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がんばりすぎずにあるこうや。

なでしこ1部第3節 笑顔を取り戻すまで

2016 プレナスなでしこリーグ1部
第3節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース●0 - 3○ベガルタ仙台レディース
2016/04/09(Sat.) 13:00 角田市陸上競技
7位(勝点1)→9位(勝点1)

東京から遅れること約1週間。桜が満開になった春の仙台に行ってきました。朝早く東京を出発したので、肌寒くて少し厚着をしていったんですが、現地はシャツ1枚でも汗ばむくらいのポカポカ陽気。雲一つない快晴で、絶好のサッカー日和になりました。この陽気に乗って試合もすかっと晴れやかにといきたかったんですが、残念ながらそれは向こう側にいってしまったようで。

前節欠場の櫻本さんが未だベンチスタートなのに加え、今回は瀬戸口さんと安齋さんまで欠場。守備も攻撃も緊急事態で、スタメンはバックス5人とアタッカー5人という非常に極端な構成になりました。スーバックも考えられましたが、実際は美里さんと鴨ちゃんボランチに並べる4-2-3-1。結果が出ていない中に離脱メンバーが多くなって、とにかく現状を乗り切るのに必死な様子です。まぁ不可解な部分がないわけではないんですけど。

強い風が吹く中で前半の風上を取ったジェフレディースでしたが、目論見に反して圧倒的な仙台ペースで進んでしまいました。中盤センターにともに本職でない2人が並んでしまったことで、ここにボールを入れても全く落ち着けることができず、仙台の川村と岸川というリーグでも屈指のアンカーにプレッシャーをかけられるとなすすべなくボールをロストしてしまう。それならばと、美里さんは右、鴨ちゃんは左のサイドにそれぞれ開いてボールを動かそうとすると、今度は嘉数や井上まで加わった猛烈なプレスにあって行き場を失ってしまう。この中盤のミスマッチは致命的で、セカンドボールを拾うことも全体が攻め上がる時間を作ることもできないので、攻撃のスイッチが入らないのです。次第にチーム全体が後ろ重心になってしまい、カウンターのチャンスになっても人数が足りずにフィニッシュまで持っていけない悪循環。攻撃は完全に手詰まりです。後半から西川を入れて修正を図りましたが、状況は好転せず。シュートは3本、CKは1本だけ。頼みの菅澤さんもシュート1本(その1本は確実に決めなければいけないシチュエーションでしたが)に抑え込まれ、活路を見いだせないまま90分を終えてしまいました。

それでも、右サイドで今季初先発した三橋明香が奮闘してそのポテンシャルの片鱗を見せたことは、数少ない好印象要素です。中央と左サイドに手詰まり感がある中で、運動量と足下の技術、一心にゴールに向かう積極性で、チームに漂う停滞感を払拭しようと走り回りました。右のウィングアタッカーとして安齋さんとは違ったタイプの彼女に求められるところは多いし、三上監督の期待も大きい。未だ結果が出ていないのが歯がゆいですが、今はみっつにとって大きなチャンスでもあります。ぜひともこのチャンスをモノにしてほしい。

また、今回櫻本さんのバックアップで出場した鶴見綾香は、左利きのストッパーとしてその役割を十分に果たしたと思います。もちろん隣の磯金さんや千野さんに多分にフォローされながらではあるものの、小野や中野に対して要所を締める守備をして仕事させなかった。これまでも数少ない試合出場でそのポテンシャルを発揮してきていましたが、試合に出られない中でもしっかりとした準備をして、緊急事態にちゃんと対応して役割を果たせる、貴重な選手です。途中交代になってしまいましたが、これからも期待に応える活躍をしてほしい。鶴ちゃんはいずれジェフのバックラインを任せられる資質を持っていると思いますからね。

1点差を何とか追いつこうと攻勢に出ていた終盤の83分、カウンターから抜け出してエリア内に侵入してきた浜田遥を、山根さんが引っかけてしまって一発退場。一瞬、ほんの一瞬だけ飛び出しを躊躇してしまい、うまく体制をコントロールされて"三重苦"(退場、PK、次節出場停止)を食らってしまいました。すでに交代枠を使い切っていたジェフは、櫻本さんが急きょ代役のGKとしてゴールマウスに。PKを決められ、その後もセンターバックを削ったことでATにダメ押しを食らってしまいますが、櫻本さんは本職のGKもかくやというほどに最後尾から指示を飛ばし、失点に本気で悔しがり、それでも試合後にはしっかり顔を上げて、唇を噛みしめつつ気丈にふるまって見せました。櫻本さんの存在は、戦力的にも精神的にも非常に大きなものだと改めて感じさせられました。常から「至らない、もっと自分がしっかりしないと」と口にしているサクさんですが、しかしいるといないとではこんなにも違うのです。責任感の人一倍強い我らがキャプテンを、みんなで支えていかねば。

さて、ご贔屓の上野紗稀ちゃんですが。

左のサイドバックでフル出場。前節・ベレーザ戦でも守備に奔走しましたが、今回はそれに輪をかけて守り一辺倒のプレーになってしまいました。1列前が小澤寛ちゃんに変わってコンビネーションも十分でなく、終始苦しい立ち回り。なかなか思ったようなプレーができません。

中盤が安定しない現状では、サイドのプレイヤーが攻撃面で強みを発揮するのはなかなか難しいです。上野ちゃんも右の千野さんも、攻撃時には深いところのスペースを強襲するスピードと積極性が持ち味ですが、今の状態でそれをやってしまうと、上がった自陣の裏のスペースがガラ空きになってしまって、センターバックとGKに強烈な負担を強いてしまう。サクさんがいなかったここ2試合でそうなることは即失点につながるので、我慢せざるを得ないのでした。それでも失点が止まらないのだから、途方に暮れてしまうのも無理ない。

それでも最終盤には勇気を持ってゴール前まで侵入して、シュートの跳ね返りにボックス内で反応しましたが、惜しくも詰め切らず。何とかしようともがいているのは、上野ちゃんだけでなくみんなそうなんですよね。どうにかしてきっかけをつかみたいと思ってる。

試合後に手を振ってくれた表情にも力はなく、身も心も疲れ切ったという様子でした。チームのみんながそんな感じで、鬱々とした空気に満ちてしまっています。この状況を打破するための特効薬などおそらくないのでしょうが、それでも目標を見失わず、光を求めて歩みを止めず、ひたすらに突き進むことを信じるしかありません。ジェフレディースに笑顔が戻るように応援し続けることしか、僕らにはできないのだから。