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がんばりすぎずにあるこうや。

ナビスコ第1節 ストライカー探し

2012 Jリーグヤマザキナビスコカップ 予選Aグループ
第1節 浦和レッズ○1 - 0●ベガルタ仙台

J2の試合の裏で、J1はナビスコカップが開幕しています。NACKと最後まで迷いましたが、最終的には埼玉スタジアムにお邪魔してきました。当日券で自由席を買って、ロアーの最下層に席を見つけて、ピッチに非常に近い位置から見てきましたよ。アッパースタンドの俯瞰視点もいいですが、近くで見るのも迫力があってなかなかいいですね。

まず両チームのスタメンです。ホームの浦和はメンバーを大きく入れ替えました。GKは山岸。3バックはスピラノビッチ、永田、濱田。ボランチ山田暢久小島秀仁。両ワイドは右に岡本拓也、左が宇賀神。2列目に柏木と山田直輝が並んで、最前線はポポがセットされました。対する仙台は、GKに林。バックスに田村、渡辺広大、上本、パク・チュソン。角田と松下のインサイドハーフに、太田と関口の両翼。ウィルソンと武藤のツートップでスタートです。

前半は、ボールを保持してペースを握りかける仙台と、バックラインでボールを奪ってから素早くショートカウンターを狙う浦和、という試合展開でした。柏木やポポのボール捌きがなかなかテンポが良く、山田直輝も左右に縦にと巧くボールを動かして、スピード感を持ったままアタッキングサードまで侵入。ただ、最後のフィニッシャーがどうしてもいないというのが致命的です。宇賀神は左からいくつか良いクロスを供給しましたが、それにしっかり合わせられる選手がいないんですよ。ボックス内にも何度入っていけただろうかという感じで、いまひとつ「攻めきった」印象がありませんでした。センターでは小島がよくがんばっていましたが、他方で山田暢久がどうにも安定しない。守備では太田に簡単に振り切られ、ショートパスが味方に届かず、攻撃にブレーキをかけてしまうことも多かったのは悔やまれます。チーム戦術に順応できていないのかなぁ。

逆に仙台はボールを保持してちゃんとゲームを作ろうとしていて、左サイドの関口の突破や松下と太田の上手い連携からゴールを狙っていきます。ミドルレンジからもいいシュートを何本も打っていて、決まっておかしくない場面がいくつもありました。ビッグチャンスの場面でウィルソンや関口がシュートを躊躇してしまったのがもったいなかった。太田あたりは、昨シーズンの好調ぶりからすると迷うようなことはないはずなんですけどね。大事にいきすぎてました。

後半は徐々に浦和が調子を取り戻しかけていたんですが、結果的にはイーブンゲームでした。ペトロビッチ監督にとって誤算だったのは、3枚の交代カードをすべてアクシデントで使わなければならなくなったことでしょう。岡本と山田直輝の負傷に、スピラノビッチの退場と、なんともアタマの痛い状況でした。そんな中で、交代出場した矢島と高橋は非常によくやっていました。とりわけユース上がりのルーキー矢島は、中盤でちゃんと役割をこなし、浦和の攻撃のリズムを作り出すのに十分な働きぶり。レジスタタイプとは違うのでしょうが、チャンスがあればゴールを狙う積極性もあるし、スクランブルであれだけ物おじせずにやれるなら将来は有望でしょう。中盤はいい選手が揃っていますから、あとはやはり点を取れるストライカーがいないのが悩みの種でしょうねぇ。

残り10分で仙台は数的有利になるわけですが、そのわりに前への積極性が見られなかったのが残念です。浦和はポポを下げてもう攻める気はないと宣言していたのに、バックラインが低めにセットされたままだったんですよね。上本あたりはもっともっと前に出て行って良かったと思うんですが、低い位置で変に時間を使ってしまいました。山岸のスーパーセーブなんかでしっかり耐えきった浦和の「粘り勝ち」でしょう。

浦和は全く新しいサッカーになって、形になっているとはまだとても言い難い状況です。それでもチャンピオンチームの柏に勝ったり堅守の仙台から得点を取れたりしているのは、中盤センターでのテンポのいいボール捌きと、バックスのがんばりによるところが少なくありません。柏木、槙野とペトロビッチサッカーに慣れ親しんだ人材がいることはプラスですが、残念ながら今の浦和には「佐藤寿人」も「李忠成」もいない。今いる人材を彼らに仕立て上げるか、新たに外部から発掘するか、どちらかがなければ「失点は少ないが得点も少ない」という昨シーズンの再現になる可能性もあります。浦和に関わる誰もが「今のままでは良いとはいえない」と思っているでしょうから、これから先どうチームが仕上がっていくか、その過程もちょっと楽しみだなと、外野ながら思いました。