫力は、サッカーファンなら一度は絶対に体験するべきだ。

そんな押せ押せなムードだっただけに、浦和は勝ちたかったゲームでしょうね。スタジアムの雰囲気だけで、1点くらいは入ってしまいそうな感じでしたからね。

第3者視点でこういうサッカーを見るというのは、いい刺激になります。サッカーのスタイルやサポーターの応援、プレーに対する反応などなど、どこにも特徴があって面白い。欲をいえば、ドローになってしまったことで浦和サポーターの「We are Diamonds.」を聴けなかったのは残念だけど、とても楽しませてもらいました。今度はアウェイサポーターとして、また埼スタに行きたいです。来れるように、がんばって昇格しないとな。

[J'sGOAL]【J1:第2節 浦和 vs G大阪】レポート