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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ第10節 明らかな実力差

プレナスなでしこリーグ2011
第10節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●0 - 3○INAC神戸レオネッサ

女子代表ののロンドンオリンピック出場も決まり、いまだ衰えぬなでしこフィーバーの中、なでしこリーグはいよいよシーズン折り返し。代表選手7人を擁する神戸をフクアリに迎えた連休初日のホームゲームを、実家帰りのついでに見に行くことにしました。NACKスタで見られなかった選手も帰ってきて、今回は見られそうだったのでね。

両チームのスタメンを振り返っておきます。ホームのジェフレディースは、GKに船田。4バックは右から、千野、河村真理子、桜本、細川。ダブルボランチに山田と島田。サイドハーフは右に井上、左に筏井。ツートップは深澤と安本という布陣。対する神戸のGKは海掘。近賀、那須田中明日菜、高良の最終ライン。ボランチに澤とチ・ソヨンという日韓両代表のNo.10を揃え、右ワイドに大野、左に米津。川澄と南山のツートップ。両チームともに4-4-2でスタートです。うーん、豪華。

僕がフクアリに着いたころには、もうメインスタンドもバックスタンドもいっぱい。最終的に9274人の観衆を集めた試合は、0-3で神戸の完勝でした。さすがに代表選手が7人もスタメンにいるチームだ、そりゃ強いわ、と言ってしまうのは簡単なんですが、兎にも角にも、フィジカル、バランス、テクニック、ポジショニング、スピード、判断力、レスポンスや意思の疎通まで、何から何まで神戸のほうが上でした。

神戸は90分を通じて試合を支配し続けました。大野と川澄の爆発的な推進力を活かしてジェフの最終ラインを何度も脅かし、決定的なシュートを何本も浴びせる。ジェフの攻撃は中盤で簡単にストップされ、何度かアタッキングサードに侵入したものの、サイドに追いやられてフィニッシュマンでいけず。最終スタッツを確認していませんが、前半はシュートの1本すら打てませんでした。ジェフの最初のシュートらしいシュートは、ボックス手前でファウルを受け、このFKを細川が直接狙ったもの。このシュートを打つまでに、実に66分を要しました。そして、この時点で既に2点のビハインドだったんですよね。

プレーを細かく思い返すと、たとえばトラップの動作だったり、オフ・ザ・ボールの体勢だったり、ボールを受けてからルックアップするまでの感覚だったりと、いくつも違いが浮かび上がってきます。アマチュアである女子サッカーにおいては、練習環境の違いが非常に大きな差となって、試合結果に直結してしまいますから、基本的な練習量の差、練習の質の差という部分が、今回はもろに表面化したんでしょう。基本的なことをコツコツと積み重ねて、地道に形を作っていくしかないのかもしれません。

もちろん、清水と丸山という、前線の大黒柱が2枚も欠けていたことは、ジェフの攻撃を形作るうえで無視できないポイントでした。女子サッカー選手としては類まれなスピードを活かして、「平面的ターゲット」としてボールを追いかけられる清水がいないと、ツートップのもう1枚になる深澤の動きの効果も半減してしまうんですね。清水が前戦でボールを追いかけ、またフォアチェックもこなすことで、ジェフの中盤はブロックを作り直す時間ができ、バックラインも再構築することができる。丸山は後半からのジョーカーとしてピッチに登場しますが、これは文字通り「最後の切り札」。動きの鈍くなる70分以降に、スペースへの反応速度と一発のシュートテクニックで、相手ゴールをおとしいれる力があります。この2人がいなかったというのは、ジェフにとってあまりに大きかったですね。

代表帰りのメンバーが勢ぞろいして全く不安のない神戸と、大きな支柱を失っているジェフ。こういう部分を考えれば、0-3という結果は妥当であるし、むしろ船田があれだけのスーパーセーブを見せなければ、いわゆる「夢のスコア」なんて簡単に超えられていたでしょう。それが、ジェフと神戸の差ってことですね。

今回僕は、当初は完全に見(ケン)に入るつもりでいて、黄色い衣装はなーんにも持ってなかったんですけど、メインもバックも席はないわ、あまつさえ仲間に見つかって誘われるわで、結局ゴール裏から応援する形になってしまいました。まぁお目当てだった筏井さんのプレーも、代表で個人的に注目株になった神戸の田中明日菜さんのプレーも近くで見ることができたんで、いいちゃいいかなw 田中さんはコーナーから鮮やかにヘッドでゴールも決めましたしね。「ポスト・阪口」として、次の代表の中盤を支えるべく、しっかり成長してもらいたいです。

今季のなでしこ観戦は、たぶんこれで打ち止めかな。実は僕の地元のつくばFCレディースが、もしかしたら来季はチャレンジリーグに上がれるかもしれないというところまで来ているんです。近い将来ジェフレディースとそのサポーターたちを、我らがつくばへ迎え入れることができたら、それはそれは嬉しいこと。ひとつの夢ですね。がんばりましょう。