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がんばりすぎずにあるこうや。

J2第24節 弱者のサッカー

2013 Jリーグ Division 2
第24節 ジェフユナイテッド市原・千葉○3 - 0●モンテディオ山形
5位(勝点41)→4位(勝点44)

雨予報が出たり消えたりで天気が心配された山形は、試合前までは持ちこたえていたものの、試合が始まると断続的に降るようになり、しまいには本気の大雨になってしまいました。昨年の山形も雨だったから、今年は勘弁してほしかったんですけどね。でも、きっちり勝てば天気の憂鬱さなど吹っ飛ぶものです。これでなんと5連勝。やってやったぞ!わはははは!

スタメンは前節と変わりません。GKに岡本。米倉、キム・ヒョヌン山口智、高橋のバック4に、伊藤と佐藤健太郎のドイスボランチ田中佑昌、大塚、谷澤が2列目に並び、ケンペスが最前線です。ベンチには町田に代わって井出遥也が入りました。試合展開に余裕があれば出番もあったでしょうが、淳さんはきちんとクローズするほうを選びましたね。町田や佐藤祥を含めて若手がベンチ入りしているのは、試合に出場する選手たちと同じリズムで生活して、感覚を養っておきなさいということだとも思うのです。それだけ若手のステップアップに期待しているということだし、そういうポジションにいるということ。ポジティブにとらえてもらいたいですね。

スコア上は快勝ですが、淳さんの言うように実際はほとんど山形のペースで進んだゲームでした。15対7というシュート数や、ジェフはコーナーキックがたった1本だったこと、山形のゴールキックがわずか5本だったことなど、データもそれを証明しています。ホームでの試合と同じように、初っ端から山形のハイテンションサッカーにラインを押し込まれ、チャンスもずいぶんたくさん作られました。山崎、林、中島のスリートップは相変わらずの迫力で、ピッチを広ーく使って強烈なゆさぶりをかけてきましたし、2列目から飛び出してくる伊東俊にも手を焼きました。後半は天敵の萬代まで出てきて、ホントにおっかねぇことこの上ない。実際、山形の今季総得点はガンバに次ぐリーグ2位なわけで、攻撃力は随一なんですよね。

それでも、ホームゲームと違ってゼロに抑えられたのは、ある程度相手にポゼッションされることを割り切ってとらえて、ディフェンディングサードの特に中央をガッチリと固めておき、相手の攻撃パターンをロングボールとクロス一辺倒にさせるという守備戦術がバッチリハマったことが大きいです。パス回しはブロックの外を舐めさせるだけ、パスコースは両サイドバックがきっちり消す、放り込んで来たらヒョヌンが抜群の打点ではじき返す、グラウンダーは山口がカバー、セカンドボールは谷澤や佐藤健太郎が掬って、伊藤や大塚を使って前へ前へ、という一貫した守備意識。これはチーム内でシステマチックに共有されていました。また、スペースのケアの受け渡しも非常にスムーズで、誰かがボールホルダにチェックにいったら、空いたスペースに別の誰かがちゃんとケアに入っています。ただやみくもに複数人でからめ捕りに行くのではなくて、力を入れる場面とこらえる場面の判断が、みんなしっかりとできているのがわかります。

こういう「相手のストロングポイントを徹底的に消す」守備というのは、これまで3年間で他でもないジェフ自身が、中位以下の相手にやられて散々苦しめられてきたやり方なわけですよ。抜きん出た個の能力と洗練された組織力で相手を圧倒して「フィールドの支配者になる」ようなサッカーと比べれば、第三者的にはまったく面白くないサッカーかもしれませんが、しかし何度も言うように「結果至上主義」のJ2では、勝つためには何でもやらなきゃいけないのです。とことん現実的になって、割り切るところは割り切らなきゃいけない。相手の嫌がることをやり続けるってのも、立派な戦術ですからね。その辺り、「J1に上がるために何が必要なのか」を経験している淳さんらしいやり方なのかなとも思います。

3ゴールは、相手の隙を突いてのクイックリスタートから1点、この日唯一のコーナーキックから1点、クローズに入った終盤にケンペスの粘りから1点なので、アウェイらしいといえばアウェイらしい、事故のような結果です。でもこういう風にしぶとくゴールを奪ってポイントを稼げるようになってきたというのが、前回山形と当った1か月前とはもっとも違うところなのです。米倉と田中の右サイドの運動量の多さが強烈に際立っていますが、セカンドトップの大塚も90分間もつようになりました。谷澤も終盤までボールを追えるようになっています。個人の運動量というのは短期間で劇的に向上するようなものじゃないですから、つまり少ない運動量で効率的に相手をいなせるようになっているとか、個人個人が試合中に上手くサボれているとか、そういうところが変わっているんでしょうね。スタメンを固定して疲労も溜まっているでしょうし、これから夏場はスタミナの消費量も多いのでそこで崩れることが多かったわけですが、フィジカル的に効率のいいサッカーができているとするなら、この夏も案外乗り切れるかもしれません。安心するにはまだまだ全然早いですが。

順位は4位ですが、自動昇格圏・首位まで6ポイント差に詰まりました。上位勢との直接対決は9月の京都戦までありませんが、逆にいうとそれまでの2か月間でいかにポイントを落とさないかが本当に重要になります。次は愛媛とのアウェイゲーム。センターバックのヒョンがサスペンションというのが不安材料ですが、レギュラーを奪われた竹内が奮起して活躍してくれることを期待しましょう。きっちり勝ち星とって帰ってきてくださいな。

今年も山形グルメスタジアムは安定の美味しさでした。ここのスタグルはホントレベル高いよなー。全部を食べつくすまでには全然至らないんですが、文句なしにおススメしますよ。

試合後には水車そばのお店で蕎麦を食べてきました。十割だそうですけど、太めでガツンと食べごたえあって、美味しかったです。山形は何食っても美味いな。ごちそうさまでした。

[J'sGOAL]【J2:第24節 山形 vs 千葉】レポート